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落語「牛ほめ」「ちりとてちん」「大工調べ」「法事の茶」「お若伊之助」

特撰落語会 柳家喬太郎・柳家三三 二人会  2025年8月

熱心なファンでいっぱいの杉並公会堂で、恒例の日に3回の豪華二人会、その3回目に足を運んだ。前半は定番、後半はちょっと珍しい演目を2席ずつ。いつも安心して聴けるお二人です。中ほどの席で3900円。仲入を挟んで約2時間。

前座は小さんの孫弟子となる桂枝平が、メガネを外して「牛ほめ」を手堅く。
喬太郎の1席目は、師匠のさん喬などで何回か聴いている「ちりとてちん」。いつも聴いていて、笑いながらもウッてなる。続いて三三が「大工調べ」。お馴染み、棟梁のすかっとする啖呵に、「牛ほめ」をちらっと織り交ぜて巧い。

仲入後は三三から2席目は、初めて聴く「法事の茶」。男が隠居を訪ねると、インド土産の珍しい茶を出してくれる。焙じて湯を注ぐとあら不思議、茶碗の中に小さな梅の木がはえ、花が咲いて鶯が鳴く。感心して真似たら梅ではなく柳、その下に幽霊が現われちゃう。この幽霊が亡父に似ていて、ご隠居いわく「焙じ=法事が足りなかった」。お盆シーズンにぴったり。頭山みたいなファンタジーが目に浮かんで、ニコニコしちゃった。
トリは喬太郎で、圓朝の長編「お若伊之助(離魂病)」から第二話にあたる「一中節門付け」、第三話「品川発廿三時廿七分」。松本清張みたいなタイトルだけど、2023年に談春で聴いた、びっくりの異類婚姻譚が長編の第一話にあたり、今回はその続きだ。お若は双子を里子に出して出家していたが、一中節で門付けしていた伊之助と再会して焼けぼっくいに火が付き、駆け落ちを企てる。
伊之助の育ての親が住む神奈川宿まで、追っ手を恐れながらの逃避行。がぜんサスペンスになり、20時10分発の横浜方面行きに乗り遅れて、品川駅で火事に遭ってはぐれ、お若はごろつきの勘太につけ狙われるハメに。懸命に逃げたところで手を差し伸べた勘兵衛が、偶然にも勘太の親で… 道行でハラハラさせつつ、「ご都合主義でしょ、しょうがない、圓朝がつくったんだから」と笑いも。
さらに噺は続くんですねえ。いつもながら奇っ怪で因果な人の世。9月に全編ネタおろしの予定とか。喬太郎さん、古典発掘の力技でした~

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