クラシックコンサート

岡本美枝ピアノリサイタル

岡本美枝ピアノリサイタル  2026年7月

クラシックつながりで知り合った岡本美枝さんのリサイタルへ。経歴が凄くて、高校卒業後、独エッセン・フォルクヴァンク芸大で学び、ベルリン交響楽団のソリストも務めたものの、帰国後は国際会議や外交の第一線で通訳として活躍。2024年に音楽活動を再開したというガッツの持ち主だ。小柄だけどまるきりアスリートで、演奏はとにかく毅然としてパワフル! 東京オペラシティリサイタルホールの全席自由で4000円。休憩を挟んで2時間弱。


前半はきらびやかな舞踏会風のスカルラッティと、たゆたうリズムに激しい起伏をのせたショパンの舟歌の間に、大曲ヴェートーベンのソナタ。休憩を挟んで後半は、美しいシューベルトのソナタをたっぷりと。渾身の演奏と思いきや、アンコールはちょっと悪戯っぽいユモレスケまでなんと3曲。最後の拍手にはもう弾かないよ、と鍵盤の蓋をしめる茶目っ気も。
ソナタ2曲は旧東独出身の名匠ペーター・レーゼルの得意レパートリーとのこと。美枝さんはレーゼルの信頼を得て、キングレコードによるドレスデンでのCD録音を支え、今も渡欧するとレッスンを受けているとか。そしてこの日のピアノはサー・アンドラーシュ・シフが1997年開館時に選定したベーゼンドルファー・インペリアル・モデル290。88鍵ではなく97鍵あって、追加の黒い低音部分が独特の倍音を生み、ピアノのロールスロイスと呼ばれるそうです。ほほ~
以下セットリストです。

スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K491/L164
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第31番 作品110 変イ長調
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 作品60
シューベルト:ピアノソナタ 第21番 D960 変ロ長調
アンコール
ブラームス:間奏曲 Op118-2
ショスタコーヴィチ:24プレリュードとフーガ Op87より第15番 プレリュード
シチェドリン:ユモレスケ

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ヴィンセント・オン

ヴィンセント・オン ピアノ・リサイタル 2026年7月

ピアニスト体験シリーズで、マレーシア生まれのヴィンセント・オン君へ。2025年秋のショパンコンクールで5位に入賞した、小柄な25歳。クリアで朗々、真面目な感じで好感が持てる。真央君の繊細と比べると発展途上国の印象かな。東京オペラシティコンサートホール、ステージを見下ろす下手バルコニーのA席で5000円。三井住友信託銀行プレゼンツ、ジャパン・アーツ主催。
ピアニストでもあったショパンが24の調すべて使った「24の前奏曲」は、2月の来日でも弾いたそうで、テンポよく生き生きと、即興性を漂わせつつ。大好きな「雨だれ」に浸る。休憩後に温かく、変化に富んだメンデルスゾーンと、ドラマティックなプロコフィエフ。アンコールも幅広く3曲。
ピアノはシゲルカワイ。ロビーでクラシック好きのご夫婦とおしゃべり。野村不動産HDからの花も。
以下セットリストです。

ショパン:24の前奏曲Op28
メンデルスゾーン:無言歌集第8巻Op.102
プロコフィエフ:ピアノソナタ第8番 変ロ長調Op.84「戦争ソナタ」
アンコール
モーツァルト:ピアノソナタ第4番K282より第1楽章アダージョ
カプースチン:8つの演奏会用エチュードOp.40より第1番プレリュード
シューマン:幻想小曲集Op.12より第1曲「夕べに」
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髙橋望JSバッハ名曲集

