日記・コラム・つぶやき

2015年喝采づくし 含むNY!

番外編でニューヨークシリーズもあり、超充実の2015年。喝采づくしを振り返ります。

 

まずオペラでは、ついにメトロポリタンデビューを達成しました! 3回行った中でも、100年ぶりの上演だったビゼー「真珠採り」が、ダムラウらスター3歌手揃い踏み、大晦日のガラ公演という華やかな雰囲気と相まって、大感激でした。
来日公演では、英ロイヤル・オペラの「ドン・ジョバンニ」が高水準。5月にはスターテノール、ヨナス・カウフマンのリサイタルも、数年越しの来日実現とあって感慨深かったなあ。

 

ミュージカルは、やはりNYブロードウエーで観た「パリのアメリカ人」が、予想以上に洗練されたダンスと演出にびっくり。来日公演ではジュークボックス作品の「ジャージー・ボーイズ」が、楽しさ満載だった。
Jポップでは5月に初のサザンオールスターズ、続いて久保田利伸のコンサートに参戦して、踊りまくりました~

 

伝統芸能のほうはまず文楽。このところ大夫陣の厳しさが続いているものの、めでたい2代目吉田玉男襲名公演の「一谷嫩軍記」など、人形、三味線が充実していて頼もしい。
歌舞伎も2月に三津五郎さんが亡くなってショックが大きかったけれど、人間国宝・玉三郎の極付「阿古屋」や仁左衛門らの「新薄雪物語」、中堅では猿之助の「黒塚」などを堪能。
成田山に参詣して、人間国宝・梅若玄祥の蝋燭能「碇引」も観ることができました。

 

落語は今年、ドラマの活躍などでますます気合十分の談春「百年目」や、対照的に緩急自在に磨きがかかる喬太郎「百川」が素晴らしかった。
講談では神田春陽が真打昇進後、定席初のトリ「橫谷宗珉」でお祝いムード。さらになんと浪曲まで初体験し、玉川奈々福「曲垣と度々平~大井川乗り切り」に感心。

 

演劇はまた、たくさん観ました~ なかでも2月の「マーキュリー・ファー」が、観終わって俄かに立ち上がれないほどの名舞台で、やっぱりナンバーワンだったかなあ。高橋一生、半端ないです。
インパクトという点では、藤田貴大「cocoon」再演の圧倒的熱量、「タンゴ・冬の終わりに」の三上博史の憑依ぶりにものけぞった。80歳の大御所・蜷川幸雄の執念さえ感じさせる「ハムレット」は、32歳と大人びた藤原竜也が、さすがの説得力を発揮。
戯曲では大好きな岩松了さん「結びの庭」が、洒落たミステリー仕立てに加えて、「読後感」も深かった。前川知大の「語る室」はいつになく大人のしみじみ感。翻訳ものの「RED」が面白かったので、佐倉までロスコの絵を観に行っちゃいましたよ。
俳優では、倉持裕「虹とマーブル」の小出恵介がなかなかの色気を、「地獄のオルフェウス」の大竹しのぶが振幅の大きさを見せつけてくれました。

 

2016年もいろいろ楽しみます!

2014年喝采づくし

2014年のエンタメまとめ。まず人間国宝の住大夫、源大夫が去って寂しくなってしまった文楽界。キング住師匠の引退公演「沓掛村の段」にしみじみしたなあ。これからは咲大夫や、玉男襲名が決まった玉女(「勧進帳」の弁慶にスケールがあった)、勘十郎(「女殺油地獄」の与兵衛が極め付け)、そして若手で幸助、寛太郎らを応援するぞ! 清治作曲のシェイクスピア劇「不破留寿之太夫」も愛嬌があって楽しかった。

 

世代交代は歌舞伎界も同じ。海老蔵が「雷神」で粂寺弾正などを、市川染五郎が「勧進帳」で憧れの弁慶をみせたほか、菊之助の「白浪五人男」弁天小僧、勘九郎、七之助兄弟の「鰯売」も出色だった。定期的に型の解説を聴くチャンスを得たので、これからも勉強しよっと。

 

