落語「手紙無筆」「夏の医者」「野ざらし」「夫婦に乾杯」「五目講釈」
特撰落語会 柳家喬太郎・柳家三三 二人会 2023年7月
安定感抜群、人気の二人会。夏恒例の杉並公会堂、中央前の方の良い席で3800円とお得。珍しく11:30にスタート、三部制のせいかトントンと進み、中入りを挟んで2時間。
前座は金原亭駒平が爽やかに「手紙無筆」。きっちりしている。元小劇場の俳優で、2018年に金原亭世之介に入門。世之介の師匠は金原亭馬生で、志ん生の息子さんなんですねえ。
続いて三三さん登場。鬢が白くなって貫禄がついた感じ。いつもどおり前の話をいじりながら、ゆったりと「夏の医者」。農夫が倒れ、息子が急いで山向こうの医者を迎えに行く。「チシャ(レタス)」あたりだろうと山を越える途中、うわばみに飲まれ、下剤をまいて脱出。薬箱を忘れて取りに戻るが… ちょっとお下劣な空想談はお手の物だ。
続いて1年前同様、正座が難しいと見台を置いて喬太郎。膝の負担を軽くするためか、痩せた感じでパワーはいまいちな気がしたけど、鈴本とかいろんな企画の落語会とか、変わらずスケジュールぎっしりの様子。今日も高円寺で出演してきた、朝から落語なんてやるもんじゃない、と笑わせつつ、サイサイ節も軽快に「野ざらし」。師匠さん喬さん、兼好さんで聴いたことがある噺。巧い。
仲入後、再び喬太郎。さっきマクラで、落ち「新町の幇間、ああ馬の骨か」の「太鼓は馬の皮で」を仕込み忘れた、皆さん、貴重な経験ですよ、と告白。爆笑を誘ってから「夫婦に乾杯」。2013年以来の噺だ。古臭い設定だけど、仲の良い夫婦が可愛らしく、会話が擬音になっちゃうのはやっぱり面白い。
最後は三三で、「五目講釈」。こっちは2012年以来ですね。お馴染み居候の若旦那の脳天気な造形と、いろんな有名演目がごちゃごちゃになり、擬音までまざっちゃうリズミカルな言い立てが、余裕たっぷりで爽快。充実。