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カルメン

カルメン 2021年7月

新国立劇場のシーズン締めくくりは、満足間違いなしのビゼー王道演目。ステファニー・ドゥストラック(フランスの長身メゾ)の貫禄のカルメン役者ぶりを堪能する。2019年「トゥーランドット」が衝撃だったアレックス・オリエの新演出が注目だったけど、現代日本への置き換えはさほど違和感がなかった。もともと戯曲が現代的だからかな。
表現力たっぷりの大野和士指揮、東京フィル。華やかな女性グループや若手を含め、賑わいが戻った感じが嬉しいオペラハウス、中央前の方の良い席で2万4750円。休憩30分をはさみ3時間。

ステファニーさまはパワー十分、「ハバネラ」こそタメ過ぎ?と思ったけど、魔性の女というより、自由と反骨を貫く明朗な女性像で、舞台を牽引する。ミニスカ、短パン、喧嘩や着替えの演技も堂々。くわえ煙草でギターをつま弾く姿、決まってるなあ。ドン・ホセ代役の切ない村上敏明(ジャンニ・スキッキで聴いた藤原歌劇団のテノール)、ミカエラのひたむき砂川涼子(同じく藤原のソプラノ、宮古島出身)が、それぞれ張りのある声で、存分に渡り合ってた。ワル仲間のダンカイロ町英和(バリトン)、フラスキータ森谷真理(ソプラノ、夜の女王をメトで歌ってる!)も目立ってましたね。
一方、エスカミーリョの太っちょアレクサンドル・ドゥハメル(バリトン)は「フランス最注目」というには弱かったかな。合唱は新国立劇場合唱団+びわ湖ホール声楽アンサンブル、TOKYO FM少年合唱団。

演出は冒頭から、鉄パイプの巨大セットが精神の牢獄を思わせる。カルメンはロックバンドのボーカル(エイミー・ワインハウスのイメージだとか)で、手持ちカメラでコンサートのステージ上や、警備にあたる警察官ドン・ホセを映し出す。怪しいライブハウス、ドラッグディーラーのアジトを経て、ラストは華やかなセレブが行き交うレッドカーペット。なぜかエスカミーリョだけ闘牛士姿だけど。カルメンが冒頭と同様、ホセに火を借りるシーン、洒落てるなあ。
ファンの群衆が終始、スマホカメラを構えているのが、スターの孤独を思わせました。プロダクションはびわ湖ホールでも上演。

今シーズン、新国立オペラの鑑賞は結局、10演目中3演目だけ。日本人キャストも高水準だけど、バランスが難しいのは否めない。来シーズンの完全復活を期待!
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