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海王星

海王星    2021年12月

番外編で、チケットがとれなかった「海王星」を配信で鑑賞。寺山修司最初期の未上演の音楽劇を、パルコ劇場で上演した。出航しない船上ホテルという、「ホテル・カルフォルニア」みたいな行き場のなさがまず秀逸。そして父子のコーヒー豆挽きを歌う「わが人生の時」はじめ、リズミカルなフレーズが美しく耳に残る。先日の唐十郎といい、大人のメルヘンは心地いいなあ。
妖しくきらびやかなハロウィン調の演出は、俳優座の眞鍋卓嗣。多彩な楽曲を志磨遼平が作曲し、舞台上段でバンド(ドレスコーズ)を指揮する。イープラスStreeming+で2800円。

物語はベタな悲恋。猛夫(山田裕貴)と父の婚約者・魔子(松雪泰子)が運命的な恋に落ち、海で死んだはずの父・彌平(ユースケ・サンタマリア)が帰還して激怒。猛夫を慕う那美(伊原六花)の悪意もからんで、悲劇を迎える。

主役4人を取り巻く、滑稽で哀しいホテルの群像が面白い。物語をかき回す小悪魔少女・清水くるみと、終始冷笑を浮かべて成り行きを眺めるボーイの山岸門人が、なかなかの存在感だ。客の鳥類言語学(!)教授に大谷亮介、幻みたいなブルースを唄う老婆に中尾ミエ、夫と8回死別したアンナに内田慈などなど。配信だと残念ながら、歌の味わいはわかりにくいけど、松雪さんがさすが堂々の表現力です。
弧を描く階段で左右を囲んだセットが、のぞき見の罪深さを端的に表し、照明も立体的だ。美術は「斬られの仙太」などの乗峯雅寛。

取り寄せたプログラムを読むと、戯曲の執筆は1963年で、2015年に蜷川演出で観た「青い種子は太陽のなかにある」と同じ。1935年生まれの作家は当時27歳と、1967年に横尾忠則らと「天井桟敷」を旗揚げする前。前衛とかアングラとか呼ばれる前だったのかな。1940年生まれの唐十郎が「泥人魚」の稽古場に現れたとか聞くと、1983年に47歳で夭折した作家が、もし今生きていたら何を言ったかしら、と想像せずにいられない。

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