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ピローマン

演劇集団円「ピローマン The PillowMan」  2022年3月

いやー、重かった。アイルランド系マーティン・マクドナーの2003年初演作を、寺十吾演出で。子供をいたぶる童話の不快さと、刑事アリエル(石住昭彦)の怒声の圧迫感がもの凄い。演劇好きが集まった感じの古めかしい俳優座劇場、中ほどで1万1000円。休憩を挟み3時間。

どこぞの強権国家を思わせる警察の取調室(一貫して重苦しい美術は乗峯雅寛)。作家カトゥリアン(渡辺穣)は、自作の残酷童話を模した3人の子供殺しを疑われ、冷徹な刑事トゥポルスキー(瑞木健太郎)と暴力的なアリエルから人権無視の取り調べを受ける。実は虐待で精神が傷ついた兄ミハエル(玉置祐也が無垢を熱演!)の仕業と知り、カトゥリアンは自作の物語が保存されることを条件に、罪をかぶろうとして…

ピローマンとは作中の童話に登場するキャラクターで、ふわふわの優しい外見とは裏腹に、子供たちに辛い未来を見せ、自殺を勧めちゃう。絶望の塊のような造形が凄まじい。両親がカトゥリアンを文学者に育てる「実験」として、長年、隣室で兄を虐待していた、という設定も救いがなさ過ぎ。
だからこそ、命がけで表現を守ろうとする作家という存在の貴重さが、社会の中でひとりだけ違う色をした「緑のブタ」のファンタジーと重なって、なんとも切ない。生きて3人目の少女が現れたときのえもいわれぬ解放感、乱暴者アリエルがなけなしの共感を示すラストシーンも、一筋の希望となる。虚実の不確かさ、圧迫感のなかのふとした笑いも複雑。マクドナー恐るべし。

2021年から延期されていた公演でした。花はまだまだ。

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