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ロビー・ヒーロー

シリーズ「声」vol.2 ロビー・ヒーロー  2022年5月

アカデミー脚本賞作家、ケネス・ローガンの2001年初演作を浦辺千鶴訳、桑原裕子演出で。5日後に初日を控えたプレビュー公演に、足を運んでみた。登場人物4人がいともわかりやすく、大切な人や自らの信条を裏切り続ける物語。誰もどこへも行き着かない。もやもやするというより、残念な人間の真実を見せつけられ、休憩を挟んで3時間弱がちょっと長かった。新国立劇場小劇場の中央いい席で4950円。

マンハッタンにある高層マンションロビーのワンセット(美術は田中敏恵)が、社会を映す。お調子者で向上心の乏しい警備員ジェフ(中村蒼)を、生真面目な上司ウィリアム(板橋駿谷)は気にかけている。巡回するマッチョな警官ビル(瑞木健太郎)は、マンションに住む女性と火遊びしつつ、見習い警官ドーン(岡本玲)を口説いちゃう。ウィリアムの弟が強盗殺人の容疑者となったことで、それぞれの「正しさ」が揺らいで…

互いの好意や嫌悪が、どんどん様相を変えていく精緻な会話劇。人種やジェンダー、正義とは何かという問いが前面にたつものの、登場人物を追い詰めるのはむしろ、家族や職場という「居場所」の息苦しさにみえる。誰にでも居場所は必要で、そこで認められたい、愛されたいというエゴは普遍的。そんな当たり前の欲求がどんどん裏目に出ちゃって、ありがちな展開だけに、やり切れない。

一部台詞が飛ぶシーンはあったものの、俳優陣は達者に膨大な台詞、アメリカ人っぽいリズムをこなす。ほぼ出ずっぱりの中村が、弱く未熟な青年をテンポ良く、立体的に演じて突出。岡本の見ていられない痛々しさ、できるヤツ・板橋の暑苦しさもはまってた。さりげない照明の変化や効果音が緻密。

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