ミュージカル

羅生門

百鬼オペラ「羅生門」  2017年9月

2013年「100万回生きたねこ」が素晴らしかったイスラエルのインバル・ピント&アブシャロム・ポラックが、演出・振付・美術・衣装を手掛ける、コンテンポラリーダンス中心の舞台。柄本佑と満島ひかりの透明感が印象的だ。お洒落な女性らダンスファンが集まった感じの、Bunkamuraシアターコクーン、上手やや後方寄りで1万800円。休憩を挟み2時間半。

がらんとした空間に、江戸川萬時らダンサー8人と、シンプルなセットで幻想的なイメージを展開。冒頭からグレーの全身タイツのダンサーたちが、固まって泥のようにのたくったり、大詰めでは落命した女の後ろに、リフレインのように列になってうずくまる造形が目を引く。床のそこここに空いた大小の穴から、めまぐるしく俳優、ダンサーが出入りするのも面白い。ごく静かなフライングも多用。石、髪、ランプ、ろくろ首の母など妖怪の要素は、着ぐるみ風でどこか童話的だ。

若手の吉沢亮のほか、田口浩正、小松和重、銀粉蝶という俳優陣は、達者に歌やフォーメーションをこなす。長田育恵の脚本は、芥川龍之介の「藪の中」「羅生門」の設定をベースに、「鼻」「蜘蛛の糸」のエピソード等で構成。「ねこ」に比べるとストーリー性は薄く、やや散漫な印象は否めないかな。

作曲・音楽監督は蜷川幸雄「海辺のカフカ」などの阿部海太郎。藤田貴大とも組んできた青葉市子ら、ミュージシャン6人も舞台を出入りして、アコーディオン、マンドリン、歌などでシーンの重要なパーツになる。ノコギリ、ウォッシュボードなど面白い楽器も駆使。

20170924_001

キンキーブーツ

ブロードウェイ・ミュージカル「キンキーブーツ」<来日版>  2016年10月

全編シンディ・ローパー書き下ろしのキャッチ―な楽曲がご機嫌な、2013年トニー賞6部門受賞作の来日公演。ドラァグクイーンって何故か、出てくるだけでテンション上がるし、半端な色気が切ないなあ。スピーディーな脚本は「トーチソング・トリロジー」のハーヴェイ・ファイアスタイン、華やかな振付・演出は「ヘアスプレー」などのジェリー・ミッチェル。シアターオーブのやや下手寄り、すごく前の方のいい席で1万3000円。休憩を挟み約2時間半。

偏見を越え、あるがままの自分と他者を肯定すること、そして父との和解を描く、シンプルで前向きなお話。
チャーリー(アダム・カプラン)は恋人ニコラ(カリッサ・ホグランド)とロンドンで暮らすはずが、父の急死で田舎町ノーサンプトンのダサい靴工場を継ぐ羽目に。チャーリーを思う社員ローレン(ティファニー・エンゲン)にはっぱをかけられ、偶然出会ったド派手ドラァグクイーン、ローラ(J.ハリソン・ジー)の助言で、セクシーかつ頑丈な女装ブーツ作りに乗り出す。ローラは職人ドン(アーロン・ウォルポール)と衝突するが、ボクシング対決で勝ちを譲る。またいったんチャーリーと決裂するものの、結局はショー仲間や職人たちとミラノのショーに駆けつける。

いかにもドラァグクイーンの長身Jが、堂々としつつも、「Land of Lola」「Hold Me in Your Heart」などハスキーな声で、内面の弱さ、屈折を表現し、観客をひきつける。赤スパンコールや青のミニ、白のヒラヒラドレスの存在感と、もっさりした男装姿のギャップも面白い。かつて東京ディズニーシーに出演していたとか。
さらに6人組「エンジェルス」が加わると、独特のゆるめのダンスでショーパブの雰囲気。生真面目カプランは手堅い演技だ。
女性陣は自虐的なエンゲンが、軽妙なコメディエンヌぶりでシンディ・ローパーの世界にぴったり。敵役のホグランドは歌唱が伸びやか。

2階建の可動式セットを人力で回し、紗幕や舞台袖の階段も使って素早くシーンを転換。ベルトコンベアに乗って踊りまくる「Everybody Say Yeah」、さらに大詰めランウェイ上の「Raise You Up/Just Be」が盛り上がる。カーテンコールはスタンディングとなり、Jとカプランがグランバットマンを披露してくれました~

