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魔笛

魔笛  2024年12月 

2018年以来5年ぶりに、南アの現代美術家ウィリアム・ケントリッジ演出のプロダクション。大野和士芸術監督の就任第一作だったんですねえ。ドイツ語圏で最も上演回数が多いオペラだそうで、とにかくキャッチーなモーツアルトに浸る。チェコのトマーシュ・ネトピル指揮、東京フィルハーモニー交響楽団が軽快に。お子さんも目立つ新国立劇場オペラハウス、中段上手寄りで31000円(解説会、プログラム込み)。休憩1回で3時間。

メルヘンらしく、温かくおもちゃ箱のようなビジュアルが楽しい。ケントリッジが得意だという「動くドローイング」=木炭のスケッチのアニメーションや、バロック劇場風だまし絵の背景画が古風な味わいで、夜の女王の登場シーンの、舞台いっぱいにきらめく星にうっとり。設定は写真が流行した19世紀末のヴィクトリア朝時代とのこと。

歌手陣ではザラストロのマテウス・フランサ(ブラジル出身のバス)が重厚で存在感たっぷり。出番は少ないけれど、パパゲーナの種谷典子(ソプラノ)がコミカルな老女からキュートな恋人に変身して、目立っていた。王子タミーノのパヴォル・ブレスリック(スロバキアのテノール)に、パミーナのお馴染み九嶋香奈枝(ソプラノ)が互角に渡り合う。夜の女王は、やっぱりベテランの安井陽子(ソプラノ)。初めてこの役を聴いたのは15年前! 2幕で調子をあげていたかな。パパゲーノの駒田敏章(バリトン)はシリアスが持ち味だそうで、コミカ(喜劇役)は気の毒だったかも。

開演前に解説をきく。初演はフランス革命(1789年)から間もない1791年、ウイーンの城壁の外、庶民の劇場アウフ・デア・ヴィーデン。現代ではピンとこないけれど、悲劇、喜劇、ジングシュピール(民謡風)からバッハ(武士の賛美歌)まで要素てんこ盛り、セリフ入りのわかりやすさは、あらゆる社会階層を意識した画期的な試みだったそうです。また出だしの「3度繰り返す和音」はじめ、散りばめられたフリーメーソンのイメージは英知、市民社会の勝利を意味すると。このプロダクションでも黒板、定規や目のビジュアルを盛り込んでいた。ふむふむ。
ホワイエもクリスマスムード。

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