リア王
Bunkamura Production 2025 DISCOVER WORLD THEATRE vol.15 『リア王』 NINAGAWA MEMORIAL
知人夫妻をお誘いして、なんと大竹しのぶがシェイクスピア4大悲劇でタイトロールの老王!を演じる意欲的な舞台へ。2019年「罪と罰」、2021年「夜への長い旅路」、23年「アンナ・カレーニナ」と観てきたフィリップ・ブリーンが上演台本・演出で、シンプルかつダイナミック。大竹はじめ俳優陣も明晰で、人を知ること、愛を理解することの困難が胸に迫る。翻訳は木内宏昌。3階席だったけれど、休憩を挟んで3時間半が決して長くないのは驚き。Theater MILANO-Za。3階B列中央で1万3000円。
大竹はわざとらしくなく、権力者の横暴と老醜を見せつけ、とても小柄なおばさんにはみえません。中盤の嵐の放浪シーンで舞台いっぱい、大量の本水が降り、ちょっと久々に度肝を抜かれる。この荒技が、ずぶ濡れとなるリア、そしてその後のグロスター伯爵(気の毒すぎる山崎一)が噛みしめる苦い後悔を印象づけて鮮烈だ。
ふたりの老人を痛めつける悪役ふたりがまたよくて、悲劇を深める。姉ゴネリルの宮沢りえは、すらりとした立ち姿、持ち前の気品が際立ち、またグロスターの庶子エドマンドの成田凌は、膨大な台詞で色気を発散して大健闘。そして道化の勝村政信がニナガワ精神を発揮、ラップやダンスを繰り出して下世話にチャーミングに、人の愚かさを暴く。戯曲ではいつの間にかいなくなっちゃう役だけど、ラストでも印象的に登場してました。
ほかにコーディリアの生田絵梨花、嫡子エドガーで初舞台の鈴鹿央士が若々しく、ケントの横田栄司が安定。
登場人物はみな現代衣装で、なかでも軍人たちの迷彩服が、時代を映すメッセージを放つ。特にゴネリルの屋敷では、外人部隊風の粗暴な王の従者たちが、巨大な進軍する騎馬隊の絵画にスプレーで落書きし、大量の豪華な晩餐を食べ散らかして大混乱。ずっと舞台上にミュージシャン(ヴァイオリンの会田桃子、チェロの平井麻奈美、パーカッションの熊谷太輔)がいて、無調のような演奏と演技で不穏を醸し出すのも効果的だ。美術はマックス・ジョーンズ、音楽はパディ・カニーン。
シアターコクーン芸術監督だった蜷川幸雄、生誕90年を記念した上演。WOWOWの有料配信で復習しました~

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