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講談「島田虎之助」「浅妻船」「江島屋騒動」

噺小屋in池袋 水無月の独り看板 神田春陽 2023年6月

恒例の神田春陽さんの会へ。ドスのきいた実力派として、1972年から続くNHK講談大会にも出演し、余裕が増している感じ。熱心なファンが集まった感じの東京芸術劇場シアターウエスト、上手寄り前の方で3300円。中入りを挟んで2時間弱。

まず昨年入門したというお弟子の神田ようかんが、爽やかに「島田虎之助」。時は天保、島田が豊前から江戸に出てきて「幕末の剣聖」男谷(おたに)信友に入門する。小太り柔和な男谷を最初、たいしたことないと思ったのは浅はかで、実は底知れない腕なのに、誰にでも三本に一本は花を持たせる流儀だったという逸話だ。
続いて春陽さんで「浅妻船」。十年前くらいに2回、聴いたことがある。紀伊国屋文左衛門のおお座敷で、文人墨客が屛風を描くエピソードを絵奇妙に。風刺絵で三宅島へ流された絵師・英一蝶と、俳諧師・宝井其角の干物の友情エピソードでジンとさせる。安定感。

仲入後のゲストは中西レモンで「お七寺入り」。着物に安っぽいサングラス、丁寧な物言い。ひょうひょうと人を食った感じが怪しすぎ。「江州音頭」というを初めて聴きました。祭文が大衆化した近江発祥の大道芸で、河内音頭の兄貴分、浪曲の源流だそうです。ゆったりと扇子を構え、鈴とあがささんの太鼓のリズムにのって七七調。独特だなあ。
そして春陽さんが登場し、怪談の前に江州音頭は明るすぎるなあといいつつ、正直な商売をすべき、と圓朝作「江島屋騒動」。下総国・大貫村(香取郡)のお里に名主の息子と縁談がもちあがり、日がないので芝日影町(新橋)・江島屋で古着を求める。これがとんでもない「イカモノ」で、雨に濡れてズタズタになったため、笑われて婚礼も取りやめ、お里は片袖を残して利根川に身を投げる。
やがて江島屋の番頭・金兵衛が集金の途中、藤ヶ谷新田(柏市)で雪に見舞われ、一軒のあばら屋を頼ると、目の不自由な老婆が端切れを火鉢にくべており(怖い)、イカモノのせいで娘を亡くした怨念を語る。金兵衛が店に戻ると女将、小僧が相次いで亡くなり、土蔵に娘の幽霊が出て(怖い)、ついに主人の治右衛門は失明、土蔵の出火で店も失い… 陰惨です。正直が大事。

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