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ウェルテル

ウェルテル  2026年5月

新国立劇場2025-26シーズン第3作は、ジュール・マスネのフランス文芸オペラ「ウェルテル」。ロッシーニのイメージが強い脇園彩(メゾ)のシャルロット挑戦を見届ける思い。抑制に抑制を重ねつつ、3幕「手紙の歌」の恋のときめき、「涙が出るままに」の輝きへと至って見事だ。妹ソフィーのライジングスター、砂田愛梨(ソプラノ)が好対照のはつらつとした造形で頼もしい。
ウクライナ出身のアンドリー・ユルケヴィチの指揮も歌手、東フィルとかみ合ってドラマチック。前の方のいい席、解説会とプログラム込みで2万8000円、休憩2回で3時間強。

演目は2014年にMETライブビューイングのカウフマンで観て以来(いま思えばソフィーがオロペサ!)。第1幕の間奏曲「月の光」など旋律の美しさはもちろん、ブームだったというケルト吟遊詩人オシアンを引用したり、冒頭の夏からクリスマスへ子供たちの賛美歌が悲劇を暗示したり、知的で凝っている。
今回、悩めるタイトロールはNY出身で長身のリリックテノール、チャールズ・カストロノーヴォが初役で。カマレナやグリゴーロのリサイタルでも聴いた3幕「オシアンの歌(春風よ、何故私を目覚めさせるのか)」など、期待を裏切らず拍手。夫アルベールの須藤慎吾(バリトン)が格好良く締める。2幕「乾杯の歌」などの明るいジョアンとシュミットは駒田敏章(バリトン)、村上公太(テノール)。

3度目の再演となるパリ出身ニコラ・ジョエルの演出は、古典的で落ち着いたもの。背景の豊かな緑と湖、高台の眺望の映像が心地良い。
開幕前に恒例、加藤浩子さんの解説を伺う。1892年初演の本作にはオケの存在感などでワーグナー「トリスタンとイゾルデ」(1865年)の影響が強いとともに、ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」(1902年)につながっていく心理ドラマでもあると。なるほど~ そして懇親会では須藤さんがピストルを渡すところの心理の掘り下げを、またイタリア人夫君といらした砂田さんがチャンスに備える意欲を聞かせてくれて、またまた大満足でした~
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