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外の道

イキウメ「外の道」  2021年6月

お馴染み前川知大作・演出の超常現象SF。身の回りの物質から法制度や家族に至るまで、すべてが実は見たままでなく、流動的で偶発的。当たり前がぐらついちゃう言いようのない不安の先に、だからこそ意思によって再構築可能という、一筋の光がさす。上演1年延期の間に改稿を重ねたそうで、コロナ下の異常な暮らしを反映してか、いつも以上に難解。そこを池谷のぶえのフラットさがねじ伏せる感じ。巧いなあ。シアタートラム前のほうのいい席で6000円。休憩なしの2時間弱。

不透明なガラス窓を背景に、テーブルといくつかの椅子だけのワンセット。さびれたカフェを思わせる空間で、同級生の寺泊(安井順平)と山鳥(池谷)が二十数年ぶりに再会し、近況を語り合う。寺泊は手品師・時枝(森下創)から秘密を明かされ、几帳面な宅配ドライバーの日常から逸脱していく。また行政書士事務所に勤める堅実な山鳥は、「無」という暗闇に精神を浸食され、さらに養子と名乗る少年(大窪人衛)から覚えのない思い出を聞かされる。物質が分子・原子の集合なら、そこに裂け目はないのか、宅配荷物はいつも正しく届くものなのか、戸籍やら写真やらに記載されたことは果たして真実なのか?

時折起きる「空鳴り」の正体など、謎は一向に明かされないし、闇が観客まで包み込んじゃうし、ちょっといらつく。でも池谷、安井の飄々としたテンションが、コミカルな空気を保って強靱だ。俳優たちがずっと舞台にとどまって動きで群衆になったり、主演二人のモノローグを語り継いだりしてテンポがよく、照明の変化も効果をあげる。
劇団の浜田信也、盛隆二のほか、豊田エリー(柳楽優弥の奥さんですね)、薬丸翔(薬丸くんの長男ですね)、清水緑。ちなみに役名の「時枝」はほぼ全作、「寺泊」は「天の敵」に登場してましたね。映画版「聖地X」が今秋、公開とのことです。

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