オペラは巨匠ムーティのローマ歌劇場公演で、正調イタリア節の「ナブッコ」を聴く。ドミトリー・ベロセルスキー(バス)や合唱が圧巻。その後、楽団員のストなどでムーティが辞任しちゃって驚いたけど。大野和志が凱旋したリヨン歌劇場「ホフマン物語」も変化に富んでいて、パトリツィア・チョーフィ(ソプラノ)が聴かせた。
新国立劇場では尾高忠明芸術監督の締めくくり、「死の都」が甘美な旋律と凝った装置で秀逸だった。後継の飯守泰次郎は一転、開幕をワーグナー「パルジファル」で勝負し、エヴェリン・ヘルリツィウス(ソプラノ)が大迫力でした。METライブビューイングでは「マクベス」のディーバ、ネトレプコがあっぱれの悪女ぶり。カウフマン来日キャンセルなんて、「予想通り」のがっかりもありました~

 

演劇はたくさん観ちゃってなかなか整理がつかないけど、蜷川幸雄演出「ジュリアス・シーザー」が圧倒的だったな。ステップアップした感じの藤原竜也に吉田鋼太郎、阿部寛、横田栄司の豪華キャストが大階段で激突。そして大好きな岩松了さんは再演「水の戯れ」の、人間存在の不確かさが今なお鮮烈でした。
楽しみな若手陣では、前川知大が社会の欺瞞を感じさせた「新しい祝日」、倉持裕「靴」の切なさ、藤田貴大「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―」の愛らしい不器用さが際立つ。岩井秀人の「おとこたち」は老いのリアルを描いて新境地だったかも。
翻訳劇では何故かアイルランドづいていて、骨太の「ビッグ・フェラー」(リチャード・ビーン作、森新太郎演出)、温かい「海をゆく者」(コナー・マクファーソン作、栗山民也演出)が印象的。「おそるべき親たち」(ジャン・コクトー作、熊林弘高演出)の皮肉っぽさや、「背信」(ハロルド・ピンター作、長塚圭史演出)のひりひり感も見応えがあった。毛色が違うところでは、ヨーロッパ企画「ビルのゲーツ」に大笑い。
俳優で目立ってたのは「太陽2068」の成宮寛貴、「ロミオとジュリエット」の菅田将暉、「皆既食」の岡田将生、「わたしを離さないで」の多部未華子、「日のようにさみしい姉がいて」の宮沢りえ、「抜け目のない未亡人」の大竹しのぶ、等々…

 

落語は個人的に2大巨頭と思っている、談春の「文七元結」と喬太郎の「宗悦殺し」に引き込まれた。談春は自意識満載、喬太郎は人を食っていて自由自在と、対照的ながら共に目が離せません。ベテランの小三治、権太楼、新進の三三、一之輔も良かった。そして講談は神田春陽の真打昇進で、「木津の勘助」など。地味なジャンルも頑張ってほしいです!

2013年喝采づくし

振り返れば2013年も大充実の喝采づくしでした。なんといってもヴェルディ、ワーグナーのダブル生誕200年という記念の年。にわかヴェルディ派としては、ハイライトは名門ミラノスカラ座の来日公演かなあ。ハーディング指揮、歌手はマエストリ、フリットリが揃い、カーセンの演出もお洒落だった「ファルスタッフ」、そしてもはや人間国宝と呼びたいレオ・ヌッチがアンコールまでたっぷり聴かせた「リゴレット」が忘れられません。新国立劇場では「タンホイザー」や無敵の定番「アイーダ」なども良かった。

 

加えてもう一つの記念イヤーが歌舞伎座新開場。怒濤のお名残公演から3年、社会現象レベルでお祭り気分が盛り上がった一方で、勘三郎、団十郎という大輪の華を失い、三津五郎、仁左衛門が病気療養、年末には福助まで倒れてまさかの襲名延期と、禍福あざなえる縄の如し。危機感が高まるなかで大奮闘の吉右衛門さん「熊谷陣屋」「石切梶原」、菊五郎さん「弁天娘女男白浪」が、ベテランらしく楽しませてくれた。2014年は菊之助、七之助ら若手の成長を応援するぞ!

