落語「のめる」「出世の石段」「たらちね」「心眼」「猫の皿」「百年目」
第94回大手町落語会 2026年4月
柳家さん喬、柳家権太楼のお二人がそろう会は久しぶり。なにしろ2025年前半はがんで療養していた権太楼さんは2022年以来で、高座姿を見られるだけで感激だ。日経ホールの後ろのほうで4500円、中入りを挟んで2時間。
まず柳亭市助が「のめる」。「詰まらない」「のめる」の口癖を封印したふたりが、口にしたら罰金と約束して… とんとんと。そして講談の田辺いちかが「寛永三馬術」から「曲垣平九郎 出世の階段」。馬術の名人が愛宕山の急階段を上り下りして、家光に梅を届ける。賑やかだ。
続いて三遊亭萬橘が、まくらで中座しちゃう客に、どうせ両ベテランがお目当てでしょ、と拗ねてみせたりしてから「たらちね」。粗忽な長屋の八五郎が、お嬢様育ちで言葉が丁寧すぎる女房を迎える。噛み合わないやりとりに爆笑。萬橘は2019年から何回か聴いていて、だんだんマイルド、可愛らしくなり、いい感じだ。
前半最後がお待ちかねの権太楼。体調が悪くて直前の寄席を休んだ、今日は10分くらいで、とつぶやきながら、2018年にも聴いた「心眼」。爆発的な愛嬌はなく、咳き込んだりしてハラハラしたけど、語るうちに力が戻ってたっぷりと。噺はイケメンの按摩が妻の献身あって目があくが、その妻が不細工と知って…という怖い展開ののち、夢から覚める。人が背負う宿命の苦み、だからこそ大切なもの。先日、正蔵さんが語っていた、生きているだけで楽しいと思うこと。ご自身の境遇もあいまって余韻が深い。
仲入後は明るく三遊亭兼好。「権太楼師匠、意気揚々と引き揚げて行きました。皆さんご安心を」と聴衆を気遣って、飄々と「猫の皿」。この軽み、好きだなあ。トリはさん喬で悠々と「百年目」。やはり旦那の品はこのひとならではでした~ 粒揃いのメンバーを楽しんだけど、やっぱりホールの後ろの方だと臨場感は今ひとつかな。

















