退屈忍者
MONO第53回公演「退屈忍者」 2026年3月
昨年の「チェーホフを待ちながら」が面白かった土田英生作・演出の、設立37年となる劇団公演。いろんな仕事がAIに脅かされる今、時代遅れの者たちが見せるなけなしの勇気を、軽妙かつシニカルに描くコメディだ。31年在籍した尾方宣久が昨年、退団・引退して痛手とのことだけれど、呼吸は絶妙です。いっぱいの吉祥寺シアター、前寄り中央で4800円。休憩無しの2時間。
寺を装った、ちゃちなからくり屋敷のワンセット。四代将軍家綱の治世の信濃で、甲賀の末裔・伴正信(奥村泰彦)が率いる埴原(はいばら)衆は、代官・小宮(土田)の命で名主・又五郎(渡辺啓太)ら村民を監視している。といっても世は泰平、配下の静尼(髙橋明日香)、百姓として暮らす茂助(水沼健)、吉兵衛(金替康博)はのんびりしたもので、張り切っているのは元巾着切りのお久(立川茜)くらい。ところが正信がこともあろうに又五郎の妹・お貞(石丸奈菜美)と禁断の恋に落ちて…
テンポが良く、心中騒ぎの薬で鼻のあたまが黒くなるとか、小宮がかつて静尼に振られたことに気づいていないとか、くすっと笑いつつ、それぞれが抱えるコンプレックスが切なくて、身につまされる。責任を負いながら力不足を自覚している焦燥、逃げ出したいけど今さら別のこともできないという諦念。目の前のワルを倒せたって、きっと幾重にも黒幕がいて何も変わらない、というセリフや、なんとも苦々しいラストがリアルだ。黄昏の照明が染みるなあ。
1992年生まれの立川が溌剌とし、腐れ縁という設定の水沼と金替がいいコンビだった。
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