ポルノグラフィ/レイジ
ポルノグラフィPORNOGRAPHY/レイジRAGE 2025年2月
イギリス系アイルランド人で、オリヴィエ賞、トニー賞をとっているサイモン・スティーヴンスの戯曲をダブルビルで。演出は気鋭の桐山知也。これが世界の演劇の最前線というものか。脈絡のわかりにくいモノローグが続き、休憩を挟んで3時間強が正直辛かった。途中で帰る観客も。世田谷パブリックシアター・シアタートラムの上手寄り、後ろのほうで8000円。
2007年初演の「ポルノグラフィ」(小田島創志訳)は2005年7月のロンドン。五輪決定直直後の同時多発テロを描く群像劇だ。難解。7つのオムニバスで(上演順は自由とか)、子育てに奮闘するキャリアウーマンや女性教師につきまとう生徒、爆破実行犯ら、都市生活者それぞれの疎外、焦燥を畳みかける。地下鉄ホームの黄テープを張り巡らし、俳優がコの字舞台と前面の通路を歩き回って観客近くで訴えかけるのだけど… 「レイジ」(高田曜子訳)では後方に天井近くまでの鉄骨階段が出現、黄テープは規制線に。2015年大晦日のマンチェスターで、若者らや警官が動き回り、鬱憤やスマホ撮影の他人事感、差別、暴力が高まっていく。
膨大な台詞をこなす俳優11人は、みな大健闘。特に亀田佳明の知性が圧倒的だ。舞台中央に立ち、テロの犠牲者を番号であげていく長大なモノローグが染みる。ほかに土井ケイト、岡本玲、吉見一豊、竹下景子ら。
ロビーには芸術監督の白井晃さん、犬丸治さんの姿も。
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