落語「錦の袈裟」「替り目」「ぞろぞろ」「雁風呂」
特撰落語会 2024年10月
安定感抜群のメンバーで、満足度が高い四人会。特にこの日は小遊三さんがチャーミングだったかなあ。杉並公会堂、前の方で4500円。昼夜2回の夜の部で、休憩を挟み2時間強。
前座は市馬門下の柳亭市助で「子ほめ」。はきはきしているけど、集中力続かず。柳家三三が登場したところで復活。余裕たっぷりに、だいぶ前に正蔵さんで聴いた「錦の袈裟」。職人たちが評判をとろうと、質屋の錦の下帯で吉原へ乗り込み、和尚の袈裟を借りて参加した与太郎がもてちゃう話。下品にならない案配が巧い。続いてベテラン三遊亭小遊三77歳で「替り目」。亭主が酔って人力車に乗ったのが自分の家の前、とバカバカしい導入から、女房との他愛ない口喧嘩へ。ベロベロなのに呑ませろ、つまみは食べちゃった、じゃあおでんを買いに行け、江戸っ子は焼き豆腐はヤキ、がんもどきはガンって言うんだ… 酔いどれの可愛げと世話女房ぶり、寄席でさらっと、という肩の力が抜けた風情がいいなあ。
仲入後は柳家花緑で、小さん話やディスレクシア話から、2020年に志の輔らくごで聴いた「ぞろぞろ」。わらじが次々出てくるシュールな発想とめでたさが気持ちいい。トリは桂文珍。見台はなしで、駄洒落や神戸知事の時事ネタと、相変らず程よい皮肉っぽさで笑わせてから「雁風呂」。水戸黄門一行が掛川の茶屋で昼食をとり、見事な屏風絵が土佐派将監光信の筆とみるが、松に鶴でなく雁がねの意味がわからず、居合わせた上方商人と供に絵解きをさせる。函館の「一木(ひとき)の松」と言って、渡り鳥が松の根元に柴を落とし、またくわえて帰る、地元の者が残った柴で供養の風呂を焚き、旅人の疲れを癒やすのだ…との解説で、黄門様が感心して名を問うと、米市を興し町人の分を超えると闕所処分(財産没収)になった豪商・淀屋辰五郎の倅で、柳沢美濃守に貸した三千両を受け取りに行くと… 珍しい知的な噺で、悠々とした語り口が絶妙でした~
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