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加賀見山再岩藤

八月花形大歌舞伎 第一部 加賀見山再(ごにちの)岩藤  2021年8月

幸四郎や勘九郎が軸の花形公演で、第一部は澤瀉屋の一座。黙阿弥作、猿翁が練り上げた4時間の人気作を、石川耕士が 「岩藤怪異篇」として、休憩を挟み2時間に圧縮した。
猿之助の6役早替り&宙乗りと、ケレンを詰め込んでテンポが良い。コロナ感染から復帰2日目のせいか、「黒塚」とかと比べると淡泊だったけど。歌舞伎座前のほう、やや上手寄りのいい席で1万5000円。

浅葱幕が振り落とされると序幕、華やかな大乗寺花見の場から、早替りの連打を楽しむ。殿様・多賀大領(猿之助)は側室・小柳の方(笑也)に夢中で、忠臣・安田帯刀(男女蔵)の進言を退けるし、御台・梅の方(猿之助)には会いもしない。一方、いかにも国崩しの黒幕・望月弾正(猿之助)が、忠臣サイドの又助(きびきびと己之助)をたぶらかす。悪役・蟹江兄弟の亀鶴と鷹之資、特に鷹之資の声が通って気持ちいい。
浅野川川端の場で、欺された又助が、駕籠の梅の方を殺しちゃう悲劇。舞台がぐっと暗くなり、八丁畷馬捨場へ。お家の奥を取り仕切る中老尾上(雀右衛門)が、かつての仇・岩藤の菩提を弔っていると、あら不思議。土手に散らばった白骨が集まって、岩藤の亡霊(猿之助)となり、復讐を宣言する。「骨寄せ」ですね。猿之助がさすがの怪しさで、ムーンウォークみたいな動きも大受け。雀右衛門さんは、召使い時代の黄八丈姿でも上品です。
弾正らがからんで重宝・朝日の弥陀の尊像を取り合う「だんまり」があり、いったん幕がひかれて、なんとスッポンから登場の大薩摩に拍手。一転、明るい花の山の場で、在りし日の局姿になった岩藤の亡霊が、客席を見渡し、上手から下手へ悠々と宙乗り。スターだなあ。

休憩後の二幕目は、多賀家奥殿草履打ちの場。尾上(局姿だと貫禄)が、病に伏せる殿様の妹・花園姫(男女蔵長男の男寅がなかなか可憐)を励ましていると、弾正が来訪。すると館全体が鳴動して荒れ果てた様子に変じ、弾正に乗り移った岩藤(途中から女性の声になる工夫)が現れて、尾上を草履で散々に打ちすえちゃう。怖いよー。尾上は取り戻した尊像でなんとか撃退する。
続く大詰・下館茶室の場でお約束、あれよあれよの展開に。又助が梅の方殺害の責任をとって切腹。その最後の言葉で、実は生き別れた妹と判明した柳の方は、弾正の悪事に荷担してきたことを悔い、健気にも弾正と差し違える。
下館奥庭の場で、改心した大領から鬼子母神の尊像を突きつけられると、岩藤の霊もあっけなく骸骨に戻って、バラバラに崩れ落ちる。悪者は退治され、尾上、元気になった花園姫、局浦風(笑三郎)、帯刀、重宝を取り戻した忠臣・求女(門之助)が勢揃いして、大団円となりました。局でちょこっと登場の寿猿さん、なんと91歳に拍手。最後は全員でご挨拶。
登場人物が多くて、正直追いつけないところもあったけど、盛りだくさんの趣向をエンジョイしました~ 初日から猿之助休演で、代打ちした己之助も好評でしたね。偉い!
売店でまた大島紬のマスクを調達しました~

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