落語「たけのこ」「お菊の皿」「蛸坊主」
第130回江戸落語を食べる会 2026年8月
気になっていた歌舞伎座での落語会へ。休演中に3F花篭ホールで開催し、噺にゆかりのお弁当がつく。好きな林家正蔵さんの回に足を運んだ。師匠の人柄もあってアットホームな雰囲気、演目も初めてばかりで、高野山が登場して面白かった~ 高座に向かって縦に並べた長テーブルの上手寄り、なんと先頭の席で7500円。仲入を挟んで落語が1時間半。
お菓子が配られ、ビールやシャンパンを呑みつつ待つと、いきなり下手の衝立裏から正蔵が登場し「落語協会会長です、長男のたま平は来年3月に真打昇進、親子4代は初めてらしい」と挨拶。自慢ともいえるのに押しつけがましくないところが良いなあ。「腕っこき三味線のきょうさんに来てもらった、寄席では御簾内だけど出てきて」と紹介も。綺麗な人です。
その出囃子、太鼓はなんと正蔵で、開口一番のたま平。南アルプス市からの依頼を引き受けたら出演料が9800円で、奈良の大仏様の片目がはずれて体内に落っこちて(大仏の目)…と小咄から「たけのこ」。舞台は武家の屋敷。隣りから塀をくぐって筍が生えたのでおかずにすると聞き、主人が「隣りに断りを入れろ、戦乱の世なら間者同然、手打ちにすると言ってこい」と命じる。隣家が一枚上手で「遺骸だけは渡してくれ」と返すと、「遺骸は手厚く腹の内へ、骨は高野(厠)へ納める、これは形見だ」と皮だけ持っていく… 確か2004年に6人の会で聴いたときは小学生だった。汗だくだけど明るくハキハキ、声がよく通って楽しみです。
太鼓がたま平に替わって、正蔵。歌舞伎座はいいもんです、8月第一部の牡丹灯籠は面白かった、かつて親父が二木の菓子、自分は二木ゴルフのCMに出ていて夏はラウンドして真っ黒、歌舞伎を観に行ったら7代目菊五郎に呼ばれ、顔が黒過ぎるよとお小言、あなたも真っ黒だと言ったら白塗りするからいいんだ…と、歌舞伎好きらしいマクラから、夏はやっぱり怪談と「お菊の皿」。
番町皿屋敷を教わった若い衆が廃屋敷を観に行くと、果たしてお菊の幽霊が現れ、その美しいこと。噂が広まり毎夜見物が押しかけ、出店も並ぶ事態に。9枚まで聞くと死ぬとの伝承で、皆6枚あたりで逃げ出していたが、ついに混雑で身動きとれなくなり大混乱。ところがお菊は11枚、12枚…と続け、多めに数えといた、最近忙しいから明日は休ませて、というオチ。テンポがいい。途中、客席で携帯が鳴っちゃったけど「虫の音かな」とさらり。
短い仲入で同じテーブルのかたとおしゃべり。化粧室に立った年配客の着席を、ゆっくり待ってあげて2席目へ。旬にちなんだ「蛸坊主」。上方の2代目桂三木助が8代目林家正蔵(彦六、稲荷町)に伝えた型を、弟子だった八光亭春輔につけてもらったとか。不忍池の四季折々が美しい料理屋に、高野一山の僧侶と名乗る怪しい4人が訪れ、禁じられた生臭のかつお出汁を出したと因縁をつける。そこへ鶴のように痩せた老僧が割って入り、冷静、重々しく諭すが、やがてハメモノ(三味線)で空気が一変。芝居がかって「われの面体を知らずして、よくも高野山で修行できたと言えるな、このいつわり坊主、蛸坊主」と一喝、偽坊主たちを池に投げ飛ばし、逆さに落ちて足が8本、という痛快なオチ。
途中また携帯が鳴っちゃったお客さんが席を外すと、噺を中断してスタッフに「操作を手伝ってあげて」と。神田伯山や柳家小三治に触れたりしてくすぐりつつ、売僧(まいす)の憎々しさ、老僧の語りの迫力あたりはじっくり聴かせて、さすがでした~
お弁当はその蛸のうま煮飯や酢味噌和えに、檜原村の伝統野菜おいねのつる芋(味が濃い小ぶりのじゃが芋)の煮物など。終わってからその場で食べられるけど、雨が心配なので持ち帰りにしました。お土産に雷おこしもついて、楽しい会です。

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