客層は幅広く、意外な財界人の姿も。ロビーにはなりきり撮影スポット、7~9月日本人キャスト版の衣装がありました。

20161022_001

20161022_049

20161022_040

An American in Paris 

An American in Paris  2015年12月

寒空のTKTS(チケッツ)で、なんと1時間並んでRushをゲットした、トニー賞の振付賞受賞作へ。ミュージカル映画の古典「巴里のアメリカ人」(1951年)の舞台化で、期待通りダンスがめちゃめちゃ美しい! 舞台装置も秀逸で、とってもお洒落でした~ タイムズスクエアに面した名門Palace Theater(パレススアター)の2F端で64.5$。見切り席だったけど十分エンジョイしました。

演出振付でブロードウェーにデビューしたChristopher Wheeldon(クリストファー・ウィールドン) はロイヤル・バレエの常任振付家だというから、とんでもなく贅沢だ。大詰めの、流麗な長尺バレエシーンが最大の見どころだけど、お馴染みGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュイン)の名曲にのせて、タップもモダンも、ちょっとフォッシー風もと、バリエーション豊か。

さらに驚くのは主演の2人。主役ジェリーのRobert Fairchild(ロバート・フェアチャイルド)はニューヨークシティバレエのプリンシパル。ヒロイン、リセのLeanne Cope(リアン・コープ)はロイヤル・バレエのファースト・アーティストというから、こちらもバリバリのバレエダンサーなわけです。重力を感じさせない踊りが素晴らしいのはもちろんのこと、歌も巧い。凄い才能。特にリセの抜群のメヂカラが、舞台を牽引します。

お話は大戦直後のパリを舞台にした、王道青春ストーリー。アメリカからやって来た画家の卵と、可憐なバレリーナの卵が恋に落ち、一度は夢をかなえるためにあきらめようとするけれど…と、ラ・ボエーム風です。
セットがまた素晴らしい。立体的に川岸を見せるなど、比較的シンプルながら絵画的な工夫が満載。プロジェクションマッピングの使い方が実に洗練されていて、流れるようにセットを転換していくのも洒落ていた。

今回NYで観たもう1本のミュージカル「レミゼ」が、歌中心だったので、いいバランス。この作品は是非、オリジナルキャストで来日してほしいな~ 外見が普通のビルなのに、内装はオペラハウスのような劇場の雰囲気も楽しかった。

1122 1125 1134 1154 1172

Les Miserables

Les Miserables  2015年12月

年末の特別編・ニューヨークシリーズのミュージカルは定番演目から。1985年初演、キャメロン・マッキントッシュ製作の「レ・ミゼラブル」を、Imperial Theatre Broadway(インペリアル・シアター)で。こじんまりした芝居小屋っぽい劇場の中央あたりで162$。休憩1回を挟み約3時間。

言わずと知れたユーゴー原作、19世紀初頭パリを舞台にした大河ドラマだ。人間の尊厳や贖罪がテーマだけど、むしろ若い革命の高揚と、敗北後の寂寥感が印象的です。
ロングランの日本版は未見だけど、2012年の映画版を観たことがあるので、予習は十分。 なんといっても「ミス・サイゴン」などのクロード・ミシェル・シェーンベルクの音楽が、胸にしみいる。I Dreamed a Dream(夢破れて)、Stars(星よ)、The People's Song(民衆の歌)、One Day More(ワンデイモア)、On My Own(オンマイオウン)など、ソロも重唱・合唱もつくづく名曲ぞろいだ。

キャストはJean Valjean(ジャン・バルジャン)のAlfie Boe(アルフィー・ボー)が渋くて、安定感抜群。イギリス出身で元はオペラ歌手なんですねえ。若手陣は軒並みブロードウェーデビューだそうで、EponineのBrennyn Larkは声に張りがあり、MariusのChris McCarrell、CosetteのAlex Finkeもみずみずしく、ミュージカルらしい造形だ。EnjolrasのWallace Smithは、耳に引っかかる個性的なトーンがいい。
一方、FantineのMontego Gloverはキャリア十分みたいだけど、この日はかなり不調で残念だったかな。歌が主体の作品のなかで、笑わせ役を引き受けるThénardier夫妻、Gavin Lee、Rachel Izenは身体表現も達者だ。

