ディア・エヴァン・ハンセン
ディア・エヴァン・ハンセン 2026年8月
2017年トニー賞6部門を受賞し、21年に映画化されたブロードウェイミュージカル。注目の日本版に足を運んだ。孤独と、「除け者の人生」への不安を抱えた高校生たち、うまく向き合えない親たちの痛みを、丁寧に描いていて切ない。ありのままの自分という存在の残酷さ、愛おしさ。スティーヴン・レヴェンソンの脚本を小山ゆうなが翻訳・演出。3月に開業したEXシアター有明の観やすい1F、やや後ろの方で1万4000円。休憩を挟んで3時間。主催はホリプロ・テレビ朝日。
人付き合いが苦手なエヴァンは、セラピストの指示で自分宛の手紙を書き、心の内を吐露する。ところが問題児の同級生コナーが手紙を取り上げ、そのまま命を絶ってしまう。コナーの父母は遺された手紙を読んで、ふたりが親友だったと誤解。エヴァンがとっさに話を合わせたことで、嘘が嘘を招いていき…
「ラ・ラ・ランド」「グレーテスト・ショーマン」のコンビ、ベンジ・パセックとジャステイン・ポールによる音楽が美しく、かつ複雑。難曲続きだけど、俳優陣は健闘だ。ダブルキャストで、この日のタイトロール柿澤勇人、コナーの妹の松岡茉優が、「窓越しに手を振る」「誰かが見つけてくれる」などで、青春の屈託を繊細に表現する。特に印象的なのは、生活に追われエディが見えていなかった母・堀内敬子の「大きな家 小さな私」、裕福だけどコナーを持て余したまま失ってしまった父・石井一孝の「グローブの慣らし方」。それぞれの激しい後悔を歌う。ほか同級生に須賀健太と元音楽座の高野奈々、コナーに長身の立石俊樹、コナーの母にマルシア。
地味な会話劇だけど、回り舞台と温室みたいな磨りガラスの壁というシンプルなセットを、たくさんのモニターで取り囲んで、大劇場をうまく使う。狭い親子・友人関係の閉塞と、モニター上で瞬く間に広がる無責任なSNS投稿との対比が効果的だ。抑制的に振る舞う登場人物の内面を、影のようなダンサーたちが増幅、可視化してお洒落。磨りガラスの向こうに見え隠れする人影も、とりまく人々を印象づけて巧い。辛い物語だけに、終盤のリンゴ園の明るさが染みます。美術は文学座の乗峯雅寛、振付・ステージングは松田尚子。
EXシアターは初めて。ロビーに開放感がある一方、テーブルは少ないかな。高額転売の席を特定・公表して本人確認するものものしさは、ダブルキャストの吉沢亮人気もあるかも。






















