クラシックコンサート

バイエルン「少年の不思議な角笛」「ワルキューレ」

第15回記念NHK音楽祭2017 バイエルン国立管弦楽団  2017年10月

ワーグナーのお膝元バイエルン国立管弦楽団を引き連れ、音楽総監督キリル・ペトレンコが初来日。1972年ロシア生まれ、2019年からベルリン・フィルの首席指揮者就任が決まっている。しかも美声のクラウス・フロリアン・フォークト(ドイツのテノール)が登場し、圧巻のドラマを満喫した。
この座組のオペラ公演はなんと平日昼間だったため、なんとか1日限りのコンサートに駆けつけた次第。おひとり様ワグネリアンが目立つNHKホール、1F後ろのほうA席で2万円。休憩を挟んで3時間弱。

まずマティアス・ゲルネ(ドイツのバリトン)が登場し、マーラーの歌曲集「少年の不思議な角笛」から7曲を。軽妙な恋の歌などをへて、少年鼓手の死に至る。打楽器が活躍。
休憩後、いよいよワーグナー楽劇「ワルキューレ」第1幕。ピュアなジークムントにフォークト、双子の妹ながら運命の恋に落ちる情熱的なジークリンデに、エレーナ・パンクラトヴァ(堂々たるロシアのソプラノ)。それぞれの身の上話(クドキですね)をしっかり聴かせ、幕切れの愛の2重唱へと、ぐんぐん盛り上がる。夫フンディングのゲオルク・ツェッペンフェルト(ドイツのバス)もドレスデン国立歌劇場の宮廷歌手とあって、豊かな表現だ。
小柄なペトレンコは激しいアクションで、きめ細かく起伏を表現。演奏会形式だけに演出に気を取られず、声の魅力を存分に楽しめて、贅沢な時間でした~
ホワイエでは知人のエコノミストらに遭遇。

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ベルリン・フィル ベートーヴェン「交響曲第4番」「第7番」

サントリーホール開館30周年記念事業 TDKオーケストラコンサート2016 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演 ベートーヴェン交響曲全曲演奏会 2016年5月

2018年に任期満了となる主席指揮者サー・サイモン・ラトルとのコンビで、2年半ぶり6度目の来日。台北から回ってきたというツィクルスの4日目に足を運んだ。上品な雰囲気のサントリーホール、前の方やや上手寄りのいい席で、強気の4万2000円。休憩を挟み2時間強。

メンバーからちょっと遅れてコンマスの樫本大進が登場。格好いいなあ。まずは第4番。素人だけど比較的少人編成のベーレンライター版とはいえ、自由で爽快な印象。オーボエが格好いい。
そして休憩後は人気の第7番。お馴染みの第1楽章の緩急から、行進曲風リズムと弱音が印象的な第2楽章。そして躍動感高まる第3楽章、堂々たる第4楽章へ。やや管が不調なところもあった気がするけど、うねるような音のシャワーを全身に浴びて、健康にいいなあ。
経済人や学者、同僚に会いました~

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アンナ・ネトレプコ コンサート

アンナ・ネトレプコ スペシャルコンサートin JAPAN2016  2016年3月

女王ネトコ様の11年ぶり来日リサイタルに足を運んだ。個人的には2010年ロイヤルオペラ来日での「マノン」以来。忘れられないホールを圧する迫力はそのままに、METライブビューイングで最近感じていた重く、豊かな表現が加わって、圧巻のパフォーマンスだ。
昨年末に再婚したアルジェリア出身、髭のテノール、ユーシフ・エイヴァゾフと交互のソロ、2重唱で構成。東フィルを従え、近々新国立劇場に登場するイタリアの若手、ヤデル・ビニャミーニがヴェルディからヴェリズモまでを指揮する。けっこう幅広いファンが集まったサントリーホール大ホール、2階下手寄り最前列で、強気の3万8000円。20分の休憩を挟み2時間半。招聘はカジモト。

