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文楽「生写朝顔話」「摂州合邦辻」「契情倭荘子」

第216回文楽公演 第2部・第3部  2021年5月

コロナの影響で公演が短縮された間隙をぬい、久々にたっぷりと文楽三昧。嬉しかった。満員御礼の国立劇場小劇場で各部7000円。2部、3部ぶっ通しで5時間半。

まず2部「生写朝顔話」は2017年に観た、変化に富んでいて面白いこと間違いなしの演目。深雪・阿曽次郎のイライラするすれ違いと、明石浦に鮮やかに舞う金の扇やら、大荒れ大井川やらのスペクタクルで盛り上がる。物語の鍵となるのは朝顔の唱歌の詞章や、琴、三味線で、音楽劇らしい仕掛けも嬉しい。
宇治川蛍狩りの段は小住太夫・友之助ら。あられもなく色っぽいけど、人形だから嫌らしくないよね。続くダイナミックな明石浦船別れの段は、朗々とした織太夫らの掛け合いを清志郎ががっちり支える。チャリ場の笑い薬は、残念ながら今回はカット。15分の休憩を挟んで、眼目の宿屋の段へ。咲太夫・燕三が技巧たっぷり、名乗りたいのに名乗れない、そこはかとなく気づきながら霧が晴れない2人の切なさをじっくりと。琴は燕二郎。怒涛の大井川の段は、絶唱の靖太夫・錦糸で〆。
人形は主役・阿曽次郎の勘彌が凛々しく、悲劇のヒロイン・深雪の清十郎もはかなげで、危なげなし、でした。

入れ替えの1時間弱を、休憩所で腹ごしらえして過ごして、3部を鑑賞。まずお馴染み「摂州合邦辻」から合邦庵室の段。文楽では3回目だ。登場人物それぞれの複雑な思惑を語り分けるのが難しいらしい。特に玉手御前は二転三転だものね。睦太夫・勝平、錣太夫・宗助と手堅くリレーし、後は渋く呂太夫・清介。ラストはいつもながら、荒唐無稽な筋立てを、百万遍の非日常と大落シでねじ伏せちゃう。三味線の叩きつける叱咤が凄かった~
人形は合邦道心の玉也と、女房の勘壽の愛情に深みがある。玉手の和生は端正なだけに、浅香姫への嫉妬大暴れシーンなどアナーキーさがいまひとつか。俊徳丸の蓑紫郎さん、面落ちまで我慢の演技でしたね。

休憩15分のあと、打ち出しは「契情倭荘子(けいせいやまとぞうし)」から舞踊「蝶の道行」。初めてみたけど、これは異色作!
舞台は洋風パステルの花畑でファンタジック。主筋の身替りで命を落とし、蝶の化身となった恋人同士。なんとも可愛らしい衣装で、扇に飛び乗る人形ならではの振りもあって華やかなんだけど、ラスト「死出の山」で衣装が墨の模様にかわり、業火に狂い踊るというびっくりの展開だ。
床は織太夫、藤蔵以下、5丁5枚で飛ばしまくり、玉助・一輔が25分を躍動して、ヘトヘトの様子。派手で面白かったです!

ところで文楽では先月の大阪公演で突然、名女形・蓑助師匠が引退しちゃいました。81歳で、このところ足元がお辛そうだったとはいえ、ラストを見届けることがかなわず、ショック。でも、大病を乗り越えての、唯一無二の可憐さな舞台にただ感謝…

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