髙橋望ピアノ・リサイタルVol.4 バッハ名曲集  2026年6月

別府に飛んで、ゴルトベルク変奏曲をライフワークとするピアニスト、髙橋望さんのリサイタル。お馴染みのメロディ満載のバッハ尽くしだ。ぎっしりの冨士屋一也百(はやなもも)ホールで、手元が見える下手寄り前のほうを確保する。歴史ある明治建築の落ち着いた空気と、名曲の豊かな色彩を味わう。自由席で5000円、休憩を挟んで2時間。
アンコールでは、長くバッハ作曲と思われていて実は別人の作品だったと語ってメヌエット。さらに、バッハは高名な眼科医ジョン・テイラーの手術が元で亡くなり、後年ヘンデルもテイラーの手術を受けたが失敗している、皆さん、健康に気をつけて、と笑わせてヘンデルのメヌエットを披露しました。
プログラムには望さんがペンネーム金山好で執筆した解説があって、フランス人マルシャンとの音楽試合のエピソードなどが面白い。本当に才人だなあ。主催のおかみ丼々和田による懇親パーティも楽しくて、贅沢なひととき。
以下セットリストです。

ゴルトベルク変奏曲よりアリア
主よ、人の望みの喜びよ
シンフォニア ト短調
パルティータ第1番 変ロ長調
イタリア協奏曲 へ長調
フランス組曲第5番 ト長調
G線上のアリア
半音階的幻想曲とフーガ 二短調
アンコール:
ペツォールト メヌエット ト長調
ヘンデル メヌエット ト短調
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Music Dialogue「ショパン ピアノとチェロのためのソナタ」「ブラームス ピアノ四重奏曲」

Music Dialogueディスカバリー・シリーズ 2026-27 Vol.1東京公演  2026年6月

室内楽で気鋭の音楽家を応援するMusic Dialogueの演奏会に足を運ぶ。3年ぶり2回目で、ヴィオラの大山平一郎芸術監督が指導する公開リハーサルにも参加。今回は弦とは異質のピアノが入り、バランスやテンポの作り方が一層興味深い。それぞれの個性と、厳しくも温かいコミュニケーションの現場。

メンバーはシリーズ初登場という進藤実優(ピアノ)。2025年ショパン国際ピアノ・コンクールのファイナリストで、パワフル、かつ気さくな印象。新MDアーティスト水野優也(チェロ)は2025年プラハの春国際音楽コンクール・チェロ部門でアジア人で初めて優勝しており、ひらめきを感じさせる。ジャパン・ナショナル・オーケストラのメンバーとしても活躍中。今回はふたりとも帰国直後だとか。これからが楽しみだ。そして緑のヘアカラーの石上真由子(ヴァイオリン)はテレビ出演も多く、頼もしい存在。
まず中目黒GTプラザホールのリハーサルで、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番ト短調。シェーンベルクがオーケストラ版に編曲しているそうで、名曲。第3楽章の緩徐楽章を中心に、大平さんが自らも演奏しながら、ピアノと弦をまとめていく。音量というより密度、という表現は素人には正直、想像つかないけれど。字幕解説は酒井有彩(ピアノ)と音楽ライターの小室敬幸。
アンコールはブラームスのピアノ四重奏曲第3番第3楽章。休憩のあと、全員が質問に答えるセッションがあって2時間。ピアノとチェロの配置では目線が合わないけど、呼吸で合わせる、楽譜に記された指示は案外あいまいだったり、印刷間違いだったりする、などなど。パンフレットには楽譜のQR付き。2500円。

2日後に本番で、めぐろパーシモンホール小ホールへ。水野と進藤のデュオで、ショパンが生前最後に出版したピアノとチェロのためのソナタト短調。定住したパリで親友になったチェロ奏者オーギュスト・フランコムのために書いたとか。パンフレットの解説によるとフランコムの遺品にはピアノとヴァイオリンのためのソナタの断片が含まれていて、ピアノ一辺倒から新しい道に踏み出そうとしていたかも、と。享年39歳だものなあ。
休憩後はいよいよリハで聴いたブラームス。民族音楽風のモチーフが散りばめられ、第4楽章ジプシー風ロンドは一気呵成、情熱的で楽しい。全員でトークセッションもして終演。
客席には著名な国際政治学者の姿も。今回は名古屋公演も有り。また応援したいな。
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ジョイス・ディドナート・リサイタル

