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セビリアの理髪師

セビリアの理髪師  2025年6月

2023年びわ湖ホール「ノルマ」、2024年のリサイタルが素晴らしかった世界のメゾ脇園彩さん目当てで、加藤浩子さん主催の「セビリアの理髪師」観劇会に参加。ロッシーニの名作(1816年ローマ初演)なのに、意外にもリアル鑑賞は初めての演目だ。伸び伸びした脇園さんはもちろん、超絶技巧満載の大アリアやドタバタ喜劇を堪能する。まさに音の快楽。指揮はベルガモ生まれのコッラード・ロヴァーリス、東フィル。平日午後でも盛況の新国立劇場オペラハウス、前寄りやや下手で28000円(解説会・プログラム代込み)。30分の休憩1回で3時間強。

若き大貴族アルマヴィーヴァ伯爵(米国の小柄な黒人テノール、ローレンス・ブラウンリー)と、後見人バルトロ(イタリアのバリトン、ジュリオ・マストロトータロ)宅で籠の鳥になっているロジーナ(脇園)。ふたりの恋路を助けようと理髪師フィガロ(イタリアのバリトン、ロベルト・カンディア)が活躍する。伯爵は身分を隠して学生リンドーロと名乗っており、しかもバルトロ宅に入り込もうと仕官や音楽教師に変装して大混乱だ。変装はイタリアの伝統的な民衆劇でお決まりの展開で、傲慢な老人(バルトロ)、利発な若い女性(ロジーナ)というキャラも定番、「ロッシーニは歌舞伎」という事前解説に納得。

長身の脇園さんは2幕「激しく燃え上がる恋心=歌の稽古のアリア」など、積極的でチャーミングなロジーナを表現して期待以上だ。バレエダンサーみたいに足を上げちゃう演技まで。ほか歌手はみなさん粒揃いで、カンディアが1幕「俺は街の何でも屋」からノリノリ、早口もこなす。俗物の音楽教師ドン・バジリオのバス妻屋秀和はもちろん安定。ブラウンリーは序盤は抑えめだったけれど、どんどん調子を上げ、2幕大詰めの10分もの大アリア「もう、やめるのだ」で大拍手に。伯爵役がこのアリア(初演のマヌエル・ガルシアの技量を生かしたもの)を歌えるかが上演のポイントとなり、省略しないか問い合わせもあるとのこと。「歌合戦」ロッシーニの醍醐味ですね。
全編の軽快さは、ベルカントを得意とするマエストロ・ロヴァーリスの腕もありそう。白髪・知的なおじさまで、終演後の懇親会ではオケの編成で弦楽器を少なめにしたと。管が際立ってリズミカルだった印象。カーテンコールではクラリネットのアレッサンドロ・ベヴェラリとも握手してました~

原作は1775年初演、ボーマルシェの戯曲で、フランス革命(1789~1799年)前夜、機知と才覚で大貴族を助けるフィガロが人気を博したとか。今回のウイーン生まれヨーゼフ・E・ケップリンガーの演出は2005年制作で、実に6回目の上演。時代を18世紀から、戯曲と同じ革命前ということで1960年代フランコ独裁政権下のスペインに移している。2階建てバルトロ宅のワンセットで、伯爵がちゃっかりもぐり込んでロジーナといちゃつくとか、下世話なシーンが各部屋で同時進行し、照明や家具もカラフルで楽しい。バルトロ家の女中ベルタ(メゾの加納悦子)はなんと娼館経営という設定。

懇親会では搭乗までのわずかな時間に、脇園さんが顔を出してくれ、出演していないバリトン大西宇宙さんも飛び入り友情参加してマエストロと話し込んだりして、盛り上がりました!

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