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講談「星野勘左衛門再仕官」「荒大名の茶の湯」「御神酒徳利」

東池袋の噺小屋 長月の独り看板 神田春陽  2025年9月

大好きな春陽さんの独り看板シリーズも7年目とのこと。任侠ものも怪談もいいけど、今回はちょっと趣向を変えて落語ネタ。爆笑につぐ爆笑で、明るい一夜となりました。あうるすぽっと、前の方の良い席で3900円。仲入を挟んで2時間。

前講で弟子の神田ようかんが「星野勘左衛門再仕官」を明朗に。「三十三間堂誉の通し矢」で知られる尾張藩弓役の若き日。
春陽は2015年以来の「荒大名の茶の湯」でパワー全開。「茶の湯」「荒茶」のタイトルで志の輔らの落語でも聴いたけど、元は講談とのこと。秀吉亡き後、家康軍師の本多佐渡守が恩顧の7大名を味方につけようと茶の湯に招く…という軍談だけど、この1編は無骨な7人の見よう見まねが、笑えるやらバッチイやら。いつもの歯切れ良い語り口で抱腹絶倒。

このシリーズは助演も楽しみで、仲入後はヴォードヴィリアンの上の助空五郎が登場。初めて聴くけど、ダービーハットでウクレレをつまびき、ジャス、ボサノバ、かと思えばタップを踏む。さらさらと力が抜けていて、ちくりと反骨もあり、洒脱でいい。1978年髙山生まれだそうです。
そして春陽の後半は「御神酒徳利(おみきどっくり)」。六代目三遊亭圓生が上方の五代目金原亭馬生に習った噺だそうで、春陽は三遊亭歌奴に教わったとのこと。日本橋馬喰町の旅籠屋の番頭・善六が大掃除の日、家宝の御神酒徳利を、盗まれては大変と台所の水瓶に隠したところ、すっかり失念して大騒ぎに。妻の機転で生涯3度の「そろばん占い」で見つけた、と言いつくろって窮地を脱する。ところがこれを知った鴻池の支配人から占いを懇願される羽目に。断り切れず大坂に向かう途中の神奈川宿でも… 善六がなんとか逃げちゃおうとするさまが可笑しく、解決策が転がり込んでくるラッキーが小気味よく、親孝行な女中を思いやる優しさもあって爽快。教わった落語は30分ほどだったのに、1時間近く熱演したというのは後日談でした~
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