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泥人魚

COCOON PRODUCTION 2021  泥人魚  2021年12月

カリスマ唐十郎の2003年初演、紀伊國屋演劇賞など受賞作を、盟友・金守珍(きむ・すじん)演出で。1997年の諫早湾干拓がモチーフだけど、プロテストというより人魚のピュアなひたむきさがメルヘンチックで、美しい舞台だ。シアターコクーン、後方下手寄りで1万1000円。休憩を挟んで2時間強。

戯曲にはないというプロローグ、ほの暗い海に残酷なギロチン堤防が落ち、水飛沫が上がる。そしてセットは都会のブリキ店へ。まだらぼけの店主で詩人・静雄(風間杜夫)を面倒みる蛍一(磯村勇斗)のところへ、しゃっぱ(シャコ)漁港の仲間しらない二郎(岡田義徳)、漁師から土建屋に転じてしまったガンさん(パギやん趙博)、工事利権にからむ月影小夜子(宝塚の愛希=まなき=れいか)とヤクザの踏屋(六平直政)…と次々に訪れ、そして「人か魚かわからない」娘やすみ(宮沢りえ)がやってくる。

漁民の対立のやり切れなさを背景に、有明海を詩う伊東静雄、人間魚雷、浦上天主堂、天草四郎のイメージを散りばめて、詩情たっぷり。なのにアングラ要素もてんこ盛りで、ヘルパー(唐の娘・大鶴美仁音)とそば屋の待子(梁山泊の度会久美子)が暴れまくったあげく、まさかの御大・風間が泥水槽へ! このカオス、弾けながら照れてる感じが魅力かも。

戯曲執筆時にイメージされていたという宮沢は、ディズニーアニメのよう。足の桜貝に水をかけるシーンで、色気よりも透明感が際立つのはこの人ならでは。ファンタジーです。売れっ子・磯村が健闘して、期待できる。「きのう何食べた?」の人なんですねえ。はっちゃける愛希の驚異的細身の美しさと、岡田の太い声、圧倒的存在感もいい。

背景に雑居ビル群や月、教会を浮かび上がらせるセットがイメージを喚起する。美術は大塚聡。そして2人は俗世を逃れ、キラキラの海へ。「真珠採り」のアリア「耳に残るは君の歌声」も効果的で、ファンタジーに浸る。こうして観ると、きっと蜷川さんも野田さん(逆鱗!)も唐さんにつながっているんだなあ…

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