« 日本人のへそ | トップページ | 白昼夢 »

夜鳴きうぐいす/イオランタ

夜鳴きうぐいす/イオランタ  2021年4月

なんと1年2カ月ぶりのオペラは、初鑑賞のロシアオペラ2作を意欲的なダブルビルで。日本人キャストを敬遠してオペラから足が遠のいちゃってたけど、やっぱり生の分厚いオケと、歌声の振動は映像に代えがたい。特に「イオランタ」ヒロインの意志の力に感動。
安定感ある高関健指揮、東京フィル。スカラ座などで活躍するヤニス・コッコスが、パリからリモートで演出したとのこと。新国立劇場オペラハウス、前の方中央で2万4750円。休憩を挟んで3時間強。

後半がお楽しみ、チャイコフスキーの「イオランタ」。華やかな旋律が美しい。
15世紀の南仏の城では姫イオランタ(素晴らしい大隅智佳子、ソプラノ)が、生来の盲目を自覚せず、乳母(山下)らに囲まれて穏やかに暮らしている。異国の名医(日本を拠点にしているヴィタリ・ユシュマノフ、バリトン)は父王ルネ(安定の妻屋秀和、バス)に、姫が切望すれば治癒できると告げる。婚約者ロベルト公爵(井上大聞、バリトン)と友人ヴォデモン伯爵(内山信吾、テノール)が迷い込み、恋に落ちたヴォデモンは姫に光の素晴らしさを教える。父は激怒するものの、いよいよ治療を決断し、治らなければヴォデモンに責任をとらせると宣言。ロベルトが実は恋人がいると告白しちゃう笑いのあと、姫は恋人と自らの希望のため治療に耐えて、めでたく快癒。皆で喜びを歌い上げる。

以前、ライブビューイングのネトレプコ姫に感動した演目。チャイコフスキー節が魅惑的で、特に中盤、イオランタとヴォデモンの二重唱は、愛情とイオランタの自立心が同時に高まって、実に甘美だ。大隅の存在感、戸惑いから解き放たれていくエネルギーが抜群。内山の不調は残念だったけど。井上が短いながら、ハリのある高音を聞かせ、ラストの合唱も晴れやかで、大いに盛り上がった。
幻想的な装置で、上手奥に白い大階段を配置。姫が視覚に目覚めるシーンで、後方に雄大な自然の景観が展開して素晴らしい。終幕の希望は、照明で鮮やかに表現していた。

前半の「夜鳴きうぐいす」はイーゴリ・ストラヴィンスキーの曲が現代的なので、正直、苦手だったかな。アンデルセン「ナイチンゲール」が原作のメルヘンで、中国の皇帝(ずんぐり古川健一、バリトン)が日本人(!)が献上した機械の鳥を重用して死神にとりつかれるが、戻ってきた夜鳴きうぐいす(三宅理恵、ソプラノ)の優しい歌で快復する。
タイトロールの三宅が、ブランコに乗ったりして可憐。さえずりに模したコロラトゥーラを存分に披露する。うぐいすを宮殿に連れていく料理人は針生美智子(ソプラノ)、怪しい死神は山下牧子(メゾ)。冒頭とラストに登場する漁師の伊藤達人(テノール)が朗々としていい。
ステージは切り絵のような森の夜明けから、音楽が不協和音に満ちる王宮では、カラフルかつポップに転じて鮮やか。

カーテンコールでは下手にモニターを持ち出して、リモートで演出チームも登場。この公演を実現した苦労がしのばれました~

20210404-001 20210404-008

« 日本人のへそ | トップページ | 白昼夢 »

オペラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 日本人のへそ | トップページ | 白昼夢 »