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はぐらかしたり、もてなしたり

iaku「はぐらかしたり、もてなしたり」 2025年7月

お気に入り横山拓也作・演出のユニット公演に足を運んだ。凡人たちの間の抜けた、だからこそ切実な恋愛模様。くすくす笑いに哀しさ、ちかしい人との埋めようのない隙間がにじんで秀逸だ。人はなぜ人を求めるんだろう。演劇好きでいっぱいのシアタートラム、中ほどで5500円。休憩無しの2時間弱。

エッシャーの絵のような階段のワンセットが効果的。俳優がぐるぐる上ったり降りたり、場面の外で座っていたりしながら、複数のカップルの物語をテンポよく紡いでいく。美術は柴田隆弘。
2年ぶりに家に帰ろうとする妻(竹田モモコ)と元教師の夫・勇(瓜生和成)がメーン。2年ぶりなのに、オムライスにウインナーが入っていたか、の言い合いを蒸し返しちゃう。不倫の末に一緒になったけど、そもそも見ているものが違っていたのか。元妻ともぐずぐずで、なすすべない勇。成り行きで二人を気遣う旧友・真美(異儀田夏葉)も、人を心配している場合じゃなくて、亡くなった同級生を思い続ける浩輔(富川一人)との関係が、なんとももどかしい。

俳優陣がみな達者に、緻密な会話をこなす。なかでも勇の元妻(小林さやか)が手を焼く部下、近藤フクが飛び道具だ。上司に対しても、コンビニ前で遭遇した交通事故でも、ずうっとコミュニケーションがズレていて、挙げ句、浩輔に衝撃の告白をしにいく。期間限定のアイスに執着し、終始淡々と、とんでもないことを言い出して、でも憎めない。
いろいろ面倒なカップルばかりのなか、勇たちの娘・愛(高橋紗良)と読書好きな恋人(井上拓哉)は初々しい。いずれ面倒になるのかな、まあ、恋って面倒なものだよね。

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