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白昼夢

M&Oplaysプロデュース「白日夢」  2021年4月

赤堀雅秋作・演出のよどんだ、しかし肯定感のある家族劇を、風間杜夫はじめ実力派キャストが濃密に表現。あからさまにコロナとは言わないけど、現在誰もが感じているやり場のない苛立ちが、ヒリヒリ胸に迫る。「空が青くて、バカにされてる気がして」… 男性客が目立つ本多劇場、最前列(1列目は空けてた)の上手寄りで7500円。休憩なしの1時間半。

清75歳(風間杜夫)と12年も引きこもっている次男・薫47歳(実年齢という荒川良々)が暮らす高橋家に、長男・治51歳(三宅弘城)、引きこもり支援団体の別府(赤堀)と石井27歳(吉岡里帆)が通ってくる。
床に落ちた錠剤を皆で懸命に探すとか、部屋から拾い物の他人の優勝カップがざくざく出てくるとか、なんともトホホな笑いが満載だ。ヘリコプターの轟音や、迷い込んだ虫がイライラを募らせていき、背後に人物それぞれのどん詰まりが、色濃く影を落とす。

清は怒鳴り散らしながらも病をひた隠し、常識人ぽい治も、実は仕事や妻との関係で行き詰まっていて、闇が深い。いかにも怪しげな別府は石井に邪心を抱き、その石井は他者への共感力が強すぎて痛々しい。それでも暗転のたび、四季は巡っていき、たいした説明もないまま、なんとか生き抜いていく。
設定も人物も格好悪くてぱっとしないなかで、宅配ピザと安物(たぶん)のワインを囲む束の間の団欒の明るさや、シェイクスピア「夏の夜の夢」を語る石井の躍動、そして近所の火災という非日常が、鮮烈に輝きを放つ。ぱっとしない人生に向けられた温かい視線、不確かだけど、そこに存在する希望が貴重。

風間の老けっぷりが見事だ。最後のほうなんか髪ぐしゃぐしゃで、ラストがなんとも切ない。吉岡の、可愛いのに野太い感じは発見かも。舞台に立つと、不思議なパワーがある女優さんだなあ。荒川がいつもながら圧倒的声量で存在感を見せつけ、静かに屈折する三宅とともに舞台を牽引。そして赤堀はじめ皆、他の役者がしゃべっているときの表情の変化とかが、微妙すぎて凄いです。階段がある平凡な一軒家DKLのワンセット(美術は田中敏恵)。

パンフレットにはケラさんも登場。赤堀との対談、キャストの座談会とも、やたら岩松さんに言及しているのが印象的でした~

20210410-013

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