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中村仲蔵

Sky presents 中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞〜   2024年2月

落語で知られる中村仲蔵の出世譚を、源孝志脚本、蓬莱竜太演出で。藤原竜也が演じることにとりつかれた仲蔵を描ききり、自身とリアルに重なって圧巻だ。新たな代表作の予感。初めての東京建物ブリリアホール(豊島区立芸術文化劇場)、中段で1万3800円。休憩を挟んで3時間。

2022年末に源の脚本、中村勘九郎主演で話題だったNHKドラマ「中村仲蔵 出世階段」をベースにしているが、仲蔵の復帰を後押しする妻を省略。そのことで楽屋なぶり(いじめ)を跳ね返す、仲蔵自身の「面白い芝居がしたい」という情熱に的が絞られて効果的だ。
藤原は冒頭、セリがあがって第一声から、もう目が離せない存在感を発揮。ドロドロの人間関係のなかでみせる、あっと驚くイノシシの熱演がリアル。「外郎売」の言い立ても頑張っていた。あげく立作者・金井三笑の今井朋彦が稽古で灰皿を投げちゃう、まさかの蜷川オマージュも。

仲蔵にめをかける大物・四代目市川團十郎の高嶋政宏が貫禄たっぷり。伝説となった忠臣蔵五幕目、斧定九郎のヒントを与える酒井新左衛門は市原隼人で、独特の大時代さが題材にはまっていた。三味線にもチャレンジ。オペラ座の怪人よろしく、奈落に潜むお稲荷さんの化身・コン太夫の池田成志は、相変わらず自在の演技で絶妙の舞台回しだ。ほかに兄弟弟子の中村伝蔵(のちの二代目市川八百蔵)に浅香航大、ライバル瀬川錦次(のちの四代目松本幸四郎)に古河耕史、稲荷町役者に植本純米ら。

三階建てのセットで、名題、名題下などの身分制度を象徴。美術は伊藤雅子。振付は中村流八代目家元の中村梅彌(七代目芝翫の長女、現在の勘九郎は甥)だけど、群舞になると形が揃わないのは致し方ないか。歌舞伎指導はお馴染み中村いてう。四代目團十郎が革新者だったとか、上方へ移る三笑に付き従うのがのちの鶴屋南北(斉藤莉生)とか、歌舞伎歴史ネタも面白かった。

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