冒頭、「運命の力」序曲で盛り上がった後、クリームイエローのふんわりしたドレスのネトコ様が登場。「私は神の卑しいしもべです」の第一声で、余裕たっぷりにホールを掌握する。2重唱「すでに夜も更けた」までは、ヴェルディを中心にロマンチック、かつ技巧を聴かせる。ピアニシモも響きます。
後半は一転、光沢あるブルーグレーの裾広がりドレスで、「ある晴れた日に」から情感をこめて押しまくる。ドラマチックなプッチーニ中心の選曲だ。夫君もネトレプコに比べれば一本調子ながら、声に張りがあり、「星は光りぬ」などで健闘する。幕切れの2重唱「貴方のそばでは、僕の悩める魂も」に至っては、看守役・狩野賢一(バスバリトン)の点呼に2人が誇り高く呼応。愛に死す決意に圧倒された。セットも衣装もないのに、しっかりと感動させちゃう!
お楽しみアンコールでは、いきなりネトレプコが裸足で走り出て、明るい「山こそ我が故郷」でダンスを披露。期待通りのお茶目さ全開で、手拍子も飛び出す。ユーシフは今秋METデビューを飾る演目から、お馴染み「誰も寝てはならぬ」を力一杯披露。跪いて拍手に応えてた。ラストは名曲「忘れな草」。受け取った花を客席に投げ入れるサービスで、楽しく幕となりました。

女王は今44歳。今年はいよいよ、バイロイトでワーグナーを歌うとか。シーズン後半のせいかちょっと細くなって、豪華なアクセサリーも素敵でした。今回の新婚旅行がわりみたいなアジアツアーは、昨年のカウフマンのようなピアノ伴奏に比べればリッチな舞台だったけど、やっぱり本格オペラの舞台で聴きたい人だなあ! 終わってから黒柳徹子さんを見かけたけど、聴いてたのかしら。以下セットリストです。

ヴェルディ「運命の力」序曲
チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」より「私は神の卑しいしもべです」(ネトレプコ)
チレア「アルルの女」より「ありふれた話(フェデリーコの嘆き)」(エイヴァゾフ)
ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」より「穏やかな夜…この恋を語るすべもなく」(ネトレプコ)「ああ、あなたこそ私の恋人…見よ、恐ろしい炎を」(エイヴァゾフ)
ヴェルディ「アッティラ」序曲
ヴェルディ「オテロ」より「すでに夜も更けた」(ネトレプコ、エイヴァゾフ)
プッチーニ「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」(ネトレプコ)
プッチーニ「トスカ」より「星は光りぬ」(エイヴァゾフ)
ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」より「亡くなった母を」(ネトレプコ)「5月のある晴れた日のように」(エイヴァゾフ)
プッチーニ「マノン・レスコー」間奏曲
ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」より「貴方のそばでは、僕の悩める魂も」(ネトレプコ、エイヴァゾフ、狩野賢一)
Encores
カールマン「チャールダーシュの女王」より「山こそ我が故郷」(ネトレプコ)
プッチーニ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」(エイヴァゾフ)
クルティス「忘れな草」
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HANDEL Messia

HANDEL Messiah Oratorio Society of New York  2015年12月

番外編ニューヨークでの第一弾は、クリスマスらしい演目というチョイスで、ヘンデル「メサイア」を聴く。思いがけず憧れのカーネギーホール、中央あたりで$86。1部の後に休憩があり、2,3部を続けて約3時間。

Oratorio Society of New York(オラトリオ・ソサエティ・オブ・ニューヨーク)はまさにここ、カーネギーホールを拠点とする非営利組織で、1873年設立。なかでもメサイアは伝統の上演らしい。モーツアルト編曲版で。音響効果もあるのか、とても心地よい。

実は2部ラストの「ハレルヤコーラス」では聴衆も全員立つ、という習慣を知らなくて、びっくり。休憩時には客席で知人同士が盛んにおしゃべりしていたり、廊下で親切にもキャンディを配っていたり、気取りのない雰囲気が楽しい。比較的、年配の人が多かったかな。

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小澤アカデミー演奏会 グリーグ「ホルベアの時代より」

小澤国際室内楽アカデミー奥志賀2015演奏会  2015年7月

この演奏会に足を運ぶのは3回目。小澤征爾が風邪で急きょ休演したのは、とても残念だったけど、彼が指導した若手たちの頑張りに胸がじんとした。東京オペラシティコンサートホールの前から数列目、ほぼ中央のいい席で4500円。いつもながら年配のクラシック関係者らしい人が目立つ。休憩を挟んで2時間弱。