シンプルで、古風なセットに照明が効果的。文芸大作らしくていいなあ。

417 419 438 441

ピピン

ブロードウエィミュージカル「ピピン」  2015年9月

ボブ・フォッシーが振付・演出した1972年初演作を、「ポーギーとベス」「Hair」やシルク・ドゥ・ソレイユのダイアン・パウラスが演出し、2013年のトニー賞リバイバル作品賞を獲得した作品の来日公演。幅広い客層のシアターオーブ、上手寄り前の方で1万3000円。休憩を挟み2時間半。

チェット・ウォーカー振付の、スタイリッシュで色っぽいダンスに期待して足を運んだが、そちらはほんのちょっと。むしろシルク・ドゥ・ソレイユ流のアクロバット、ジャグリングとマジックの比重が大きかった。
物語はサーカスの旅一座が演じる劇中劇。どこぞの王子ピピン(新星ブライアン・フローレス)が特別な人生を求めて、戦争や革命を経験するものの、結局、子持ち女性との愛、そして平穏な暮らしを選ぶ。サーカスの設定とあって、カラフルできらびやかなんだけど、幕切れは劇中劇から現実に戻っていくので、カタルシスはなくちょっと寂しい。

重要な舞台回し役リーディングプレーヤーは、ブロードウェイ・キャストのガブリエル・マクリントン。唯一、存分にフォッシースタイルを披露して、歌も達者だ。
そしてなんといっても祖母バーサ役のプリシラ・ロペス! なんとコーラスラインの初演メンバーだそうで御年67歳だけど、見事なアクロバットを演じ切り、拍手喝采を浴びていた。

012

ジャージー・ボーイズ

ブロードウェイミュージカル「ジャージー・ボーイズ」  2015年7月

2006年トニー賞4冠、フォー・シーズンズの足跡をたどるジュークボックス・ミュージカルに足を運んだ。難しいことは考えず、懐かしい60、70年代ヒットを満喫できて楽しい。2014年に巨匠イーストウッドが映画化したせいか、ミュージカルでは異例の、年配男性がやたら多い東急シアターオーブ、前のほう中央のいい席で1万3000円。休憩を挟んで3時間近く。

キャッチ―なポップスを畳みかけるコンサート風構成で、テンポがいい。誰もが好きな「December,1963」「Can't take my eyes off you」では会場全体がのりのり! 「Cry for me」で4人のアンサンブルができあがっていくシーンが抜群だし、前半の「Sherry」「Big Girls don’t cry」「Walk like a man」の王道メドレーや、後半の「Beggin」「C’mon marianne」「Who loves you?」がご機嫌。しっとりした「My eyes adored you」や「Bye bye baby」で泣かせます。
フランキー・ヴァリのヘイデン・ミラネースは独特のファルセットをたっぷり聴かせ、作曲家ボブ・ゴーディオのドリュー・シーリーも声に張りがある。リーダー・トミーの太っちょマシュー・デイレイ、ニックの長身キース・ハインズもコーラスに演技に活躍。誇張されたダサいダンスも微笑ましい。ほかにマフィアのジップにトーマス・フィセラ、ゲイのプロデューサー・ボブ・クルーにバリー・アンダーソン。

物語はいたってシンプルだ。グループ名にちなんだ春夏秋冬の4パートで、4人が「オレにいわせりゃ」と、微妙に違う視点から語る。成功の裏で起きる仲間割れや警察沙汰、莫大な借金、家族との諍い。哀しい出来事を、巧妙な伏線や洒落、ホテルのタオル騒動といった笑いで包む。
メンバーはもともとニュージャージーの貧しいイタリア移民で、ケチなチンピラだった。同じバックステージものの「ドリームガールズ」と比べてキャラは地味。そんな冴えない若者たちが街角で、奇跡のようにヒット曲を生み出すシーンがなんとも健気だ。仲違いしても、根っこはずっとダチ。「木更津キャッツアイ」みたいな郷愁に、じんとする。
ボブ・コーディオが10代で、お馴染みタモリ倶楽部テーマ曲「Short Shorts」をヒットさせてたとか、後の名優ジョー・ペシがボブを紹介したとか、名曲「Can't take my eyes off you」が当初はなかなかオンエアされなかったとか、エピソードも興味深い。

ステージ後方に2階立ての鉄骨セットを組み、テレビ映像やアメコミ風の絵を使用、前方に簡単な机などを出し入れしてシーンを展開する。キーボードやホーンセクションなど少規模のバンドが演奏。すぐ後ろの席にジュディ・オングさんが来てましたね。