ジョイス・ディドナート ソロリサイタル  2026年5月

2015年ロイヤル・オペラ来日でのドンナ・エルヴィーラ、そして同年NYで聴いたロッシーニ「湖上の美人」が強く記憶に残るメゾのトップスター。第一声から頭上に響く美しさにもっていかれ、表現の幅広さに引き込まれる。余裕たっぷり、開口一番「グッドイブニング トウキョウ!」に始まる 気さくなMCで聴衆をつかみ、アンコールのジャズアレンジまで、米国人らしいサービス精神も横溢して、幸せいっぱいでした~ サントリーホール大ホール、前のほう上手寄りの素晴らしい席で1万9000円。休憩を挟んで2時間弱。

前半は馴染みのないイタリア古典歌曲を端正に。休憩前、ハイドンのカンタータ「ナクソスのアリアンナ」がドラマチックだ。シュトラウスのオペラでお馴染みのギリシャ神話で、恋人テセウスに置き去りにされたアリアドネの長大な語り。レチタティーボとアリア2曲ずつで、思慕、不安、怒り、絶望を存分に。
ひらひらのついたドレスから後半は緑のロングにお色直しし、お得意ベルカントのアリア。演じるのは自分の魅力に自信がある美女ばかり、というのが痛快だ。フランスもののデリラの決死の誘惑、そしてラストの「ハバネラ」の深い声に酔う。アジリタの技巧では昨年のオロペサのほうが粒立っていた気がするし、カルメンはガランチャのイメージが強いかもしれない。けれど、ディドナートがくっきりと描き出す人物の存在感は、まさに別格だ。

アンコールがまた凄くて、拍手に応えて何度も出てきて計6曲。カンザス(オズの舞台!)に生まれ、ブロードウェイを夢見た学生時代、そして2005-06シーズンMETにデビューし、大成功した悪戯小僧ケルビーノ。キャリアを振り返るような選曲で、聴衆は大喜び。タンゴやジュディ・ガーランド、なんでも弾けちゃうピアノのクレイグ・テリーがまた見事。最後の最後、客席が明るくなってクレイグがもう無理だよ、という表情になってから、なんと1曲目「カーロ・ミオ・ベン」をジャズアレンジで聴かせて大喝采でした。これぞプロ。

思えば2011年から、METのライブビューイングでずいぶん観てきた。フローレスとの黄金コンビ「ラ・チェネレントラ」の突き抜けぶり、そしてなんといっても2023年「デッドマン・ウォーキング」ラストの胸に染み入る感動。57歳にして日本では初リサイタル、しかもこの1回だけとか。聴けてよかった~
ホール内外で前日に続いてオペラ好きの皆さん、大西宇宙さんにも遭遇し、楽しくおしゃべり。
以下セットリストです。

ジョルダーニ:カーロ・ミオ・ベン(いとしい人よ)
パイジエッロ:もはや私の心には感じない
トレッリ:あなたは知っている
ハイドン:カンタータ「ナクソス島のアリアンナ」
ロッシーニ:オペラ『アルジェのイタリア女』より「ひどい運命よ!」
サン=サーンス:オペラ『サムソンとデリラ』より「私の心はあなたの声に開く」
ハッセ:オペラ『アントニオとクレオパトラ』より「恐ろしい顔をした死神は」
ビゼー:オペラ『カルメン』より「ハバネラ」
アンコール
『イタリア古典歌曲集』より「もしあなたが私を愛するなら」
ピアソラ:失われた小鳥たち
モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』より「恋とはどんなものかしら」
アーヴィング・バーリン :映画『イースター・パレード』より「アイ・ラブ・ア・ピアノ」
ハロルド・アーレン:映画『オズの魔法使い』より「虹の彼方に」
ジョルダーニ:カーロ・ミオ・ベン
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フランス放送フィル「牧神の午後への前奏曲」「ラフマニノフピアノ協奏曲第3番」「ここは素晴らしい場所」「海」「ラ・ヴァルス」「ニムロッド」

ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮 フランス放送フィル管弦楽団  2026年5月

しばらくクラシックコンサートではピアノを聴いてみようかと思い立ち、超人気の藤田真央へ。ラジオ・フランス所属オケの来日公演で、今年から首席指揮者に就任するヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮。オケはパワフルで豪華、藤田真央はラフマニノフの超絶技巧も余裕たっぷり。ちょっと押され気味で、ソロの自己主張よりもオケとの対話、一体感を楽しむよう。
休憩1回で2時間。いっぱいのサントリーホール大ホール前のほう、やや上手寄りの良い席で2万6000円。KAJIMOTO主催、サントリーホール開館40年記念参加公演。

オケは1曲目からフルートやオーボエが濃密だ。下手でふたりが鳴らすアンティーク・シンバルの幻想的なこと。ヴァン・ズヴェーデンがエネルギッシュにタクトを振る。続く藤田真央はラフマニノフを繊細に。第1楽章の長大なカデンツァで技巧が冴えわたり、終盤にかけてはロマンティック。アンコールはしっとりと。
休憩後はオケが全力でエネルギーを発揮。「海」のダイナミックさに、有名な初版スコアの「神奈川沖浪裏」を思い浮かべ、ラヴェルの変化に富んだワルツでは、かなりアグレッシブで引きずりこまれるよう。分厚いチェロ、2台のハープの輝き。アンコールは「威風堂々」のエルガーが親しい友人たちの横顔を描いた変奏曲から、弦をエレガントに。

マエストロは
1960年アムステルダム生まれ、19歳でロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の史上最年少コンマスとなり、ニューヨーク・フィル音楽監督などを歴任。オケへの要求が厳しいことで知られるとか。韓国出身の女性コンマス、パク・ジュンがひときわ情熱的で目立つ。プログラムに何人かの首席のインタビューが載っているのは珍しいかも。演奏が終わったとたん
メンバー同士よくおしゃべりしたり、パートごとに記念撮影したり、いい雰囲気だった。来日前の中国、台湾公演はカントロフとだったんですねえ。
以下セットリストです。

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 op.30(ピアノ:藤田真央)
<藤田真央(Pf)のアンコール>
ラフマニノフ(藤田真央編):ここは素晴らしい場所 op.21-7

ドビュッシー:交響詩「海」
ラヴェル:ラ・ヴァルス
<オーケストラのアンコール>
エルガー:エニグマ変奏曲から「ニムロッド」
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反田恭平&JNO ショパン「ピアノ協奏曲第2番」チャイコフスキー「交響曲第4番」

反田恭平&ジャパン・ナショナル・オーケストラ 冬ツアー2026 2026年2月

寒波襲来のなか、昨年3月以来5回目、大好きな反田恭平率いる若手オケを聴く。いつにも増して反田君が躍動した印象で、生き生きとしていい。念願のフルサイズ、総勢70人のツアーとは立派! サントリーホール大ホールの中段上手寄りで1万2000円。休憩を挟んで2時間強。

開演前のステージではウェルカムコンサートがあり、爽やかにフルートでチャイコフスキー「くるみ割り人形」から「花のワルツ」テプリツキー編曲(八木瑛子、河野葉月)、チェロカルテットで可愛らしい「ウィンターワンダーランド」(水野優也、森田啓介、香月麗、佐々木賢二)。いつもながら本編への期待が高まる。
前半は反田君の弾き振りで「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調作品21」。若く多感なショパンが初恋を描き、自身の独奏で初演したという。ソナタ形式の第1楽章から細かいピアノの技巧が際立つ。第2楽章のノクターンを思わせるキャッチーでロマンティックなソロをへて、ロンド形式の第3楽章は軽快なマズルカのリズム、華やかなフィナーレへと盛り上がった~
ソリストアンコールはショパン「マズルカ第2番ハ長調Op.56」を勢いよく。

