奇人たちの晩餐会
奇人たちの晩餐会 2022年6月
フランシス・ヴェベールの1998年の戯曲を岩切正一郎訳、東京サンシャインボーイズ出身・ミュージカル畑の山田和也演出で。フランスらしいシニカルなシチュエーションコメディを、片岡愛之助オンステージで。年齢層高め、ちょっと空席がある世田谷パブリックシアター、上手寄り前の方で1万1000円。休憩を挟み2時間半。
腕利き編集者ピエール(戸次重幸)が住む高級アパートのワンセット。彼は友人とディナーに「バカ」を招いて、密かに笑いものにする悪趣味の持ち主だ。ある日のディナー前、ギックリ腰に見舞われたうえに、妻(宝塚出身の水夏希)が出て行って慌てているところへ、今夜のゲスト、税務署勤め、マッチ棒で巨大模型を作るフランソワ(愛之助)が現れて巻き起こす一夜の騒動。
前半はピエールのフランソワに対する上から目線、底意地の悪さが、どうにも不快でならない。そこを愛之助が、強靱なコメディセンスでなんとか引っ張る。なにしろ空気を全く読まず、面倒な愛人を呼び寄せるわ、せっかく戻った妻を追い返すわ。善意なんだけど、すべてが裏目。けれど休憩後にセットがガラッと変わってからは、ピエールが守勢に回るはめになって、不快さは軽減。終盤、フランソワがピエールの孤独をしみじみ語ってジンとさせる。「人生の大掃除」、必要かもなあ…
かつて酷い目に遭ったのにピエールを心配する、作家ルブランにミュージカルの原田優一、騒動に巻き込まれる税務調査員シュヴァルに元ジョビジョバの坂田聡。固定電話と留守電、スピーカーフォンが活躍するあたり、時代を感じます。愛人役の野口かおるの絶叫は辛かったかな。
インプレッション・ぴあ主催。
« 落語「磯の鮑」「野ざらし」「猫忠」「一人酒盛」 | トップページ | てなもんや三文オペラ »
「演劇」カテゴリの記事
- 2022喝采づくし(2022.12.31)
- 建築家とアッシリア皇帝(2022.12.04)
- ショウ・マスト・ゴー・オン(2022.12.29)
- イヌの仇討(2022.11.12)
- 夏の砂の上(2022.11.19)
コメント