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流白浪燦星

流白浪燦星(ルパン三世) 2024年1月

 歌舞伎好きからよかったと聞き、新作歌舞伎「流白浪燦星」を配信で鑑賞。おなじみモンキー・パンチ「ルパン三世」を、戸部和久のオリジナル脚本・演出で。戸部氏は2019年「風の谷のナウシカ」が良かった、歌舞伎脚本・演出の戸部銀作の息子さんですね。ナウシカ同様、原作へのオマージュと「楼門五三桐」「青砥稿花紅彩画(白波五人男)」など歌舞伎の名場面をうまくミックスしていて、楽しめる。原作の無常観とかハードボイルド感とか、もうちょっと大人っぽさが欲しいとは思ったけど。2023年12月23日、新橋演舞場での公演。休憩2回を挟み3時間半。4220円。

時は安土桃山時代。御所から「卑弥呼の金印」入手のカギとなる宝刀「雄龍丸」を盗み出した大泥棒・流白浪燦星(片岡愛之助)と次元大介(なんと市川笑三郎)が、対となる「雌龍丸」を持つ初代・石川五右衛門(尾上松也)に対決を挑む。のっけから南禅寺山門の「絶景かな」の名シーン!  大川端風の峰不二子(市川笑也)、さらに因縁の銭形刑部(市川中車)が登場して、お馴染みの追かけっこに。
金印の超常パワーが欲しい太閤・真柴久吉(いまだに北条時政をからかわれる坂東彌十郎)と近習・長須登美衛門(中村鷹之資がりりしく)、そしてカラクリ人形で大金持ちとなった唐句麗屋銀座衛門(安定の市川猿弥)も刀を狙う。牢名主九十三郎(現役最高齢93才の市川寿猿さん!「四千両」ですね)の手助けで、つかまっていた五右衛門を釜茹での刑から救い出した流白浪は、五右衛門なじみの傾城・糸星太夫(尾上右近、実は長須の姉)が金印をつかさどる「饒速日(ニギハヤヒ)一族」の生まれ変わりと知って…。

早替り、登場人物そろってのだんまり、「籠釣瓶」オマージュの豪華な花魁道中、天下一の大泥棒の名をかけた流白浪と五右衛門の本水を使ったバシャバシャ立廻り、さらに幕切れは格好良く五人男から稲瀬川勢揃いのツラネ。もちろん盆やセリも駆使して、歌舞伎ならではの演出が盛りだくさんだ。お馴染みルパン主題歌とかを和楽器で聴かせるのも楽しい。なんやかんやで斬鉄剣の誕生秘話というおまけも。

役者陣は愛之助が真っ赤な羽織に「ふーじこちゃーん」とノリノリで、軽薄な感じがぴったり。松也に色気があり、やけに格好つけるところ、右近とのからみもいい。これから歌舞伎の中心を担う役者として期待! 2幕目冒頭で演目を解説する親切な通人は、まさかの緑のマモー姿で衝撃。堂に入った片岡千壽さん、秀太郎さんのお弟子さんなんですね~ 寿猿さんがお元気で、次元に「むしりが似合うじゃねえか」と言ったりするのはめでたいけど、五右エ門役者の思い出は澤瀉屋の現状を思うとちょっと複雑。

深読みするとニギハヤヒは古代、神武の大和朝廷に破れた出雲系王権を思わせる。歌舞伎の五右衛門はもともと、秀吉の明出兵で戦死した宋素卿の遺児というトンデモ設定だし、アウトロー視点が歌舞伎とルパンの世界観を結びつけているんだなあ。一方、猿弥さんのロボット長者ぶりや、報復の連鎖を絶ち、朝鮮出兵を終結させるというテーマは現代的で、作り込んでいます。金印に至る設定が難解で、観ていて集中力が途切れちゃったのは残念だったけど。

ちなみに配信の仕組みはわかりにくく、かなりイライラした。決して安くないのだし、使い勝手の改善を強く希望。利用したのは歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」。ほかにHuluも。

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