スリーゴースト
PARCO PRODUSE 2026 スリーゴースト 2026年10月
2020年「FORTUNE」世界初演や昨年の「スリーキングダムス」が印象深かったサイモン・スティーヴンスが、東京でのリサーチをへて新作を書き下ろした。SFタッチで、自らの過ちから目をそらすことの罪深さをじわじわと描く。2024年「リア王」などを観たショーン・ホームズが、スタイリッシュに演出する意欲作だ。翻訳を広田敦郎、演出通訳を時田曜子(ゴーチ・ブラザーズ)、演出補を桐山知也が固める。よく入ったPARCO劇場の中段やや下手で1万2000円。休憩を挟んで2時間半。
敏腕広告マンのジョー(堺雅人)は、夢を再生する画期的な装置「リープマインド」の契約を勝ち取って成功に導き、富を得る。その影でかつての姉の死、そして義理の姉ミカ(伊勢佳世)の死に自責の念を抱いている。社会にリープマインド中毒が広がるなか、ジョーは妻ハナ(倉科カナ)や母マリ(高畑淳子)から責められ、次第に追い詰められていき…
無機的で暗い舞台にカメラが数台。後方にスクリーン、左右はひずみのある鏡、床周辺にリープマインドらしき黒い小石のようなものが散らばる(美術・衣装はジョン・ボウサー)。映像を多用し、空疎な虚構をリアルに感じさせてしまうテクノロジーの力を強調。そんなテクノロジーに耽溺して、罪や後悔を直視しないことの空恐ろしさが浮かぶ。視界を邪魔する小鳥の群れが象徴的。
夢で会えるかもしれないけれど、現実には亡くなった人は帰らず、過ちをなかったことにもできない。ジョーは視力を失っていくことで、ようやく妻ハナ(倉科カナ)に向き合っていく。終盤、誰かにスープを差し出すというエピソードに、一筋の光が差す。
ヒットドラマ連発の堺雅人は17年ぶりの舞台出演が話題だが、淡々として危なげない。もっとも映像の印象が強過ぎて、舞台ならではの熱量、余韻はいまひとつか。伊勢が壊れていくミカを鮮烈に見せる。重苦しい空気のなか、いかにも実業家の高畑と、飄々とした義父ケンの段田安則が時折、茶目っ気を見せるのが救いだ。
ジョーの助手に採用されるサラのsara(文学座)が、溌剌としていい。3月に観た「コーカサスの白墨の輪」の太守夫人なんですねえ。ちょっと謎めいた眼科医の友人ユーゴに達者な迫田孝也、ジョーとミカの関係をばらしちゃうダンに小日向星一。ダンサー3人がシャープに黒衣を務める(ステージングはお馴染み小野寺修二)。
謎めいたタイトルはちょっと消化不良だったな。劇中、ケンが発する警句(人は人生で3人のゴーストに会う、ひとりめは警告、ふたりめは試練、3人めは…)に由来するんだけど… プロデューサーはPARCOの佐藤玄、制作協力にゴーチ・ブラザーズの伊藤達哉。











