春陽「お歌合わせ」「木津の勘助」「津山の鬼吹雪」
噺小屋in池袋 卯月の独り看板 神田春陽 2022年4月
神田春陽の東京芸術劇場の会は4回目。声の勢いに磨きがかかって聴き応えがある。シアターウエスト最前列で3300円。仲入を挟み2時間。
開演前のオープニングアクトはお馴染み、岡大介のカンカラ三線。明るく皮肉をきかせて盛り上げる。開口一番は昨夏に続いて神田鯉花が「柳沢昇進録」から「お歌合わせ」。吉保が弥太郎と称していた頃、妻・お染が綱吉の生母・桂昌院に気に入られる顛末だ。「船を山に上げよ」とのお題に、「富士映す田子の浦たの夕暮れに船漕ぎ寄する雲の上まで」と即吟するくだりが鮮やか。
続いて春陽さんで、コロナで発熱してるとき琴調さんから電話がかかってきて、などと笑わせてお得意「木津の勘助」。真の侠客・勘助の啖呵が一段と迫力を増して、いい感じ。
仲入り後はゲストで、仲良しの活動弁士・坂本頼光が登場。弁士は後輩でも劇団民芸出身だったりする、最近20代の後輩ができて、などと振ってから現存する1932年の無声映画「国士無双」。伊丹万作監督のナンセンス時代劇で、偽物なのにやたら強い片岡千恵蔵が格好良い。そしてびっくりの実写版「赤頭巾」。頭巾は白いし、狼役の犬はじゃれてるだけだし、いやー貴重すぎ。
ラストは春陽さんで「津山の鬼吹雪」。山本周五郎の短編を自ら脚色したそうです。浪人ふたりが食うに困って山賊を働こうとし、やさ男の秋津男之助にやり込められる。男之助はふたりを連れて道場破りに行き、たたかう前に「参りました」と言ってカネをせしめるけど、実は凄く強くて、津山の村瀬騎兵衞の道場で美人の娘を襲った浪人・微塵組を蹴散らしちゃう。のちに剣豪として名をなしたという、コミカルで爽やかで、講談らしかった!
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