談春「粗忽長屋」「棒鱈」「お若伊之助」
談春浅草の会 2023年5月
意外にも1年ぶりの談春さん。気温上昇のなか大賑わいの浅草寺を抜けて、浅草公会堂。前から2列目の超良い席で4000円。休憩を挟み2時間ほど。
今回は「真打昇進予行演習」と銘打ち、冒頭にご挨拶があってびっくり。幕が開くと、神妙に立川こはると並んで座っていて、大拍手が巻き起こる。談春がちょっとジェラシーを見せたり、「小春志(こしゅんじ)っていいにくい」と悪態をついたりが、いかにもで楽しい。いやー、本当にめでたい。
で、こはるがまず、師匠がさらっと「柳家」の矜持を、と注文した「粗忽長屋」。シュールな噺にも、相変わらず勢いと愛嬌があって楽しみだなあ。続いて談春さんが、だいぶ前に2回ほど聴いている「棒鱈」。野暮天=田舎侍と喧嘩っ早い江戸っ子との対比が、さすがに見事。
仲入後は談春で、初めて聴く「お若伊之助」をたっぷりと。円朝晩年の、笑いあり優しさありの因果談だ。日本橋・生薬屋の娘お若は評判の美人で、一世を風靡している一中節を稽古したがり、浅草の鳶頭の紹介で、もとは武士である師匠・伊之助に来てもらう。これがいい男で深い仲になってしまい、母親は別れさせて、お若を根岸にある叔父さんの道場に隔離する。そこへ性懲りなく伊之助が通ってくるときき、怒り心頭の鳶頭が両国にある伊之助の住まいへ駆け込んでドタバタに。結局、頭と道場主の先生が見張っていて、短筒で撃つと、それは伊之助ではなく狸だった。お若が産み落とした双子の狸とともに、根岸・西蔵院の御行(おぎょう)の松の根元に葬ったとさ。
最近よく聴いている一中節が出てきて、師匠がイケメンという設定に往事の流行ぶりを再認識。上品な浄瑠璃で、ここから豊後節、さらに常磐津、清元、新内などが派生するんですもんねえ。この噺にはもっと続きがあるそうです…
ロビーではこはるちゃん自ら、秋の襲名公演のチケットを売ってました。がんばれー
« ラビット・ホール | トップページ | 文楽「夏祭浪花鑑」 »
「落語」カテゴリの記事
- 落語「英会話」「夢の酒」「高砂や」「松曳き」(2024.09.14)
- 好二郎「真田小僧」「もう半分」(2024.07.23)
- 談春「景清」「妲己のお百」(2024.07.27)
- 落語「がまの油」「親子酒」「厩火事」「おせつ徳三郎」(2024.06.22)
- 落語「新聞記事」「えーっとここは」「ガマの油」「壺算」「粗忽の釘」(2024.01.20)
コメント