文楽「伊達娘恋緋鹿子」「夏祭浪花鑑」
第五六回文楽鑑賞教室 Aプロ 2024年9月
放浪が続く文楽ご一行、今回は新国立劇場小劇場だ。演劇を観ることが多い会場で、かなりコンパクトなだけに、迫力がよく伝わる。演目もインパクトがあって楽しめた。前の方、中央のいい席で6000円。短い休憩を挟んで2時間強。
「伊達娘恋緋鹿子」 火の見櫓の段は、登場する人形が娘お七だけとコンパクト。見どころの櫓を登るシーンで、吉田玉翔が裏に回る工夫がよくわかって面白い。季節外れの降りしきる雪も派手。竹本碩太夫、鶴澤清馗ら三挺二枚の床は、発展途上かな。
続いて客席通路から吉田簑太郎が登場し、英語対応の映像も使って、人形の仕組みや演目を解説。テンポが良くて巧い。
休憩を挟んでお楽しみの「夏祭浪花鑑」。釣船三婦内の段はまず豊竹芳穂太夫、野澤錦糸が侠客の心意気を力強く。思い切りの良い徳兵衛女房お辰は吉田一輔、その心意気を受け止める釣船三婦は吉田勘市。アトは竹本聖太夫、鶴澤寛太郎。
セット転換があって、いよいよ長町浦の段。義平次の豊竹靖太夫、団七の竹本小住太夫の迫力ある掛合を、鶴澤藤蔵の三味線ががんがん盛り上げる。暗闇のなか、吉田玉助の団七九郎兵衛が我慢我慢から大立ち回りへ、ひときわスケールが大きく、観ていてちょっとのけぞるほど。入れ墨も露わな見得の連続、そして韋駄天の引っ込み。まさにはまり役だ。怪奇味のある三河屋義平次は吉田玉佳。高津宮夏祭の「ていさようさ」の高揚感が、何度観ても効果的で面白かった!
今回、スマホの字幕アプリのサービスが始まっていた。わかりやすい演目だし、プログラムに注釈付の床本が収録されていて不要だったけど、工夫していますね~
« バサラオ | トップページ | 落語「英会話」「夢の酒」「高砂や」「松曳き」 »
「文楽」カテゴリの記事
- 文楽「伊達娘恋緋鹿子」「夏祭浪花鑑」(2024.09.08)
- 文楽「寿柱立万歳」「襲名披露口上」「和田合戦女舞鶴」「近頃河原の達引」(2024.05.26)
- 曾根崎心中(2024.03.23)
- 文楽「2人三番叟」「仮名手本忠臣蔵」(2024.02.10)
- 文楽「源平布引滝」(2023.12.10)
コメント