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ほんとうのハウンド警部

シス・カンパニー公演 ほんとうのハウンド警部  2021年3月

くせ者トム・ストッパードの戯曲を、小川絵梨子が鋭角に演出。生田斗真、吉原光夫ら豪華俳優陣が、取り澄ましていても心はさもしい知識人、そして演劇ファンをも笑いのめす。翻訳は徐賀世子。Bunkamuraシアターコクーン、市松座席の中央、いい席で1万2000円。休憩無し1時間15分。

冒頭、客席が映っているミラーが払われると、舞台奥に本当に客席があり(美術は伊藤雅子)、評論家のムーン(生田)とバードブート(吉原)が座る。前方のシンプルなセットで演じられるのは、いわば「マルドゥーン荘園殺人事件」だ。
霧で孤立した館に、女主人シンシア(峯村リエ)と友人フェリシティ(趣里)、怪しい青年サイモン(鈴木浩介)、車椅子の義弟マグナス少佐(山崎一)の四角関係が渦巻き、謎の死体が出現。家政婦ドラッジ夫人(池谷のぶえ)がすべてを目撃し、名探偵ハウンド警部(山崎)が乗り込んでくる… コロナ禍で中断するまで68年ものロングランを記録した、アガサ・クリスティの戯曲「ねずみとり」がモチーフとかで、のっけからの説明ゼリフやら、いちいちフルネームでの非難やら、ベタな演技でたっぷり笑わせる。
もちろんそれだけで終わるわけもなく、休憩に入ると観劇していた2人はもったいぶった言説を弄して、今観た舞台を分析。ところが内心、ムーンは先輩評論家に対するどす黒い劣等感、バードブートは女優たちへの職権乱用満載の欲望でいっぱいだ。劇が再開すると、2人はあれよあれよと繰り返すシーンに巻き込まれてしまい、容赦なく俗物ぶりが暴かれていく。

テンポのいい虚実の混濁が見事。執筆当時、作家は30歳そこそこというから、恐ろしいひねくれぶりだ。アクロバティックな展開を、隙のないやり取りで見せる。この日は配信もあり、カーテンコールでは生田が挨拶。死体役の気の毒な手塚祐介も並んでました。

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