前半はアカデミー生の4重奏6組。ぎりぎりに到着して、1曲目は最後列だったけど、2曲目からは息遣いまで感じられる席でした。特に弾きはじめなどの緊迫感が凄い。
今年は出身地が絞られて、日本のほか中国と台湾の、18歳から27歳。みな有望で、現代的なバーバーの松岡井菜(violin)、城戸かれん(violin)や、美しいシューマンの石田紗樹(violin)、有田朋央(viola)ら、ところどころ線が細い感じはするものの、堂々たるものだ。ラストは昨年結成のクァルテット奥志賀が、ブラームスで安定感を披露。お馴染み会田莉凡(violin)、小川響子(violin)、七澤達哉(viola)、黒川美咲(cello)。

休憩後はお楽しみ、アカデミー生全員に講師のジュリアン・ズルマン(violin)や川本嘉子(viola)らが応援に加わった合奏だ。まず会田が下山したけど東京は暑い、と笑わせ、小澤の妥協を許さない指導、4重奏はすべての基礎、という熱い教えを語る。予定していたベートーヴェンを割愛し、グリーグ「ホルベアの時代より」作品40より第1、4、5楽章を力一杯に。バロック調のリズムやピチカートに乗った印象的なソロなど、変化に富んだ音色が楽しめる。なかでも会田と七澤の息の合った掛け合いが微笑ましい。
珍しく第1楽章をアンコールして終了。拍手。

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カウフマン「ケルナーの12の詩」「詩人の恋」「マティルデ・ヴェーゼンドンクによる5つの詩」「ペトラルカの3つのソネット」

ヨナス・カウフマンジャパンツアー  2015年5月

やっぱりスターテノールのライブは大迫力だった。2014年10月に「健康上の理由」でキャンセルになった公演の振り替えで、2011年にもオペラ公演を手術でキャンセルしたとあって、事前にはクラシック雀たちが「今回は本当に来るの?」「高額チケットの売れ行きは?」「どうやら来日はしたらしいけど…」とハラハラドキドキ。しかも当日、大きい地震が発生!
けれど結果的には、充実のステージで大満足だった。お洒落おばさまが多いサントリーホール、前寄りやや上手のいい席で強気の2万6000円。プログラムもなんと昨年のものをそのまま、1000円引きの3000円で販売していてびっくり。

もちろん大切なのは歌。ほぼ時間通りに本人とピアノのヘルムート・ドイチュが登場すると、会場にほっとした空気が流れる。外見は美形だけど、白髪交じりのクシャクシャ頭に髭で無骨な印象。プログラムはリート中心。前置き抜きでシューマン「ケルナーの12の詩」からスタートする。 暗めの声質はライブビューイングでのイメージ通りながら、「ひそかな涙」の、大ホールを全く感じさせないパワーは想像以上だ。4曲の予定を5曲に増やしてロマンチックに。
いったん引っ込んで、シューマンがハイネの詩に曲をつけた「詩人の恋」へ。短い第1曲から第16曲までをたたみかけていくと、次第に声の多彩さ、落差に引き込まれていく。決して超絶技巧ではないのに、キラキラした高音や明るいリズムから低音の苦悩まで、楽々とコントロールしていてさすがです。

短い休憩後、いよいよワーグナー「マティルデ・ヴェーゼンドンクによる5つの詩」。革命失敗でチューリヒに逃れた作曲家が、こともあろうにパトロンの銀行家の妻と恋に落ち、彼女の詩に曲をつけたそうな。カウフマンにはやっぱり、リートというよりオペラ的な、このスケール感がよく似合う。「ローエングリン」名序曲を思わせる第1曲「天使」、ドラマチックな第2曲「とまれ!」、さらに同時期に手掛けていた「トリスタンとイゾルデ」のための習作、第3曲「温室で」と本領を発揮し、情熱が前面に出て圧巻だ。
第4曲「苦しみ」で聴衆がたまらず拍手しちゃって、「まだよ」と小さく指でバツを出す一幕も。案外、お茶目です。そしてやはりトリスタンにつながる第5曲「夢」でたっぷり感動させた終盤、会場に細かい揺れが発生。動じず歌い切ったけど、拍手の間に強く長い横揺れとなり、ステージ上の照明などがユラユラするのを、不安そうに指さすヨナス様。
スタッフが問題無しと判断したらしく、なんのアナウンスもなかったとはいえ、このまま帰っちゃうのではと、聴衆が思わず手拍子で励ます展開に。普通に再登場したあたりから、いやがおうにも盛り上がりが高まる。
そしてイタリア語のリスト「ペトラルカの3つのソネット」3曲がまた素晴らしかった。地震後の不安はみじんもなく、繊細かつ力強い高音を聴かせ、表現の振幅もますます大きくなって雄弁。

