講談「山田青龍軒」「細川茶碗屋敷」「お紺殺し」
噺小屋in池袋 葉月の独り看板 神田春陽 2026年8月
ちょっと久しぶりに神田春陽。人情ものと怖い話をたっぷりと。客演の林栄一のサックス演奏もあって贅沢でした。東京芸術劇場シアターウエスト、二列目中央当たりの良い席で3800円。仲入を挟んで2時間。
前座はいつもの神田ようかんで「三家三勇士」より「山田青龍軒」。敵討ちに赴く途中、中間が偵察した道場の面々が卑劣で…。自信が増した感じで頼もしい。めくりを忘れて突っ込まれていたけど。
春陽さん1席目は、クルーズの仕事で北米に行って船酔いになったり帯状疱疹にかかったり、でも昨日は野球観戦に行った…などと話して、「細川茶碗屋敷」。ストーリーはお馴染み落語の「井戸の茶碗」で、登場人物が善人ばかりで爽やかだ。50両を受け取る受け取らないで、長屋の4畳半なのに刀と槍を持ちだして…と、軽妙に笑わせる。落語だとオチは「娘を磨くのはよそう、また小判が出るといけない」だけど、こちらは青井戸の茶碗を田沼意次に献上して屋敷を賜った、という由来を語っていました。
仲入後のゲストは、なんと山下洋輔トリオに加わって活躍したサックスの林栄一! 「春陽さんはライブに来てくれる、挨拶ぐらいなんだけど」と言って、淡々とひとりで演奏。うねるようなフレーズ、鋭い高音は76歳とは思えません。後半、スタンダードの「スマイル」を混ぜたり自由自在だ。これがチャップリン作「モダン・タイムス」のテーマ曲だと思うと、先日文楽で「まちの灯」を観たこともあってなんだか感慨深かった。
続いて春陽さん2席目。林さんがいきなりフリーからスタートしたと聞くと、弟子に基本を教えなくてもいいのかな、などと呟いて「新吉原百人斬」から「お紺殺し」。吉右衛門で観た河竹新七作の歌舞伎「籠釣瓶花街酔醒」の元ネタだ。この日の話は享保年間の事件の前日譚にあたり、あばた顔の次郎左衛門の父親、佐野次郎兵衛の悪行を描く。次郎兵衛は上州・佐野の絹商人として成功していたが、ある年の瀬、江戸から帰る戸田の河原で、かつて捨てたお紺と再会し、だまして川へ突き落としちゃう。寒々とひとけの無い河原、お紺の悲惨な容貌。春陽さんが迫力満点だけに、怖いのなんの。やがて親の因果が子に報い…というところで幕となりました。涼をとるには怖すぎでした~







