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パンドラの鐘

COCOON PRODUCTION 2022/NINAGAWA MEMORIAL パンドラの鐘  2022年6月

蜷川幸雄7回忌に、「木ノ下歌舞伎」などの杉原邦生が、単独ではコクーンに初登板。蜷川が1999年、芸術監督のお披露目で、野田秀樹書き下ろしを本人と競作したという伝説の戯曲だ。フレッシュなキャストが、膨大な言葉遊びと時空の往還の果てに、戦争責任と核兵器の罪を叫んで鮮烈。テーマは古びるどころか、切実さを増していると思い知らされる。Bunkamuraシアターコクーンの中央で1万1000円。休憩無し、一気呵成の2時間半。

冒頭、客席通路からミズヲ(成田凌)が呆然と現れ、能のように柱だけのシンプルな舞台に伏して、過去の声を聴く。歌舞伎よろしく紅白の段幕が鮮やかに下りると、そこは開戦前夜、長崎の遺跡発掘現場。要領の悪い助手オズ(大鶴佐助)は一本の折れ釘から、忘れられた古代王国を蘇らせる。
その王国ではかつて、反骨の葬式屋ミズヲが異国から巨大な鐘を持ち帰っており、王位を継いだヒメ女(葵わかな)は、不吉な弔いの鐘の音とミズヲにひかれていた。やがて鐘に刻まれた謎の文字から、古代王国と昭和ニッポンの宿命とが響き合っていく。

「冬のライオン」の葵が、幼さから野太さへと振幅を見せて、びっくりの牽引力だ。大詰めで道成寺ばりに、重厚な衣装で鐘に立つシーンの威厳。なにせ初演は大竹しのぶと天海祐希が演じた大役。そのチャレンジとともに、楽しみです。対する初舞台の成田も、少し猫背の頼りなさ、かすれ声がいい存在感。妻夫木くんみたいになるかな? 第一声で観客を引き込んじゃう大鶴、リズム感抜群の王国宰相・玉置玲央が勢いをつけ、オズを振り回すタマキの前田敦子が、長身で意外なコメディエンヌぶりを発揮。「フェイクスピア」にも出てたし、けっこうのしてくるかも。
80歳の白石加代子が、ヒメ女の乳母ヒイバアをきびきび演じて嬉しい。考古学教授では重めの片岡亀蔵も、古代パートの王の望遠鏡事件ではさすがのスケールを見せる。さらに「赤鬼」の森田真和らが脇をかため、黒衣のダンサーが場を構築して緻密だ。

美術は「NINAGAWA十二夜」の金井勇一郎、音楽はm-floの☆Taku Takahashiと豪華。振付は北川結。冒頭を思わせるラスト、舞台後方の扉を開ける蜷川オマージュが、今この時と戯曲を響きあわせて余韻を残した。

中段下手寄りで野田さんが観劇。拍手してました~

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