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アメリカン・ドリーム

PARCO PRODUCE 2026 アメリカン・ドリーム  2026年8月

楽しみにしていた三谷幸喜作・演出の新作。「赤狩り」に直面した映画人たちの選択という重いテーマを、笑いたっぷり、あくまで軽妙に描く。思想・信条の自由と仕事仲間を守ること、天分たる創作を貫くこと、そのどちらにも誇りはある。名作「笑の大学」にも通じるギリギリの設定、そして優れたクリエーターを葬っちゃう集団的愚行への怒りが、なんだかきな臭い現在とあいまって胸に響く。
小日向文世はじめ練達の俳優陣が、緻密な会話の応酬を余裕たっぷりに。ひとり20代のりりしい中川大志も、なかなかのコメディセンスを発揮し、可愛げがあっていい。それにしても三谷さん、つくづく映画ファンだよなあ。よく入ったPARCO劇場、3列目のほぼ中央という良い席で1万2000円。休憩無しの約2時間。

非米活動委員会の委員2人(中川、安定の浅野雅博)が陣取るホテルの1室。売れない女優(関谷春子)、「マイスター」と呼ばれる亡命ドイツ人作家(山崎一)、売れっ子監督(浅野和之)、高名な脚本家(小日向)を順に呼び入れ、業界の誰がコミュニストなのかを明かすよう、あの手この手で迫っていく。
山崎が意味不明の弁舌で暴走し、委員を煙に巻いちゃうさまが痛快。小日向の知性、したたかさに品があり、立場を異にするものの才能ある浅野に言葉をかけるシーンが深い。中川が追及する側なのにどんどん、いち映画ファンになっちゃって、「アボットとコステロのコメディに救われた」とか言い出し、愛らしくて得な役。関谷の苦闘に、華やかな業界の裏側もにじむ。
セットで控え室の映像を示す仕掛けが面白く、終盤、窓に広がるキラキラしたハリウッドの夜景が染みる。アメリカの夢はどこへいったのか。美術は松井るみ。

登場人物にはモデルがあるとのこと。ワシントンの公聴会で証言を拒否して(いわゆるハリウッド・テン)投獄されたものの、別名義であの「ローマの休日」を書いた脚本家ダルトン・トランポ、公聴会翌日に米国を捨てた巨匠ブレヒト、「エデンの東」などの功績で1998年にアカデミー名誉賞を受賞したときまで、転向した過去にブーイングが出たという監督エリア・カザン… 映画人それぞれの歩んだ道のりを、もっと知りたくなります。

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