休憩を挟んで後半はチャイコフスキー中期の代表作、「交響曲第4番ヘ短調作品36」。新婚1カ月で別居、神経衰弱に陥る苦境のなか、無慈悲な宿命と救済を描き、パトロンのフォン・メック夫人に捧げたドラマティックな曲だ。メック夫人は一度も会わないまま、年1500万円を13年間援助したというから驚き。第1楽章、強烈な運命のファンファーレから木管が大活躍。オーボエのもの悲しいソロに始まる第2楽章の憂鬱をへて、第3楽章は軽快な弦のピチカートが面白い。第4楽章で激しいシンバル、大太鼓、ティンパニの連打、民謡調のメロディに運命のファンファーレが交錯し、明るく壮大なフィナーレになだれ込む。反田君も時に跳ねちゃったりして情熱的でした~
アンコールはチャイコフスキー「白鳥の湖」組曲版Op.20aより「チャルダーシュ(ハンガリーの踊り)」で爽快。

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高橋望「ゴルトベルク変奏曲」

ゴルトベルク変奏曲 高橋望によるバッハの世界  2025年1月

寒波襲来の週末に、秩父出身ピアニスト高橋望のライフワークであるJSバッハ「ゴルトベルク変奏曲」のリサイタルへ。18世紀ドイツバロックの精密な世界にひたる。冒頭と最後のアリア、第30変奏の32曲を2回ずつ、休憩無しの80分。よく入った端正な浜離宮朝日ホール、中段上手寄りで5000円。

前週に虎ノ門B-techJapanスタジオで20人ほどの勉強会があり、望さんの解説を聴いてから参加。ザクセン駐在ロシア大使だったカイザーリンク伯爵が眠れぬ夜に気を晴らせるよう、従者ゴルトベルク向けに書いて、ルイ金貨100枚が詰まった金杯を得たという1曲。1741年に自費出版したバッハ鍵盤音楽の集大成なんですねえ。
2022年の室内楽や23年のパイプオルガン版に比べると、ピアノ1台では正直、単調で眠気を誘うと危惧したけれど、どうしてどうして。通奏低音にのせて第3、第6…と3の倍数で繰り出されるカノンが、反行形を含めつつ、同度、2度…と広がっていく。譜を思い描きながら聴くと、なにやら設計図のようだ。作曲時は2段鍵盤を想定していたそうで、激しい左右の手の交差というテクニックも求められ、それでいて舞曲風、イタリアオペラ風、賛美歌風と表情も豊か。
5曲ずつのまとまりで進み、第16変奏の序曲前に静かなインターバルがありました。アンコールはシンフォニア第12番ト短調、そしてフランス組曲第5番ト長調よりアルマンド。

終了後、近くのイタリアンで60人規模の懇親会。望さんの才気、ファンを大事にする姿勢に感服! 多士済々、見事なマジックまで繰り出され賑やかでした~

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2025年喝采づくし

2025年も素晴らしいライブパフォーマンスにたくさん出会えました。
なかでも頭抜けて凄いものを観た!聴いた!と圧倒されたのは、期せずして対照的なふたつ。クラシックの20代ふたり、クラウス・マケラ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団+アレクサンドル・カントロフ。そして御年81歳、「菅原伝授手習鑑」の15代目片岡仁左衛門による菅丞相。いや~、圧巻でした。

ジャンル別の演劇では、重厚なワジディ・ムワワド作・上村聡史演出「みんな鳥になって」の現代性、岩松了のスタイリッシュな「私を探さないで」での河合優実、蓬莱竜太「おどる夫婦」でのダンスが印象的だった。節目にもいろいろ立ち会えて、本公演に区切りをつけたイキウメ「ずれる」、大がかりな仕掛けは集大成としたケラリーノ・サンドロヴィッチ「最後のドン・キホーテ」、郷愁に終わらなかった東京サンシャインボーイズ復活公演「蒙古が襲来」がそれぞれ持ち味を発揮。ミュージカルでは閉場となる帝国劇場の「レ・ミゼラブル」ファイナルウイークも。
これからが楽しみなのは横山拓也「はぐらかしたり、もてなしたり」、加藤拓也「ここが海」。翻訳ものでは熊林弘高演出の古典的喜劇「陽気な幽霊」、サイモン・スティーブンス作・上村聡史演出の不穏過ぎる「スリー・キングダムズ」もよかった。

