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パラダイス

COCOON PRODUCTION2022 パラダイス  2022年10月

作・演出赤堀雅秋。特殊詐欺集団の若者たちが、コロナや格差など半径5メートルの鬱屈をリアルに。ジャニーズファンが多そうなシアターコクーン、2階前方で9000円。休憩無しの2時間。

雑居ビルの一室。梶(暗い丸山隆平)と忠実な弟分・真鍋(毎熊克哉)が、どうにも行き場の無い者たち(小野花梨、永田崇人ら)に詐欺を教えている。カネをため込んだ高齢者を欺すのは、理不尽な社会、「ガチャ」への復讐なんだとたたき込む真鍋の暴力が痛々しい。そんな梶はヤクザ辺見(谷嶋智人が怪演)、切れやすいボディガードの青木(水澤紳吾)に抑圧されており、その辺見もどこやらのボスに抑圧されている現実。一方、梶が実家に帰れば、カモにしている高齢者と同じ冴えない父母(西岡徳馬、梅沢昌代)や、守るべき出戻り姉(坂井真紀)がいて…

謎のおじさん(赤堀)もからんだ破れかぶれのバイオレンスの果てに、一抹の希望が差して読後感は悪くない。もっとも「コロナ3部作」という、引きこもり家族を描いて印象的だった2021年「白日夢」に比べると、俳優陣の牽引力がいまひとつで、結果的に水澤が目立ってたかな。

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