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てにあまる

Sky presents てにあまる  2020年12月

波乱の2020年、エンタメ締めくくりは地味めの観劇となった。家族の閉塞と闇を描いた松井周の新作を、柄本明が演出。藤原竜也がほぼ出づっぱりで、病んでいく主人公を笑いをまじえつつも鮮烈に。この人でなきゃ、痛々しくて見ていられないかも、と思わせる。
事前の連絡先登録はあるものの、割と通常形式の東京芸術劇場プレイハウス、下手寄り前の方で9800円。休憩なしの1時間40分。企画制作はホリプロ。

アプリ開発で成功した起業家・勇気(藤原)がわざわざ絶縁していた貧しい父(曲者全開の柄本)を迎えに行き、同居を始める。住まいは豪華マンションなんだけど、その実、経営は行き詰まっている。怒りをコントロールできずに酒と安定剤漬けで、忠実な部下(「カリギュラ」がなかなかよかった高杉真宙)にも、妻(初舞台の佐久間由衣が清潔)にも見放され始めた。出口を求め、少年時代に父の暴力と兄の死で負った心の傷、そしてホームで死んだ母への贖罪の思いを乗り越えようともがくものの、事態はどんどん悪化し…

果たして兄の死の真相は、妻と部下は不貞を働いているのか… 妄想がAIアプリの見当違いの反応と混濁し、勇気を追い詰めていくさまが、現代人の不安を見せつけて巧い。AI、実は粗暴な父より怖いかも。部下と妻が、ありえない床下の階段から出入りする演出も印象的だ。美術は土岐研一。
20201226-009

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