 

演劇はたくさん観過ぎて、なかなかまとめきれないけれど、まずは別格の岩松了さん。「シダの群れ」なんと3作目は待望の阿部サダヲ、小泉今日子コンビが切なくて楽しくて、とても愛おしいシリーズになってきた。大好きな若手・前川知大はオリジナルの「片鱗」で、また演劇界中核の長塚圭史は三好十郎作「冒した者」で、いずれも震災後の社会の不透明さを鋭く描いていたと思う。前川くんは少々理屈っぽいけど、知的な戯曲と、感覚を刺激する演出で、どんどん見逃せない存在になってく感じです。
そしてタイプは違えど、いずれもエンタメ性が図抜けているお二人、まず巨頭蜷川幸雄は1月に狭心症の手術を受けたとは思えない活躍ぶりで、中でも「ヘンリー四世」のスケール感が印象的だったなあ。同じく息もつかせぬハードワークの三谷幸喜は、橋爪功と大泉洋のロナルド・ハーウッド作「ドレッサー」が秀逸だった。ご両人のあくなき創作欲、パワーにはとにかく脱帽。
俳優ではやっぱり宮沢りえが圧巻の活躍ぶり! 野田秀樹「MIWA」や蜷川さんの「盲導犬」、さらには私は見てないけど、三谷さんの「おのれナポレオン」で急遽代役までつとめちゃった。舞台女優として、すっかりワンランク上のポジションを確立しましたね。男優陣は蜷川さん「ヴェニスの商人」の市川猿之助、長塚さん「マクベス」の堤真一らがさすがの存在感だったし、いのうえひでのり「今ひとたびの修羅」などの小出恵介が案外、いい脇役になってきたのも、今年の発見です。来年もこうした劇作家、演出家、俳優さんに加えて、倉持裕、ケラリーノ・サンドロヴィッチらもウオッチしたいです… 忙しいなあ。はは。

 

さらに文楽では「心中天網島」をじっくり掘り下げた咲大夫・燕三コンビ、クラシックでは小澤アカデミーの「弦楽セレナーデ」に大感動。そして落語はやっぱり立川談春の「居残り佐平次」が色気たっぷりで充実してた! 喬太郎、三三、正蔵さんも聴き続けたいし、さあ、2014年も気合を入れて楽しむぞ〜。

2012年喝采づくし

昨年の談志さんに続き、勘三郎さんの悲報が何よりショックだった2012年。個人的には3月の平成中村座で「傾城反魂香」のおとくを観たのが最後になってしまった。でも脚本に宮藤官九郎を迎えたコクーン歌舞伎「天日坊」で、襲名披露中の勘九郎や七之助、獅童が見事な高揚感をみせ、次世代への期待も膨らんだ。歌舞伎では話題の新・猿之助も襲名披露の狐忠信で躍動し、ベテランでは国立劇場「熊谷陣屋」の団十郎さんが素晴らしかった。

文楽は補助金削減騒動のほか、キング住大夫さんが5月
「傾城反魂香」で聴いた後に長期の病気休演に入ってしまい、太夫冬の時代を感じさせた。しかし作・演出三谷幸喜の意欲作「其礼成心中」が大変面白く、本家の国立劇場も展開の速い「彦山権現誓助剣」や玉女・勘十郎・蓑助が揃った「夏祭浪花鑑」、咲大夫・嶋大夫の豪華リレー「冥途の飛脚」などで楽しませてくれた。人形では中堅の一輔、幸助らを応援したい。 

伝統芸つながりで落語は、志の輔、談春、正蔵、兼好、喬太郎さんらにたっぷり笑わせてもらいました。

 

演劇はたくさん観たけど、イキウメ「ミッション」の前川知大が一押し、次にモダンスイマーズ「楽園」の蓬莱竜太か。日常の延長線上に現代的な矛盾を鋭く示していて、2人とも今後が楽しみだ。また鄭義信「パーマ屋スミレ」が強靱な問題意識を示しつつ、決して頭でっかちにならないエンタメ性もみせて秀逸。野田秀樹は「THE BEE」再演、「エッグ」で力業を見せつけた。ほかには長塚圭史の「ガラスの動物園」「南部高速道路」がスタイリッシュだったし、ケラリーノ・サンドロヴィッチは「百年の秘密」のほろ苦さが巧かっった。蜷川幸雄は相変わらず驚異的な仕事量で、さいたま芸術劇場「シンベリン」などが痛快。井上ひさし生誕77フェスティバルでは「十一匹のネコ」や栗山民也・野村萬斎の「薮原検校」、蜷川幸雄演出で大竹しのぶと藤原竜也が抜群の安定感を示した「日の浦姫物語」がよかった。  

