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エウゲニ・オネーギン

エウゲニ・オネーギン 2024年2月

プーシキン原作、チャイコフスキー作曲「オネーギン」で、流麗な音の世界に酔う。リアル鑑賞は2016年、ゲルギエフ指揮のマリインスキー以来。そして今回は、溌剌とした指揮者ヴァレンティン・ウリューピン、タイトロールのユーリ・ユルチュク(バリトン)らがなんとウクライナ出身、ヒロイン・タチヤーナのエカテリーナ・シウリーナ(ソプラノ)ら主要キャストはロシア出身! 盤石の日本人キャスト、東京交響楽団とで作り上げた画期的な舞台で、感慨深い。いまここにある平和。満員の新国立劇場オペラハウス、中段上手寄りのいい席で31000円(解説会、プログラム込み)。休憩1回で3時間強。

若く長身のウリューピンの指揮が、繊細かつ活気があって、弦楽器が甘く切なく、ここぞというところでクラリネットやホルンが際立つ。お馴染みの舞踏会は、タチアーナ家は軍楽隊のワルツ、ポロネーズで素朴に、ペテルブルクで大使を迎えた公爵家ではポロネーズ、エコセーズで都会的。
歌手はそれぞれにアリアを存分に聴かせる。まず目立ったのはライバル・レンスキーのヴィクトル・アンティペンコ(テノール)。声量がピカイチで、2幕オネーギンとの決闘前の「どこへ行ってしまったのだろう」が伸びやか。もう1人のライバル、グレーミン公爵のアレクサンドル・ツィムバリュク(バス)も美声で、3幕でちょこっと出てきて「恋に年齢は関係ない」をたっぷりと。得な役だなあ。対するユルチュクはちょっと押され気味だったけど、個人的にはそこがキャラに合っていて、長身イケメンでもあり、3幕「間違いなく僕は恋をしている」など、説得力があった。
女声陣はなんといってもシウリーナがリリカルで、お馴染み1幕の長大な「手紙の場」や、がらりと貴婦人になった幕切れオネーギンとの二重唱「幸せはすぐそばにあったのに」を表情豊かに歌いきり、妹オリガ役アンナ・ゴリチョーワ(メゾ)の深い声と、いい対照だ。母ラーリナの郷家暁子(メゾ)ら日本人も大活躍。

ドミトリー・ベルトマンの演出は古典的な装置だけど凝っていて、2019年オープニングの初演映像と比べても面白かった。ご一緒したオペラ仲間が「ふぞろいの林檎たちだね」とおっしゃっていた通り、すれ違う男女4人の愚かさ、皮肉屋オネーギンが最も未熟という青春の皮肉が、くっきり伝わる。ロシアと言えばジャムとばかり冒頭、タチヤーナ家に所狭しと自家製ジャムの壺が並び、舞踏会シーンで激昂したレンスキーをなだめようと、オリガが空しくジャムを差し出しちゃったり、決闘シーンで自棄になったオネーギンが、ろくにレンスキーを見もせずに発砲したり。
新国立劇場合唱団が相変わらずのクオリティなうえ、振付も達者にこなす。舞踏会の客全員でオネーギンを一瞥するところとか、ダンサー顔負けの表現力だ。

鑑賞前に加藤浩子さんの解説を伺い、終演後は立会人ザレツキー役のヴィタリ・ユシュマノフさん、郷家さん、さらにご主人で格好良いバスバリトンの河野鉄平さんをお迎えして懇親会も。充実していました!

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