宝飾時計
宝飾時計 2023年1月
ネモシューこと根本宗子が作・演出、椎名林檎がテーマ曲を作詞作曲し、高畑充希が主演。いったい誰の幸せのために頑張るのか。才能ある女性たちの自意識が横溢する舞台だ。企画制作はホリプロ。東京芸術劇場プレイハウスの中ほどで9800円。休憩を挟んで2時間半。
10歳から長くミュージカル「宝飾時計」に主演したゆりか(高畑にアテ書き)が、20周年セレモニーに招かれ、初演時にトリプルキャストだった2人との共演という条件を出す。果たして、ママタレントに転じた真理恵(小池栄子が現実的に)、そして母親のプレッシャーから引きこもってしまった杏香(痛々しい伊藤万理華)は現れるのか。当時、相手役だった勇大(小日向星一)の身投げの謎は明かされるのか?
セリフの密度が濃くて、「一番食べたいものを選べるか?」といった問いを畳みかけていく。速いテンポで3人の過去と現在が交錯し、同じシーンを繰り返すミステリー要素もある複雑な戯曲を、後方の巨大な時計と回り舞台でスマートに表現する(美術は池田ともゆき)。
キャストは、つかみどころのないマネージャー兼恋人に成田凌、杏香の母に大人計画の池津祥子、曲者プロデューサーに八十田勇一と、みな達者。特に真理恵のマネージャー・関一が、緊迫するシーンで誕生祝いにこだわっちゃったり、お間抜けななかに切なさがあってよかった。でもまあラスト、高畑が愛を求める思いを絶唱して、すべてをもっていくわけですが。堂々とした女優さんです。
ジャージやドレスの衣装は神田恵介。舞台上でヴァイオリンやピアノなどが演奏。