聴衆が大満足して満場の喝采。そしたらなんと、上機嫌でアンコールを5回、5曲も歌ってくれました~ ドイチュが再登場のとき楽譜を持ってるとアンコールのサインなので、帰ろうとした人が何度も慌てて席に戻る。特に後半、気楽なレハールのオペレッタ尽くしは彼の定番らしく、古風だけど明るくダイナミックな曲調と、強く歌い上げる幕切れで聴衆は文字通り総立ち。声だけでこれほど沸かせるって凄いことだ。最後は何度も丁寧にお辞儀して、投げキッスしながら去っていきました。いい奴じゃん。

リスト「それはきっと素晴らしいこと」
ベナツキー「それは素晴らしいもの」(オペレッタ「白馬亭」)
レハール「君こそわが心の全て」(オペレッタ「微笑みの国」)
レハール「僕は女たちによくキスをした」(オペレッタ「パガニーニ」)
レハール「友よ、人生は生きる価値がある」(オペレッタ「ジュディッタ」)

客席には高円宮妃殿下や秋川雅史さんの姿も。野生的なスターらしさ。いや~、いいもの聴かせてもらった。諦めなくて良かったです。
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小澤アカデミー演奏会 バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメントより」

小澤国際室内楽アカデミー奥志賀2014演奏会 2014年7月

昨年に続いて、アジアの若い演奏家を育てる小澤征爾主宰NPO法人の演奏会で、生き生きしたエネルギーに触れる。聴衆も関係者が多く、応援モードで気持ちがいい。東京オペラシティコンサートホールの2Fバルコニーで3500円。ステージを下手側の上から眺める位置で、オザワの指揮ぶりをつぶさに。休憩を挟んで約2時間。

25人中8人はシンガポール・オーディションの選抜メンバーで、昨年より若く、日本人が増えた感じ。なんと17歳の現役女子高生もいる。偉いなあ。海外勢は韓、中、豪、マレーシアから。時折、弱音などに難はあるものの、みな堂々たる演奏ぶりだ。
前半は4重奏6組が1楽章ずつを披露する。スメタナ「わが生涯より」の三井恵理佳(ヴァイオリン)、ベートーヴェン「ハ長調59-3」の伊藤悠貴(チェロ)、ラヴェルの小島燎(ヴァイオリン)、有田朋央(ヴィオラ)ら、楽しみですねえ。出入りの時に楽屋から円陣みたいな歓声が聞こえるのが、なんとも微笑ましい。
後半はいよいよ合奏になって、小澤さんが登場。椅子を用意していたものの、ほとんど立って、最後のほうは踊るように指揮していて、大喝采だ。バッハ「2つのヴァイオリンのための2重協奏曲BWV1043より第2楽章」では、会田莉凡と小川響子が独奏。力強い。そしてバルトーク「弦楽のためのディヴェルティメントより第2、3楽章」。変化にとんだ自然を感じさせる。やっぱりナマの弦の波動はいいな。1楽章ごとに席替えするのが、教室っぽくてまた可愛いです。
カーテンコールはお馴染み、指導の小栗まり絵、川本嘉子、原田禎夫も登壇して盛り上がってました。

小澤アカデミー演奏会「弦楽セレナーデ」

小澤国際室内楽アカデミー奥志賀2013演奏会  2013年7月

小澤征爾が2011年に設立し、アジア圏の若い音楽家を指導しているNPO法人の演奏会に足を運んだ。思いがけず至近距離で小澤さんの指揮に触れて大満足。
初めての東京オペラシティコンサートホールの、前の方左寄りのいい席で4000円。ステージ後方にオルガンのパイプが並び、頭上高くの天窓から空が見えて教会のような雰囲気だ。聴衆はアカデミーの支援企業など関係者らしきグループに加えて、年配男性のクラシックファンや着飾った女性ら幅広く、開幕前から応援ムードが漂う。