001 004 019

キレイ

Bunkamura25周年記念/シアターコクーン・オンレパートリー2014+大人計画「キレイ~神様と待ち合わせした女」  2014年12月

作・演出松尾スズキ、音楽伊藤ヨタロウによる2000年初演作の再々演。悲惨な戦争や科学の歪みを背景に、その実ごく個人的なコンプレックスと向き合う、お馴染みのダークな松尾節を、豪華キャストと華やかな歌で彩る。大人計画ファンらしき若い観客が集まり、立ち見も大盛況のシアターコクーン、中央後ろ寄りで1万1000円。

舞台は長く内戦が続き、大豆原料の人造人間「ダイズ兵」が戦う、もう一つの日本。10年に及ぶ監禁から逃げ出した少女ケガレ(多部未華子)は、ダイズ兵回収業者カネコキネコ(皆川猿時)に拾われた後、結婚したり金持ちになったり波乱万丈の人生を送りつつ、自ら封印した忌まわしい傷と対決していく。
あまりに醜い世界。損得だけを拠り所に必死に生き抜くケガレが、どうやって美しい花と出会うのか。カネコ家の長男ジュッテン(オクイジュージ)が自ら望んで視力を封じており、目を開けた時には雨が降る、というエピソードがなんとも切ない。
ケガレの監禁時代、少女時代、大人になってからと、おおむね3つの時間を行き来し、ときには複数の時間が同時並行で展開して、目まぐるしい。さらにマイナス要素を背負った者ばかりが次から次へ登場して、歌って踊って賑やかだけど、休憩を挟んで3時間40分はちょっと長かったかな。

ピットに11人編成のバンドが入り、俳優はマイク使用。主演の多部は、声と存在の透明感が際立つ。ほかに俳優陣はみな安定しており、ケガレを愛する2人、カネコ家のピュアな次男ハリコナは少年時代が小池徹平(歌が上手)、賢くなった青年時代が尾美としのり、そして自殺願望を抱くダイズ丸が阿部サダヲ。成人したケガレのミソギは松雪泰子(美しい)、社長令嬢カスミは田畑智子。ケガレを監禁していたマジシャンの田辺誠一はメークのせいか、前半は誰だかわからなかった。

Once

ブロードウェイミュージカル「Once ダブリンの街角で」 2014年11月

2012年トニー賞受賞作の来日公演。開幕前に舞台上のアイリッシュバーカウンターに観客をあげて、ビールをふるまう趣向が楽しい。観客はけっこう年齢層が広く、親密な雰囲気だ。開業1周年のEX THEATER ROPPONGI、さほど広くない1F中央あたりで高めの1万3000円。休憩を挟み2時間半。

原作は制作費1500万円のインデペンデント映画とあって、地味でシンプルな小品だ。スペクタクルもキラキラ衣装も一切無し。ギターとピアノだけで聴かせる、どこか民謡っぽいメーンテーマ「Falling Slowly」が切なく、しみじみと染みる。
舞台はダブリン。父の掃除機修理屋を手伝いながらストリートで歌っている冴えない男(リバプール出身のスチュアート・ウォード)と、チェコ移民でシングルマザーの女(ダニ・デ・ワール)が出会い、淡い恋に落ちる。女の励ましで男は、楽器店の店長やら銀行の支店長やらをかき集めてバンドを組み、オリジナル曲のデモテープを録音。女に想いを打ち明けるものの、結局2人はそれぞれの道へと戻っていく。意外とほろ苦くて大人っぽい物語。

キャスト全員がずっと舞台上にいて、演技と歌、演奏を兼ねる。開演前から美しいハーモニーはもちろん、ヴァイオリンやバンジョー、チェロ、アコーディオンなど楽器30種を達者に奏で、木箱を叩き、足を踏み鳴らしてリズムをとる。手作り感満載でニコニコしちゃう。人物造形もブーツなんか履いていて、なんとも田舎っぽく、主人公の男に至っては物凄く無口という設定。説明を抑制し、つつましい庶民の暮らしと家族の愛、夢にかける精一杯の想いがリアルに伝わってくる。
ワンセットで、机や椅子を移動して場面を構成。主人公たちが街を離れて遠出するシーンだけ、2人がセットの上部にあがり、床の豆電球で夜の海を表現していた。英語で喋りつつ、チェコ語の字幕が入ったりするのもユニーク。ジョークは少しわかりづらかったけど。脚本エンダ・ウォルシュ、演出ジョン・ディファニー。いつかアイルランドに行ってみたい!と思わせます。

