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ART

ART  2023年6月

2020年に中止を余儀なくされた舞台。同じキャスト・スタッフが再集結したリベンジ上演に足を運んだ。「大人はかく、たたかえり」などのヤスミナ・レザによる1994年初演、1998年トニー賞受賞作を、小川絵梨子が演出。
フランスっぽさ満載の皮肉な大人のコメディで、これ以上ない手練れの俳優3人が、馬鹿馬鹿しい価値観の衝突を存分に演じて笑わせます。岩切正一郎訳。世田谷パブリックシアター、中央前の方の良い席で1万500円。休憩無しの1時間半。企画・製作はインプレッション(正川寛)。

医師セルジュ(小日向文世)が念願の現代美術を入手し、15年来の友人マルク(イッセー尾形)に自慢したら、「ただの白い絵。大枚はたくなんて信じられない」と全否定。らちがあかないので、もう1人の友人イヴァン(大泉洋)に意見を求めるけど、どっちつかずで…
知的で裕福なセルジュは、実はもったいぶった虚栄心の塊だとか、辛辣な物言いが愉快な自由人マルクは、みようによっては独善的で鼻持ちならないとか。ひとたび見方を変えれば、長い人間関係がいくらでもぎくしゃくし得る。気の良いイヴァンは結婚を控え、なんとかことを納めようとするけど、我慢できず子供みたいに憤懣をぶちまけるし。
挙げ句、互いの家族のこととか、言っちゃいけない言葉も飛び出しちゃって、おいおい、どうするんだよ、と思っていたら、マルクの驚きの行動で再生の光が差す。好きな人には変わらずにいてほしい。だけど誰だって、いつまでも同じじゃいられない。同じじゃないことを楽しんだほうが、きっと人生は豊かだ。

膨大で緻密なセリフを、3人が言い立てて、時に拍手も起きる見事な演技。欠点をさらけ出しつつ下品に陥らず、観客に向かって独白で本音をもらしたり、含羞をはらむ造形が憎めません。それにしても、大の男同士が仲良くして、一緒に映画に行ったりする、という設定、ものもいわずにオリーブをぽりぽり囓るとか、今更ながらフランスの知識人って面白いなあ。
後方のパネルを入れ替えて、個性が異なるそれぞれの自宅を見せるセットがお洒落。美術は小倉奈穂。
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