前半は若手たち6組が登場し、それぞれ弦楽4重奏を披露。18歳から27歳と初々しいものの、演奏は立派だ。それもそのはず、プログラムの紹介を読むと一流どころへの留学、数々の受賞歴など、日、韓、台、中、豪から集まった俊英揃いらしい。ラストJanaQuartetの天津出身の2人は双子ちゃんかな。曲はモーツアルト、ブラームス、チャイコフスキー、ドビュッシーと続いて、ベートーヴェンが格好良く、ベルクは前衛的。
休憩後、お待ちかね小澤さんが登場し、チャイコフスキー「弦楽セレナーデハ長調作品48」を全員で。小澤さんは昨年、療養で演奏活動を休んでいたし、ずいぶん痩せているけれど、至近距離ということもあり、チャーミングなオーラが全開。第1楽章後の席替えを挟み、3、4楽章と30分ちかくを振り切りました。曲はもちろん切なく可愛らしく、めっちゃ感動。最後は指導にあたった川崎洋介、川本嘉子、原田禎夫もステージに上がり、何度もスタンディングオベーションにこたえてました。

クラウス・フォークト「美しき水車小屋の娘」

東京春祭歌曲シリーズvol.11 クラウス・フロリアン・フォークト  2013年3月

人気テノールのリサイタルで、シューベルト「美しき水車小屋の娘」D795を聴く。初めての東京文化会館小ホール、真ん中あたりの席で8500円。年配の女性グループや男性ひとり客らクラシック好きが集まった。珍しく20分の休憩を挟んで2時間弱。ピアノはイェンドリック・シュプリンガー。
定刻を少し過ぎて登場したフォークトは大柄で、みるからにワーグナー歌いという外見。しかしこの日はリートだから、特に12曲目「休み」までの前半は淡々としていた。弱い音もしっかり聞こえて繊細だけど。大人になったウイーン少年合唱団、かな。
後半は恋人の裏切りで一気に感情が盛り上がり、17曲目「いやな色」あたりで、柔らかく伸びやかな声をホールいっぱいに響かせた。期待通り、存在が楽器のよう。次の「しおれた花」ではテンポが合わなかったのか、出だしで少し休んでやり直した。ラスト20曲目「小川の子守歌」では一拍無音の間を設け、余韻を感じさせる仕掛けも。
拍手で何度も呼び戻され、投げキッスのサービス。アンコールがなかったのは少し残念だったものの、上品な時間を過ごしました。オペラばかりでなく、こういうのも時にはいいな。楽屋口には出待ちの姿がありました。

l'apres-midi 連弾と二台ピアノ

l'apres-midi 連弾と二台ピアノ 2012年12月

歌舞伎通で有名なロナルド・カヴァイエさんと30年来のピアノデュオ、ヴァレリア・セルヴァンスキーさんの、「午後」という名のコンサートに足を運んだ。端正な雰囲気のトッパンホール、全席自由で3500円。武蔵野音大の教え子さんが多いのか、華やかな雰囲気だ。

舞台中央にピアノが1台。お二人が登場し、前半は連弾でシューベルトのソナタ「フランスのモティーフによるディヴェルティメントD823」第1~3楽章を流れるように。
休憩を挟んで後半はピアノが2台。まず怒濤のワーグナー「トリスタンとイゾルデ」より「愛の死」、大詰めのイゾルデのアリアをマックス・レーガーの編曲版で。スケールが大きくて格好良い。そしてニジンスキーのバレエで知られるドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」。有名な冒頭のフレーズが幻想的だ。洒落たパンフレットの表紙もニジンスキーを描いたバクスの絵画でしたね。ラストのラヴェル「ラ・ヴァルス(ワルツ)」は迫力があって、ピアノはやっぱり打楽器だなあと感じる。
アンコールではカヴァイエさんがジャケットを脱いで登場。「ボレロ」で大いに盛り上がりました。終了後はホワイエでCDのサイン会。ご挨拶して再会を約束しました。楽しかった!