A_2 002 010 012_2

ドリームガールズ

ブロードウェイ・ミュージカル「ドリームガールズ」  2013年8月

2010年にオーチャードホールで観た演目の再来日。シアターオーヴの通路前中央で1万2500円。渋谷の景色が一望できる広いホワイエ、お洒落した聴衆がいい雰囲気だ。
前回はなんと最前列で、歌がド迫力だった。今回は全体を見渡せるとてもいい席。テレビスタジオなどのLED映像を多用し、テンポがいいショーアップされたミュージカル全体を存分に楽しんだ。

もちろん魅力はやっぱり歌。要のエフィーはリディア・ワーでセカンドキャストだったけど、堂々たる体格で失意の「And I am Telling You I'm not Going」、再起を決意する「I am Changing」をたっぷり歌い上げ、クライマックス、夢に向かって歩くことを説く「Listen」ではもう大感動でした! 悪態をつく大げさな演技も愛嬌たっぷり。
ローレルのトーニャ・マリー・ルー、弟CCのテレンス・ジョンソンが声がのびて目立ってましたね。サンダー・アーリーのケルヴィン・ロストンJrは、ハスキーながらコミカルで味がある。ディーナのジャズミン・リチャードソンは、すらっとした体型が役に合っているものの、相対的に歌は不安定だったかな。

曲が滑り出しの重いソウルから、徐々にポップになっていき、それと共にガールズがぐんぐん、あか抜けていくのが面白い。スパンコールてんこ盛りのキンキラ衣装は好きです。舞台袖のモニターに指揮を映し、バンドは別室に控えていて、最後に舞台スクリーンの映像で紹介するスタイル。カーテンコールはカメラ撮影OKのサービスがあった。もうちょっと盛り上がりたかった感じは残るけど、楽しかったです!

ノートルダム・ド・パリ

ノートルダム・ド・パリ  2013年3月

珍しいフレンスミュージカル英語版の来日公演千秋楽に足を運んだ。作詞リュック・プラモンドン、作曲リシャール・コッシアンテ、演出ジル・マウ、振付マルティーノ・ミューラー。観客は若い女性を中心に幅広い。東急シアターオーブ、1F通路後ろ中央のいい席で1万2000円。休憩を挟んで約2時間半。

原作は15世紀パリを舞台にした、ヴィクトル・ユーゴーの著名な小説だ。映画の「レ・ミゼラブル」、オペラの「リゴレット」と最近なぜかユーゴーづいているな。ノートルダム大聖堂の醜い鐘つき男カジモド(マット・ローラン)が、魅惑的なロマの娘エスメラムダ(アレサンドラ・フェラーリ)に恋をするが、近衛隊長フェビュス(イヴァン・ベドノー)の裏切り、司教フロロ(ロバート・マリアン)の屈折と策略によって悲劇の結末を迎える。

大聖堂の巨大な壁面をバックに、大がかりでシンプルなセットに紗幕、照明を組み合わせて場面を表す舞台はお洒落だ。しかし展開が平板な印象で、どうも盛り上がりに欠けたのが残念。コミカルなシーンを挟むといったアクセントや、キャストの色気がもう少し欲しかったかな。
歌とダンスを分業しているのが特徴だそうで、セリフはなく、全編50曲以上の歌だけで進めていくところはオペラっぽい。曲にはフランスらしい切なさがあり、冒頭から吟遊詩人グランゴワール(リシャール・シャーレ)が歌い上げる「カテドラルの時代」が聴かせます。このメロディーは2幕冒頭ではフロロが加わって重唱「フィレンツェの話をしてくれ」に。フィギュアスケート羽生くんのフリー曲で知られているんですね。1幕ラストのフェビュスとエスメラムダの逢い引き「悦楽」から「運命」のところも、格好よくて好み。
歌手では高音がミュージカルらしいフェヴェスと、吟遊詩人が良かった。ハスキーなカジモド、裏声が多めのエスメラムダは、それぞれ大詰めのソロに至って調子が出た感じ。
ダンサー約20人は無重力さながら壁をよじ登ったり、吊り下げた鐘を空中ブランコにしたり、体操風だったりと奮闘していたけど、広いステージが視野に入っていたせいか、アクロバティックさのインパクトは今ひとつ。ブレイクダンスが受けていた。
カーテンコールは撮影自由で、客席はスタンディング。フランス語のアカペラもちらりと披露していた。この音楽はフランス語の方がはまるかも。