文楽「寿柱立万歳」「まちの灯」
Bunraku Summer Festival 2026年7月
チャールズ・チャップリン監督・主演の名画「City Lights」(1931)を新作文楽に、と聞き、なんだか面白そうと大阪へ。幕末に舞台を移し、大坂特有の可笑しみと哀感を背景に、「本当に見えているということ」の意味をしみじみと描く。
喜劇だけれど、はみ出した場所から世間を眺め、批判するチャップリン節。そのクールさが、思うに任せない人生、愚かな庶民を容赦なく描く近松などと、どこか響きあう。アクロバティックな人形の動き、音楽劇特有のリズムも生かしていて、脚本・演出の大野和之(日本チャップリン協会会長)はじめスタッフ、キャストのチャレンジ精神に、脱帽するしかない。広々した大阪文楽劇場、中央の良い席で6000円。短めの休憩2回で2時間半。
幕開けは、これまで2度ほど見ているめでたい「寿柱立万歳」。豊竹睦太夫、竹澤團七以下5丁5枚で。三河万歳は吉田玉誉と玉翔がキビキビと。先日、とある会で声に出してみた「ソレ万歳楽でお悦びだ、アハハハ」が明るい。
休憩後はお楽しみ「まちの灯」、茶屋町大仏開眼供養のドタバタから。山高帽、どた靴の放浪紳士は「近頃河原達引」の猿回しキャラを取り入れ、風来坊の与次郎に。新作の首(かしら)「チャーリー」はお馴染みのちょび髭と、眉が下がる仕掛けが楽しい。
前半の床は豊竹希太夫、亘太夫、鶴澤清公、燕二郎が活躍する。与次郎(桐竹勘十郎)は天神橋で盲目の花売り、お花(吉田勘彌)に一目惚れ。泥酔状態で親しくなった道修町大文字屋の主人、吉田勘右衛門(吉田簑二郎)からカネを手に入れ、お花を助ける。橋から眺める水の都の夜景に風情があり、人形監修も務めた勘十郎が表情豊かだ。
休憩を挟んで後半の床は、補綴を務めた豊竹若太夫、作曲の鶴澤友之助。映画のボクシングシーンは法善寺の掛け相撲に移して、与次郎は巨体の横綱、太目山(吉田玉勢)にやっつけられる。勘十郎が存分に躍動。再び酔った勘右衛門が大金をくれて、なんとかお花に届けるものの、番頭藤八(吉田玉助がワルを小気味よく)に横取りされかけ、盗っ人として捕まっちゃう。
大詰は雰囲気が一転、明るい明治の世となり、お花の目も完治。運命の再会シーンの「今やっと、今やっと見えるようになりました」が染みる。友之助は両親がクラシック、ジャズの音楽家で自身、エレキベース、フラメンコギター、コントラバスを弾いていただけに、チャップリン作曲の洋楽をうまくアレンジしていて、感動が盛り上がりました~ロビーには来日したチャップリンの四男ユージーンさん。資料室の展示ではスターウォーズのグローグー人形も。幅広いです。


