演劇のなかで女優を一人あげるなら、何と言っても宮沢りえ。「下谷万年町物語」
「THE BEE」での美しさと危うさが素晴らしかった。男優は「トップドッグ/アンダードッグ」の堤真一も捨てがたいけど、ここは若手に期待して高橋一生。深津篤史の難解な「温室」、白井晃の実験劇「4 four」で図抜けた存在感を示した。

 

オペラはコンサート形式ながら、マリインスキー歌劇場ランメルモールのルチア」の歌う女優、ナタリー・デセイが圧巻だった。意外に後ろの方の席にいた小泉元首相もお喜びの様子でしたね。来日公演ではベテラン・グルベローヴァの最終公演で盛り上がったウィーン国立歌劇場「アンナ・ボレーナ」、文句なしに楽しいウィーン・フォルクスオーパー「メリー・ウィドウ」、新国立劇場でも人気者クヴィエチェンが活躍したドン・ジョバンニ」や「トスカ」がよかった。

 

さてさて2013年は歌舞伎座が復活するし、ますます忙しくなりそうです!

2011年喝采づくし

2011年の喝采づくしをメモ。いつにも増してお芝居に足繁く通い、世の無常を強く思ったり、それに立ち向かっていく舞台人の姿を胸に刻んだりした1年でした。オペラは空前の来日ラッシュが一転してキャスト変更ラッシュになり、ハラハラもまた楽しみでありました。談志さんの訃報が大ショック。

 

演劇はやはり3月震災直後の野田秀樹「南へ」が、覚悟を感じさせて圧巻でしたねえ。舞台がなまものであることの難しさ、しかしだからこそ意図を超えて響くこと、を思いました。蜷川幸雄も5月の井上戯曲「たいこどんどん」、7月の「血の婚礼」に迫力があった。岩松了さんはさすがの安定感で、2月「国民傘」の深さ、12月「アイドル、かくの如し」の明るさが印象的。
4本も観た三谷幸喜はどれも完成度が高かったけど、4月「国民の映画」、12月「90ミニッツ」が切実で、引き込まれた。長塚圭史の7月「荒野に立つ」、倉持裕の5月の「鎌塚氏、放り投げる」、白井晃の6月「幽霊たち」もそれぞれ個性的で、洒落てましたね。俳優陣では「ろくでなし啄木」の勘太郎、「猟銃」の中谷美紀が楽しみ。

 

オペラはホロ様、パーペが揃ったMET「ドン・カルロ」、代役のボータが実力全開だったバイエルンの「ローエングリン」がさすがの水準で、面白かった。METのライブビューイングにもかなり通うようになり、デゼイの「ルチア」、フローレスの「オリー伯爵」、ネトレプコの「アンナ・ボレーナ」など、スクリーンながらスターの華を楽しみました。

 

文楽は5月「源平布引滝」の「かいな」で住大夫さん、12月「奥州安達原」の「袖萩祭文」で勘十郎さんの妙技を堪能。歌舞伎は歌舞伎座のさよなら公演に通い詰めたころと比べるとちょっと一服でしたが、「石川五右衛門」の染五郎が意外によかったかな。

 

落語の談志さんは1月の一門会で、「子別れ」を聴いたのが最後になってしまいました…。本当に残念。志の輔さんの「大河への道」、談春さんの「紺屋高尾」が心に残った。

 

コンサートは7月に念願のRIP SLYME、12月に前から気になっていた山崎まさよしを聴く機会があり、満足。9月にドリカムの大規模なお祭り、ワンダーランドに足を運んだのも忘れられません。さあ、2012年もいろいろ楽しむぞ!

2010年喝采漬け

年末に2010年の観劇記録をまとめてみます。毎週のように、何かしらエンタテインメントに足を運んでいたので、息もつかせぬ喝采漬けでした。

なんといってもハイライトは、9月の英国ロイヤル・オペラ「マノン」でしょうか。キャスト変更のハプニング相次ぐなか、期待を一身に集めて無事に来日したネトレプコが、劇場全体を振るわせる圧巻のプリマ・ドンナぶりを見せつけ、一流の誇りというものを感じさせました。オペラでは、7月のトリノ王立劇場「ラ・ボエーム」のフリットリも美しく、実力があって素敵だったし、ほろ苦い物語にも魅せられました。2、3月には新国立劇場「トーキョーリング」をついに完走。

