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文楽「夏祭浪花鑑」

第224回文楽公演 第3部 2023年5月

文楽初体験の知人たちを案内して、初代国立劇場さよなら公演シリーズへ。面白がってくれそうな第3部「夏祭浪花鑑」だ。小劇場の前の方いい席で8000円。休憩を挟んで3時間弱。

大阪南部の潮干狩りと参拝で賑わう住吉鳥居前の段から。侠客が達引を繰り広げて痛快。団七の勘十郎が文句なしの格好良さだ。対する一寸徳兵衛の玉助さん、大物になったなあ。三婦は玉也、お梶は簑二郎で安定。琴浦に紋秀。奥は三輪太夫・團七。
続く内本町道具屋の段は、大阪城の惣構(外堀)内で、武士、商人の人物像がくっきりする。咲寿太夫・寛太郎から、切は絞り出すような錣太夫・宗助。しょうもない磯之丞(清七)は清五郎、騙りをはたらく憎たらしい義平次に和生。

休憩を挟んでお楽しみ、高津神社の夏祭気分と侠気が横溢する釣船三婦内の段。切は呂太夫・清介、アトで亘太夫・友之助。徳兵衛女房お辰は勘彌が格好良く。三婦女房おつぎは勘壽。
いよいよ暗い長町裏の段となり、義平次に藤太夫、団七に織太夫と充実。三味線は清友。まとわりつくような蒸し暑さ、人形ならではのド迫力のアクション、緊迫のメリヤス。そして祭り囃子と若手太夫総出という「てうさ、ようさ」のかけ声、我を忘れる神輿! 

終演後は大勢で打ち上げへ。面白かったです~

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談春「粗忽長屋」「棒鱈」「お若伊之助」

談春浅草の会 2023年5月

意外にも1年ぶりの談春さん。気温上昇のなか大賑わいの浅草寺を抜けて、浅草公会堂。前から2列目の超良い席で4000円。休憩を挟み2時間ほど。

今回は「真打昇進予行演習」と銘打ち、冒頭にご挨拶があってびっくり。幕が開くと、神妙に立川こはると並んで座っていて、大拍手が巻き起こる。談春がちょっとジェラシーを見せたり、「小春志(こしゅんじ)っていいにくい」と悪態をついたりが、いかにもで楽しい。いやー、本当にめでたい。
で、こはるがまず、師匠がさらっと「柳家」の矜持を、と注文した「粗忽長屋」。シュールな噺にも、相変わらず勢いと愛嬌があって楽しみだなあ。続いて談春さんが、だいぶ前に2回ほど聴いている「棒鱈」。野暮天=田舎侍と喧嘩っ早い江戸っ子との対比が、さすがに見事。

仲入後は談春で、初めて聴く「お若伊之助」をたっぷりと。円朝晩年の、笑いあり優しさありの因果談だ。日本橋・生薬屋の娘お若は評判の美人で、一世を風靡している一中節を稽古したがり、浅草の鳶頭の紹介で、もとは武士である師匠・伊之助に来てもらう。これがいい男で深い仲になってしまい、母親は別れさせて、お若を根岸にある叔父さんの道場に隔離する。そこへ性懲りなく伊之助が通ってくるときき、怒り心頭の鳶頭が両国にある伊之助の住まいへ駆け込んでドタバタに。結局、頭と道場主の先生が見張っていて、短筒で撃つと、それは伊之助ではなく狸だった。お若が産み落とした双子の狸とともに、根岸・西蔵院の御行(おぎょう)の松の根元に葬ったとさ。
最近よく聴いている一中節が出てきて、師匠がイケメンという設定に往事の流行ぶりを再認識。上品な浄瑠璃で、ここから豊後節、さらに常磐津、清元、新内などが派生するんですもんねえ。この噺にはもっと続きがあるそうです…

ロビーではこはるちゃん自ら、秋の襲名公演のチケットを売ってました。がんばれー

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