古典ではなんと言っても歌舞伎が、映画「国宝」で盛り上がって幸福な1年でしたね。ニザ様以外にも大イベント八代目尾上菊五郎・六代目菊之助襲名披露の極付「弁天娘」、南座に遠征した中村壱太郎「お染の五役」、次世代で鷹之資・染五郎の「棒しばり」や尾上右近の「春興鏡獅子」に拍手。中村莟玉、2026年に辰之助襲名を控える尾上左近も目立っていて期待大です。
文楽は人間国宝に加えてめでたく日本芸術院会員となった桐竹勘十郎が碇知盛、玉助が源九郎狐を遣った「義経千本桜」が素晴らしく、歌舞伎、テレビドラマでもフル回転した三谷幸喜の「人形ぎらい」も楽しかった。引き続き1年を通して、浄瑠璃の都一中さんにいろいろ教えて頂きました。
そして落語はさん喬「雪の瀬川」の粋と鮮やかさ、喬太郎「お若伊之助」の語り力。白談春はさすがに還暦目前で肩の力が抜けてきたかな。講談の春陽は落語から移した「御神酒徳利」にチャレンジ。どんどん格好良くなるなあ。

クラシックに目を転じると、オペラで加藤浩子さんのほろ酔いトークイベント立ち上げを手伝った、記念すべき年となりました。関係者の素顔、いろんな裏話を聴くのと並行して、舞台では「セビリアの理髪師」で世界のメゾ脇園彩、「ラ・ボエーム」でルチアーノ・ガンチを堪能。コンサートではマケラのほかにも、83歳リッカルド・ムーティ指揮・東京春祭オーケストラの圧倒的なイタリア魂に引き込まれ、リサイタルでリセット・オロペサ、”キング・オブ・ハイC” ハビエル・カマレナも聴けて満足。

ポップスではずっと聴きたかったファンクのCory Wongが文句なしに楽しく、星野源は奇跡的に6年ぶりツアー、追加公演最終日に行けて感動。貴重なサービス精神満載のサザンオールスターズ、Official髭男ismの爽快なスタジアム、相変わらずノリノリのEARTH WIND&FIRE+NILE RODGERS&CHICも充実していた。
ほかにもいろいろ、とても書き切れません。さあ、2026年も元気に定番、新機軸を楽しむぞ~

マケラ指揮「ブラームスピアノ協奏曲第1番」「バルトーク管弦楽のための協奏曲」

富士通スーパーコンサート クラウス・マケラ指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2025年11月

凄いものを聴いてしまった。評判は耳にしていたけれどこれほどとは。新星クラウス・マケラ29歳が、2027年に首席指揮者に就任予定の名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(アムステルダム、1888年創立)を相手に、実に楽しそうにソリストそれぞれの音を際立たせる。その前にはピアノのアレクサンドル・カントロフ28歳が変化に富むソロを披露して、圧巻!これだからリアルのコンサートはたまりません。サントリーホール大ホールの中ほどやや上手寄りで3万8000円。休憩を挟んで2時間。カジモト招聘。

まずブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調op.15」。カントロフがオケと調和しながら、弱音をひときわ繊細でくっきりと。だからこそ盛り上がりの大編成のオケを圧する激しさ、迫力がずしんと響く。合間に椅子に手をついている姿がアンニュイなのも面白い。フランス出身。2024年パリ五輪の開会式で、大雨の中でラベル「水の戯れ」を弾いた人だったんですねえ。
ソリストのアンコールは名曲リスト編曲のワーグナー「イゾルデの愛の死」。もっていかれた~

そして休憩の後はバルトーク「管弦楽のための協奏曲」。にこやかで躍動感あるマケラの先導で、特に管楽器それぞれがもれなく美しく、色とりどり。鮮やかで見事な洗練。
アンコールはJ.シュトラウスⅡ「ハンガリー万歳!」で大盛り上がり。マケラは2027年、シカゴ交響楽団音楽監督に就任予定なんだなあ。楽しみ~

客席ではなんとすぐ前にオペラの師匠が。こういう偶然も楽しいものです。
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