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落語「転失気」「浜野矩随」「二階ぞめき」「三枚起請」「初天神」「鰻屋」「稲葉さんの大冒険」「普段の袴」「星野屋」

特撰落語会  2022年8月

 夏恒例・杉並公会堂で豪華メンバーの落語会。1日3公演のうち2部、3部を続けて聴いて、ちょい疲れた。よく入った大ホール、それぞれ中ほど前寄りで2部4500円、2人会の3部は3800円。各2時間。

15時開演の2部はまず市馬門下、二つ目の柳亭市寿で「転失気」を手堅く。春風亭小朝は時事の肩すかしでくすぐり、三平ネタを振ってから「浜野矩随(のりゆき)」。彫金の名人の息子が、死を覚悟して開眼する感動物語。数年前に聴いた講談バージョンは本来の、お母さんが亡くなっちゃう悲劇だったけど、この日は助かるハッピーエンド版でした。程よく肩の力が抜けた感じ。
仲入後は柳家花緑さん。ベテランに挟まれて、といいつつ安定感抜群「二階ぞめき」。この可愛さが好き。トリは桂文珍で、思えばコロナ初期の50周年独演会以来と感慨深い。前が二人とも親子にからむ話でと振りつつ、全く方向違い、郭噺の「三枚起請」をさらさらと。相変わらずのオフビート感、人を食った感じがいい味だ。

食事のあと19時開演の3部は、開口一番が桃月庵あられ。白酒の弟子の前座で、柳家ツートップの会に2年続けて呼ばれて有り難い、たぶん家が近いからと笑わせ、元気に「初天神」。そして柳家三三の1席目は「鰻屋」。にょろにょろ親指を演じながら「こんな大きいホールで何やってんだか」と愚痴っちゃって、初天神の凧揚げいじりもあって愉快。続いてびっくりの見台をすえて柳家喬太郎。膝が痛くて、あぐらだからだそうです。噺家さんは辛いよね~ 噺は初めて聴く「稲葉さんの大冒険」。堅物の稲葉さんが駅前でうっかり色っぽいティッシュを受け取ってしまい、よせばいいのに公園に埋めようとする。そこへ犬を散歩する老人が通りかかり、思い込み激しく大暴走。釣りの餌だの、植木の土だのを押しつけ、果ては松の木を…。凧揚げと鰻をいじり、「見台置いて穴掘っても見えないよね」「大丈夫、2席目は古典やるから」、枝雀さんオマージュまで飛び出して、とても膝が痛いとは思えない大熱演に爆笑! 三遊亭円丈が1969年に師匠のさん喬さんに書いた噺なんですね。古びないな。
仲入後は喬太郎2席目。擬人化した西武鉄道が東武鉄道を見下す得意の前振りで、どうなることかと思ってたら、予告通り強引に古典にもちこんで「普段の袴」。楽々といいテンポ。大トリは再び三三が上手に受け止めて、「星野屋」。高座では初めて聴いたかな。水茶屋のお花が馴染みの星野屋の旦那と心中しかけるものの、そんな気はさらさら無く、旦那が吾妻橋から飛び込むと、しれっと帰ってきちゃう。そこへ2人を引き合わせた重吉が、旦那が化けて出たと飛び込んでくる。お花が尼になると髪を切ったら、旦那が戻ってきて、お花の了見を試す芝居だったと明かす。お花はおあいにく様、それは「かもじ」だと悪態をつき、おっかさんまで出てきて… 戯曲「スルース」ばりの二転三転の欺しあい、三枚起請同様どっちもどっちの浅ましさが古典らしい。嫌な噺も軽やかなのが、さすがです。お花は実在の人物で、歌舞伎「加賀鳶」に登場するとか。いやー、充実してました~

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