鶴瓶「かんしゃく」「らくだ」
笑福亭釣瓶落語会 2020年12月
冷たい雨まじりの週末に、2年ぶりの鶴瓶さん。いつものサービス精神と、「コロナのことばっかり考えていられるか!」という本音が嬉しい。幅広い客層が集まった市松模様の赤坂ACTシアター、やや前寄り上手で6000円。席に協賛のカップ麺とお漬物が置かれてた! 中入を挟んでたっぷり2時間半。プログラムの文章は神田伯山。
まず「ハリウッドランチマーケット」のHのトレーナーで登場して、フリートーク。「あの人(首相)はっきりしない、近所の中華で入ってくるなりカレー!て注文したお客さんがいた、あのはっきりした人にやってほしい」などと始めて、志村さんの思い出と遺影とか、お馴染みマネジャー宇木さんの土砂降りエピソードとか、友達がマイジンググレイスを熱唱する留守電とか、ポンポンと畳み掛けてトホホな日常を笑いに変えちゃう。談志が師匠・6代目笑福亭松鶴の「らくだ」を絶賛した文章も披露。
今年なんとか実現した落語会を、定員に対して何席入れたかを含めて振り返るビデオ(11月末の北海道公演は中止になってた)に続いて、1席目は「かんしゃく」。益田太郎冠者(益田孝の次男)作の古典をベースに、小朝の勧めで松鶴を描いた「私落語」だ。とにかく恐くて内弟子を叱りまくり、しかも何を言ってるか意味不明。緑のマジックを「これが信号機の青や!」などと無茶苦茶だけど、「お客さんの気」を教わった、逃げ出しそうにな弟子を諌めたかつての兄弟子に電話で「お前のアドバルーン(アドバイス)やろ、余計なことすな!…ありがとな」。定番「青木先生」ほど泣かせないけど、温かい噺です。志ん朝からもらった錦松梅とか、漬物にスダチをかけるとか、さりげなく洒脱な人物像もいい。
中入後はお待ちかね松鶴十八番の大ネタ「らくだ」。ダメ人間ばかりでアナーキーで、つくづく乱暴な関西弁がぴったりだなあ。2016年に聴いて仰天したときと比べると、兄貴分の凄みはさほどでなく、紙屑屋が酒が入って豹変するあたりに力が入っていた印象。いったん下げてから、らくだが家に帰ってきちゃう鶴瓶バージョンでした。
幕をあげ、お弟子さんと三味線が並んで、かんかんのうで賑やかに〆でした。
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