ピカソぶっと飛ばせなくて、ごめん
東京にこにこちゃん本公演「ピカソぶっと飛ばせなくて、ごめん」 2026年8月
狭い劇場ロビーで身長192cmと、目立つ萩田頌豊与(はぎた・つぐとよ)が観客を迎える。萩田作・演出の新作は、嘘の多かった父の半生を笑いでたどる。コントをたたみかけて客席もよく反応し、全編お笑いライブのような盛り上がり。ナンセンスは嫌いではないけれど、後半の哀愁とラストの重みは消化不良ぎみか。萩田は中学2年で父の孤独死に遭遇したそうで、その衝撃は想像を絶し、消化できるわけがない。それでも描かずにはいられないということかな。劇団初進出のスズナリ、中央あたりで4500円。休憩無しの1時間半。
無頼だった父をテーマにするのは3作目とか。佐渡から画家の夢を抱いて上京し、パリに渡ったものの成功せず、離婚結婚を繰り返し、どうやら逮捕歴もあり…。両親や兄、妻たちがどんな人物で、どんな関係だったのか、どんな仕事をしていたのか、すべては不確かなまま。なにしろ小学生のとき初めて見せられた「バトル・ロワイヤル」を、自分が監督したと言っていたとか。父の虚構に、劇作の虚構が重なっていく。
劇団といっても主宰の萩田ひとりで、全員客演の俳優が入れ替わり立ち替わり、切れ目なくギャグを繰り出してパワーがある。主人公のお笑いコンビ・エレキコミックの今立進、その兄の立川志らく門下で劇団「地蔵中毒」に参加している立川がじら、萩田にあたる息子の同じく劇団「地蔵中毒」の東野良平が安定。妻たちを演じるのは佐渡の猛女に高畑遊(劇団ナカゴー)、変な訛りの西出結、話を聞かない木乃江祐希(ナイロン100℃)、パリコレモデル!にお馴染み猫背椿。腐れ縁の友人は素朴なてっぺい右利き(ユニット・パ萬)。母などの加藤美佐江が、意味不明の飛び道具ぶりで突出していた。
額縁を並べたような美術は濱崎賢二。手持ちの白いキャンバスを次々破っていく小道具が、父の破綻を象徴するようで印象的。アフタートークのゲストは、かもめんたるの岩崎う大でした~
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