もう一つのハイライトは、やっぱり4月の歌舞伎座さよなら公演「助六由縁江戸桜」。一連のさよなら公演では、「家の芸」を数々堪能したけれど、「助六」の団十郎、玉三郎、仁左右衛門、菊五郎、勘三郎…という超豪華配役に、徹頭徹尾現実離れした破天荒な展開は、図抜けた存在感でした! 市川宗家については年末、海老蔵事件なんてがっかりの展開もあったけど…

歌舞伎同様の伝統芸能といえば、文楽。九月公演第二部「桂川連理柵」が、チャリ場から心中へと変化に富んでいて面白かったかな。嶋大夫さん、熱演でした。九月公演第一部で、没後40年の三島歌舞伎「鰯売恋曳網」を文楽に置き換えた咲大夫さん、2月に極めつけ「曾根崎心中」を遣った吉田蓑助さん、それから9月の住大夫さんの素浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」も楽しみました。

いちばん数多く観たのは、演劇でしょうか。いつも楽しみにしている岩松了さんは、9月のシアターコクーン「シダの群れ」が、お馴染みの深い会話劇で目が離せなかった。阿部サダヲの切なさが際立ってたけれど、江口洋介も案外渋かった。
意外だったのは、5月のパルコ・プロデュース公演「裏切りの街」。三浦大輔はエグイ内容なのに、不思議な雰囲気があることを発見。嬉しい驚きです。秋山菜津子、田中圭もよかったし。
ほかに印象的だったのは、11月に来日したロベール・ルパージュの「ブルードラゴン」。凝った大人の舞台でしたね。ちなみに市川宗家に対抗する注目株、亀治郎さんが出た10月の彩の国シェイクスピア・シリーズ「じゃじゃ馬馴らし」も、蜷川幸雄演出のオールメール・シリーズでけっこう面白かった。同じく大物の野田秀樹は、「ザ・キャラクター」が圧倒的に話題だったけど、私としては9月のNODA・MAP番外公演「表にでろいっ!」が、小規模ながらさすがのリズム感、と思いました。

ミュージカルでは5月のブロードウェイ・ミュージカル「ドリームガールズ」で期待通り、本場の抜群の歌唱力を、なんと最前列で堪能。とにかく「リッスン」は名曲です!

名曲といえば、コンサートでは7月の久保田利伸コンサートツアー「Timeless Fly」で感激。ついに「ミッシング」を生で聴いたのが、幸せでした~

そして年末は談春さん独演会、感動の「文七元結」でしめくくりました。落語も志の輔、鶴瓶、喬太郎、三三……と聴くうちに、噺家さんの個性というか、演じる者の自意識みたいなものを感じるようになってきて、ますます面白いなあ。

最後に番外編を2つ。ひとつは10月のワーナー創立40周年記念のイベントで、なんと初の武道館という大御所山下達郎さんが、メッセージをこめて歌った「希望という名の光」。もうひとつは11月、立川一門会でトークの予定を急きょ変更し、病後の談志さんがついに「へっつい幽霊」を演じたこと。いずれも長いキャリアの重みというか、舞台にこめる思いと伝える力に圧倒されました。やっぱりその場に居合わせて目撃するということは、インパクトが大きい経験です。

いやー、1年間、こうやって抜粋するだけでも大変。ちょっと詰め込みすぎかな~
とはいえ2011年は、オペラの引っ越し公演ラッシュで多忙必至だし、落語もいろいろ聴きたいし、暇にはなりそうにありません。来年も、いろんな感動に出会うぞぉ!

2009年喝采づくし

2009年は異様にたくさんの舞台、コンサートに足を運びました。

特筆すべきは「歌舞伎座さよなら公演」ということもあり、毎月のように頻繁に歌舞伎を観たこと。古典から現代風まで、そのサービス精神の幅広さに驚く。印象的だったのは、極め付き藤十郎さんの「曾根崎心中」、幻想的な玉三郎・海老蔵の「天守物語」、勘三郎が早変わりでみせた「怪談乳房榎」、幸四郎の弁慶、染五郎の義経、吉右衛門の富樫という顔合わせの大好きな「勧進帳」。さらには団十郎さんの家の芸「外郎売」、仁左衛門さんが色っぽかった「祇園一力茶屋の場」… 書いていたらきりがないなあ。

文楽では初体験が二つありました。一つ目は本場の国立文楽劇場に二日がかりで繰り出したことで、通し狂言「義経千本桜」をたっぷりと。二つ目は素浄瑠璃で、キング住大夫の「菅原伝授手習鑑 桜丸切腹の段」! キングには「伊賀越道中双六」沼津の段でも、至芸を堪能させて頂きました。文楽と歌舞伎は並行してみると、素人なりに理解が進むというか、相乗効果が大きいかも。

