関数ドミノ
イキウメ「関数ドミノ」 2022年6月
前川知大作・演出。2014年に劇団で、2017年にプロデュース公演で観た定番SFだ。シンプルなしつらえで、「労せず得している人がいる」という社会観の焦燥、虚しさをクリアに。劇団の2枚看板、「あいつはドミノだ」と言いつのるプライドの高い安井順平と、飄々と受け流す浜田信也が達者で、休憩なし2時間を飽きさせない。東京芸術劇場シアターイーストの前のほう、上手寄りで5800円。
保険調査員(温水洋一)が謎の交通事故の目撃者たちに話を聞く。そのうちのひとり、安井が浜田を「ドミノだ。それを証明できる」と言い出す。知的だからこそ陥ってしまう、「親ガチャ」などにも通じるネガティブ思考のしつこさ、プライドと妬みひがみの息苦しさが、ますますリアルだ。
元妻で、安井を引き留めようとする精神科医・小野ゆり子(大人になった)が、クールな存在感を発揮。応援モードの気のいい看護師・太田緑ロランス(痩せちゃったなあ)と好対照をなす。病気を抱える男に盛隆二、事故車の運転手に森下創、浜田の弟に大窪人衛。
装置はシンプルで、舞台中央が斜め四角にちょっと低くなっており、上方に合わせ鏡のように四角いオブジェが浮かぶだけ。わずかな照明の変化に引き込まれる。
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