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黒百合

黒百合  2026年2月

雪の一日、世田谷パブリックシアターへ。泉鏡花初期の長編を、2024年「モンスター」がショッキングだった杉原邦生が鮮烈に演出。越中立山の黒百合伝説をベースにした、どこか「愛と誠」のようなロマンに、美の残酷さ、死の気配が漂う。若手俳優陣は健闘だけど、明治文学の台詞は難易度が高かった印象。休憩を挟んで3時間弱、前半がちょっと長く感じる。オリジナル音楽は宮川彬良。中段やや下手寄りで9500円。

演出はのっけからドキリ。黒衣が花一輪を差した遺体袋らしきものをいくつも引きずってきて、その花を抜くと人間の手が。これは「櫻の樹の下には」なのか。
物語は明治後期。県知事の令嬢・勇美子(「虎に翼」の土居志央梨)が出入りの花売り娘・雪(岡本夏美)に、山に咲く幻の黒百合をとってきて、褒美ははずむ、と命じる。雪は目を患う夫・拓(白石隼也)の治療費欲しさから危険な「石滝の奥」を目指し、雪に惹かれる子爵家の滝太郎(「管理人」の木村達成)が後を追っていく。がむしゃらな若者たちを、やがて神通川の氾濫がのみ込んで…

舞台上にシンプルな木枠。俳優が手前にせり出した橋と床下に続く階段から出入りするのが、夢とうつつを行き来するようだ。後半は一転、セットがダイナミックに転換して、人を寄せ付けない急峻な山々が、手を伸ばしてたのに届かない宿命を突きつける。美術はお馴染み堀尾幸男、振付・ステージングは下島礼紗。
岡本はぶれない健気さ。我慢の演技の白石が、実は任侠の跡取りという設定で格好いい。土居は期待通りのクールさだけど、食虫植物(モウセンゴケ)に魅入られちゃうあたり、裏の顔は盗賊という木村とともに、もっと起伏が欲しかったかな。雪夫婦を見守る荒物屋の婆さんの白石加代子、訳ありな村岡希美、外山誠二(文学座出身)がさすがの個性を発揮して、舞台を推進する。

黒百合伝説とは佐々成政の愛妾・小百合の呪いのことで、黒百合は実在する高山植物(英名チョコレートリリー)だそうです。芸術監督・白井晃がドラマ「ちかえもん」の藤本有紀に依頼していた戯曲があり、今回、杉原に声をかけたとか。終演後のロビーには杉原さん。渡辺えりさんも観劇してました。
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