引き続きオペラも手は抜きません。ミラノスカラ座の「ドン・カルロ」、ガッティ指揮がよかった。なにしろルネ・パーペ、バルバラ・フリットリだもの。美しくも、考えさせる舞台でした。新国立劇場では、ついに長尺トーキョーリングに挑戦。音楽といいセットといい世界観といい、大迫力で、後半戦は2010年に続きます。超絶技巧の「チェネレントラ」や「魔笛」も、理屈抜きに楽しかった。

演劇をずいぶん観たのも、09年の収穫。先入観を覆した中井貴一、西岡徳馬の「十二人の怒れる男」や、森山未来が繊細だった「ネジと紙幣」、北大路欣也さんが威風堂々だった「フロスト/ニクソン」、そして雰囲気たっぷりの「マレーヒルの幻影」など。演劇の楽しさを知るのは、まだまだこれからっていう気もしてますが。

以上でもうお腹いっぱいですが、実はコンサートにもいっぱい行っちゃいました。とにかく名曲揃いで、存在感が圧倒的だった松任谷由実。思えば加藤和彦さんが出演した、前日の回だったんだよね。それからシンプルなのに求心力抜群だったMr.Children、上手くて、一生懸命さが伝わってきたコブクロ、文句なく楽しいゴスペラーズ。ライブはやっぱりアーティストが持つオーラで差がでるよね~。ユニコーンではつくづく、「バンドっていいなあ」と思った。忌野清志郎が亡くなった直後で、ライブ前後にRCがかかって聴衆が拍手していたのも印象的…

そういえばミュージカル「RENT」にも行きましたよ。ほかにもいろいろあったけど、もう書き切れません。インプット過剰で消化できていない気がしつつも、この勢いで2010年に突入します!

2008年喝采づくし

2008年は夫婦して、かつてなく熱心に舞台に足を運びました。もう、喝采漬けの日々。特に文楽デビューを果たし、文楽、能狂言、歌舞伎、落語のリンケージをかいま見たこと、そしてオペラと並んでオーケストラコンサートを体験したことが、至福でしたねー。ちょとまとめ。

クラシックは何といってもムーティ! ウイーン国立歌劇場「コシ・ファン・トゥッテ」(10月)と、ウイーンフィル(9月)が甘美で夢見るようでした。オペラは新国立劇場「アイーダ」(3月)、ゲルギエフ指揮のマリインスキーオペラ「イーゴリ公」(2月)も大迫力だったなあ。
デビューした文楽は計3回行きましたが、やっぱり国立劇場文楽公演9月。豊松清十郎襲名披露で豪華な顔ぶれ。80歳を過ぎた竹本住大夫さんの人間力が凄い! 桐竹勘十郎さんも格好いいし。これは奥深い予感。
歌舞伎は平成中村座。コクーンの「夏祭浪花鑑」(6月)が、これでもかというサービス精神で、楽しませてくれました。京都南座の顔見世(12月)まで足を伸ばし、充実しました。
忘れちゃならない落語は、立川談春独演会(12月)。08年に「赤めだか」でもブレイクした古典本格派! 憧れの談志さんも見ることができたし、志の輔さんも知的で工夫満載で好きだけど、談春さんにはリアルな人間描写の凄みがある。楽しみですねえ。
演劇は岩松了「羊の兵隊」(7月)。初めて本多劇場に行きました。中村獅童さんが存在感あったなあ。あ、この人も歌舞伎だな。三谷幸喜「グッドナイト スリイプタイト」(11月)はお洒落で、安心して楽しめました。
コンサートは武道館「忌野清志郎完全復活祭」(2月)ではじけた。復活の感慨にひたったのもつかの間、7月にガンの転移を発表して再び治療に専念している。再復活を祈るばかり。
変わり種でシルク・ドゥ・ソレイユにも行きましたね。ディズニーリゾートの常設劇場で「ZED」(10月)。無重力かのようなパフォーマンスの驚きと、衣装や照明の美しさとの調和が素晴らしかった。

オペラに続いて文楽を知り、何か抜け出しがたい世界に足を踏み入れた気がしていますが、まあ、09年も楽しみたいです!