カスパー
カスパー 2023年3月
ノーベル文学賞作家、ペーター・ハントケの戯曲を、ロイヤルバレエ出身のウィル・タケットが演出。言葉による人間性の形成を、徹底して観念的に描く。「鎌倉殿の13人」の寛一郎が、初舞台のタイトロールで奮闘するものの、私にはちょっと難解過ぎたかな~ 池田信雄翻訳。東京芸術劇場シアターイーストの、なんと最前列で9500円。休憩無しの1時間15分。
カスパーは実際に19世紀初頭、ニュルンベルクの広場に忽然と現れ、早世した謎の少年がモデル。幽閉されていたらしく当初は言葉を話さず、歩くこともままならないが、プロンプターという謎の男たち(首藤康之、下総源太朗、萩原亮介)から大量の言葉を浴びて、重苦しい社会に組み込まれていく。無垢からカリスマへの変貌。
ワキはタケット演出「ピサロ」のメンバーが中心で、緊張感を維持。大駱駝艦のダンサーが雄弁に感情を表現する。
ハントケって名作「ベルリン・天使の詩」の脚本家だけど、オーストリア出身で父は進駐ドイツ軍、母が自死、またユーゴ紛争時の「親セルビア的」論陣で批判を浴びるなど、スリリングな作家なんですねえ…
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